志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2020年12月31日
by ok
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年頭にあたって

フクシマから10年となる2021年を迎えました。私たちにとっては、提訴以来9回目の新年です。
原告・サポーターのみなさま、志賀原発の廃炉を求めるすべての仲間のみなさまのご支援に感謝するとともに、結審を延ばして司法の責任を放棄する金沢地裁への怒りと、一日も早い廃炉実現への決意を、年頭にあらためて確認し合いたいと思います。
私たちが金沢地裁に提訴したのは2012年6月30日。多くの市民の脳裏には福島第一原発を襲う巨大津波、相次ぐ水素爆発の衝撃が刻み込まれ、日に日に明らかとなる放射能汚染の実態と住民被ばくの情報に怯える日々が続いていました。フクシマの惨状を直視すれば原発再稼働などあり得ない、司法に頼らずとも脱原発は実現するのでは、との雰囲気すら漂う中、「再びフクシマを繰り返してはならない」「志賀原発の廃炉を実現することでフクシマと連帯していこう」との思いも込めての提訴でした。
 その後の原子力ムラの巻き返しは尋常ではなく、安倍政権によるまやかしの「福島復興」と原発再稼働、そして原発輸出を3点セットにした原発復権の動きは原子力規制委員会や司法までも巻き込んで推し進められました。金沢地裁で「原子力規制委員会の結論を待つ」とする裁判長が二人続くのも、このような動きと無関係ではないでしょう。
情勢は楽観を許しませんが、私たちの運動は悲観論に立つ必要はありません。なぜなら、私たち以上に原子力ムラは追い詰められているからです。安倍前政権が推し進めた原発輸出計画はことごとく破綻(はたん)し、原子力業界は資金と人材を確保し続ける展望がなく、産業として維持することが困難となっています。後を継いだ菅政権は2050年のカーボンニュートラル実現に向け原子力の活用を謳(うた)っていますが、負の遺産にしがみつき限られた予算を分散していては、省エネ・再生エネルギーの普及や社会システムの転換を遅らせるだけであり、世界の脱炭素の潮流からさらに遅れることになるでしょう。福島第一原発の事故収束や廃炉作業、汚染水問題、周辺環境の回復などフクシマを巡る重要課題はなに一つ解決しておらず、被災者の生活再建への苦悩は続いています。重大事故の被害は深刻かつ甚大で、その影響は10年の歳月を経てより鮮明になっており、脱原発を志向する世論はほぼ定着したと言っていいのではないでしょうか。
脱原発訴訟は一進一退の攻防が続いていますが、2020年は二つの裁判に勝利し、それぞれに大きな意義がありました。1月の広島高裁・伊方原発差止め仮処分決定は、2017年12月の同高裁の仮処分決定以来二度目であり、上級審の壁も徐々に崩れつつあることを示しています。決定は地震や火山のリスクに対する調査や想定が不十分であり、規制委の判断に誤りがあるとしました。
12月の高浜原発3、4号機の設置変更許可取消を認めた大阪地裁の仮処分決定は、他の全ての原発にも共通する基準地震動の設定に関する規制委の判断の誤りを指摘したものです。
こうした中での金沢訴訟ですが、先の広島高裁および大阪地裁の仮処分とは直接の争点こそ違いますが、規制委の審査の過誤を指摘する判断は、「原子力規制員会の結論を待つ」とする金沢地裁に側面から大きな揺さぶりをかける内容です。加えて、北陸電力が期待を寄せる敷地内断層を巡る規制委の審査も到底順調とは言えず、「一体いつまで待ち続けるのか」という指摘が今まで以上に裁判長に重くのしかかることでしょう。私たちはあらゆる機会を捉えて早期結審をいままで以上に訴えていかなければなりません。
一方、北電株主が北電経営陣に志賀原発の差止めなどを求めた富山訴訟は、さる12月9日の第4回口頭弁論で大きな動きがありました。裁判所が原告側の求釈明を受入れ、再稼働に向けて準備を進める北電経営陣に対して、事故リスクについてどこまで検討したのかを明らかにするよう求めたのです。志賀原発の事故リスクを回避するために必要かつ十分な検討を行なうことは、経営上も企業の社会的責任の観点からも、原発保有会社の経営者に求められる当然の義務だと考えます。今後の展開が大いに注目されます。私たちとしても傍聴行動はもちろん、裁判情報の積極的な発信を行っていきたいと思います。
フクシマから10年となる今年中の志賀原発の廃炉決定は、残念ながら厳しいと言わざるをえません。しかし、金沢訴訟はここ数年続いたアイドリング状態から今一度ギアを入れ直し、廃炉へと走り出す年になると思います。富山訴訟は今後の行方を左右する重要な年となることは間違いありません。
予期もしなかったコロナ禍は当面収束の見通しが立たず、私たちの運動にも歯がゆさが付きまといます。それでも従来の運動スタイルを見直しながら、今年も志賀廃炉に向けてできる限りの取組みを展開していきたいと思います。みなさまのさらなるご支援、お力添えをお願い申しあげます。

 2021年元旦   
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団長 北野 進

2020年12月10日
by ok
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裁判長が「事故リスクに関心あり」と明言

志賀原発株主差止訴訟(富山訴訟)の第4回口頭弁論が12月9日、富山地裁で行われました。
今回も新型コロナ感染防止のため傍聴席はマスコミを除いて17席(前回は12席)に制限されていたため、サポーターのみなさんへの呼びかけは控えてきましたが、富山、石川、さらには京都からの参加者も含め約30人が傍聴抽選に並びました。

14時開廷。まず6月の北陸電力株主総会で代表取締役副社長に就任した水谷和久氏を被告として追加、本件訴訟に併合して審理することを確認しました。
今回の原告意見陳述は羽咋市の滝口保さん。滝口さんは2001年から「命のネットワーク」のメンバーとして自主防災などの活動に取り組んでおり、陳述では福島第一原発事故を契機に開始した風船飛ばし調査を紹介、事故が起こったら放射能が1日で広範囲に拡散する危険性を指摘しました。滝口さんは北陸電力の株主として株主運動にも参加しており、今年の株主総会での質疑の様子も紹介しました。志賀原発の廃炉について質した滝口さんに対して、石黒副社長は「廃炉は考えていない」と述べ、費用や期間、放射性廃棄物の処理方法などに一切答えなかったのです。株主に対してコストに関わる重要な情報を提供することなく、再稼働の承認を得たとする株主総会の実態を厳しく批判しました。

続いて、今回の口頭弁論に向けて原告弁護団が提出した「第9準備書面-善管注意義務及び忠実義務に関する主張の補充及び求釈明の申立て―」について、原告、被告、裁判所の間で意見が交わされました(第9準備書面提出の背景については第3回口頭弁論の報告参照)。
この準備書面は、福島第一原発事故を経て、原発を保有し運転しようとする電力会社の経営者に求められる「善管注意義務及び忠実義務」には、事故リスク、コスト、社会的責任の3つの分野にわたる12の義務があることを明らかにし、その義務を果たしているかどうかを確認するための具体的な47項目を挙げ、被告の釈明を求めたものです。(※法律用語の「釈明」は解明、説明のような意味で、道徳的な意味合いは含まれていません)
原告の「求釈明」に対して、被告弁護人は「要否も含め、次回答える」と対応を明言しませんでした。
これに対して裁判長はどう出るか。さらりと「では次回まで待ちましょう」と述べて弁論を閉めてしまうのでは、と不安を覚えた傍聴者もいたかもしれません。しかし、裁判長は「裁判所としては事故リスクについて関心を持っている」と述べ、準備書面の中で掲げた12の注意義務の中の4つについて「審理の必要性は高い」と表明したのです。これらに関わる求釈明は22項目にのぼります。一方、コストや社会的責任に関する項目については「全部逐一答える必要はないのではないか」との認識も示しました。
この裁判長の方針を受け、原告弁護団の坂本事務局長は「裁判所の考えは理解した。原告としては全項目について釈明を求める考えに変わりはないが、事故のリスクについての回答を踏まえながら、コストなど他の項目についても釈明の必要性をさらに明らかにしていく」と述べました。
さらに原告弁護人からは、第9準備書面に関わる証拠と、さる12月5日の大飯3、4号機設置変更許可の取消しを認めた大阪地裁判決に関連して求釈明を追加で提出する方針も示されました。
これらのやり取りを受け、被告弁護人は「裁判長の問題意識も踏まえ、(次の口頭弁論前の)3月10日までに準備書面を提出する」と言わざるを得ませんでした。
このようなやり取りの後、最後に次々回期日を7月14日と決め、14時30分に閉廷しました。

口頭弁論終了後、自治労とやま会館で報告集会が開かれました。
冒頭、和田廣治原告団長から「コロナで進行が遅れた1年だったが、多くのみなさんの支援で裁判が前進している」と感謝の言葉が述べられました。
岩淵弁護団長からは、先般の大阪地裁の原告勝訴判決について、①3.11前の原発訴訟の勝訴判決が2件だったのに対して3.11後は6件となり、原発訴訟は着実に前進している、②規制のあり方が問われている、③志賀を含めすべての原発に関係する、と大きな意義があったことを指摘しました。また本日の口頭弁論について、「第9準備書面で訴訟は前進する。裁判長が事故リスクに関心ありと明言したことは大きい」と述べました。
続いて坂本弁護団事務局長が第9準備書面の内容についてわかりやすく解説し、裁判長が事故リスクについて審理の必要性を認めたことで、北電は「注意義務なし」との主張ができなくなったとの認識を示しました。また、事故リスクの議論を深めることは結果的に原発のコストの問題にもつながっていくとの見通しも示しました。
報告集会は、次回以降の裁判への期待を互いに確認しつつ、清水哲男原告団事務局長の音頭による参加者一同のガンバロウ三唱で締めくくられました。

今年の富山訴訟は、新型コロナの影響で3月と5月に予定されていた口頭弁論が延期となる異例の展開となりましたが、弁護団が精力を傾注した第9準備書面によって訴訟はいよいよ大きく動き始めました。全国が注目する株主による原発の差止訴訟は、来年さらに大きな関心を集め、志賀原発廃炉への期待も集めるものと思われます。みなさまのさらなるご支援をお願いします。

今後の予定
第5回口頭弁論 2021年3月22日(月)15:00~
第6回口頭弁論 2021年7月14日(水)15:00~
※傍聴抽選の時間などは追ってご連絡します。

2020年12月5日
by ok
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大飯原発設置許可取消―大阪地裁

関西電力大飯原発3、4号機の安全性をめぐって、福井、近畿などの住民130人が原発設置許可の取消しを求めた訴訟の判決が12月4日、大阪地裁で言い渡されました。森鍵(もりかぎ)裁判長は原子力規制委員会の判断は「地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい錯誤、欠落がある」として、設置許可を取消しました。
福島原発事故後に策定された新規制基準の下で原発の設置許可を取消す司法判断は初めてで、全国の原発訴訟に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 

朝日新聞(12/5)
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