志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2025年2月11日
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“座して死を待つ”「避難計画」とは?

2月10日、金沢訴訟第44回口頭弁論が金沢地方裁判所で行われました。
久しぶりに大雪警報が解除されたものの、みぞれ交じりの空の下、原告・サポーターらは午後1時半に石川門下の白鳥路利家像前に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

今回の原告意見陳述は、笹川榮子さん。
七尾市田鶴浜町に住む笹川さんは昨年の能登半島地震で自宅が半壊、避難先を二転三転した挙げ句、現在は自宅近くの仮設住宅で暮らしています。
笹川さんは、自宅が志賀原発から5~30kmのUPZ圏内にあり、原発が重大事故を起して緊急事態になったら屋内退避するになっていることについて、「半壊の自宅に閉じこもり、停電・断水が続く中、エアコンは使えず食料も尽きる中、屋内で放射能を浴び続けることは『座して死を待つ』ことです」と指摘しました。
そして自らの被災経験をふまえ、「避難計画は私たちを守れず、原子力防災訓練も役に立たないことがハッキリしました。地震への備えは一にも二にも、志賀原発を運転させないことです」と強く訴えました。

今回被告北陸電力側は準備書面(36)を提出し、原告側の第58準備書面「避難計画の実効性欠如による人格権の侵害」について「反論」しました。また原告の求釈明に対する回答書(2)を提出しました。
これに対して原告弁護団は、有識者会合の結論が覆ったときの規制委員会に提出されていた「敷地内断層ののスケッチ図や写真」が有識者会合の場で提出・説明されなかった理由などについて追及しました。
また金沢訴訟の14年間のうち半分近くの期間が「規制委員会の判断を待つ」ことに無駄に費やされていることを指摘し、次回の口頭弁論で「進行協議」を持つことを求め、裁判所もそれを了承しました。

法廷では以上のやりとりの末、次回の弁論を5月26日(月)14時から開催することを決めて約27分で終りました。

口頭弁論終了後、原告・サポーター、弁護団、報道陣らは隣の金沢弁護士会館会館2階ホールに移って報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約40人が参加しました。

 

北陸中日新聞(2/11)
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2024年11月1日
by ok
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原発からの避難計画なんて「絵に描いた餅」

10月31日、金沢訴訟第43回口頭弁論が5ヶ月ぶりに金沢地方裁判所で行われました。
久しぶりの快晴の空の下、原告・サポーターらは午後1時半に石川門下の白鳥路利家像前に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

今回の原告意見陳述は、国吉正人さん。
国吉さんの故郷は珠洲市大谷地区、能登半島地震の震源地からわずか7kmほどの所です。国吉さんの実家では兄夫婦や95歳の母親が被災して長期の避難生活を強いられたにもかかわらず、そこが孤立していて行くことも連絡することもできなかったこと、また地震から2日後、妻の実家の輪島市に行くのに往復14時間もかかった経験を語り、「寸断された道路で安全に避難するなんて無理」、「壊れた家で屋内退避なんて無理」であり、「原発からの避難計画なんて絵に描いた餅」だと指摘しました。そして9月21日の豪雨で、土砂と濁流が再び故郷を無惨な姿に変えてしまったと語り、「どうか能登半島を誰も立ち入ることのできない不毛の地にしないでください」、「どうか私の大事なふるさとを奪わないでください」と強く訴えました。

今回被告北陸電力側は準備書面(35)を提出し、原告側が前回提出した「能登半島地震で明らかになった耐震安全上の問題点」(第57準備書面…5/13HP参照)について「反論」しました。
裁判長は被告に「原告のもう一本の書面『避難計画の実効性欠如による人格権侵害』(第58準備書面…同HP参照)については反論しないのですか」と訊ね、被告側は「次回反論の書面を提出する」と述べました。
原告側は次回、被告側が初めて出してきた(建設当初の)敷地内断層の写真について、「なぜ今ごろ出てくるのか(有識者会合のときに出てこなかったのか)」ということを追及する予定です。

法廷では以上のやりとりの末、次回の弁論を来年2月10日(月)14時から開催することを決めてわずか24分で終りました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターらは香林坊の県教育会館2階会議室に移って報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約50人が参加しました。

その中で北野原告団長は、今回の衆議院選挙で自公過半数割れになったものの、原発再稼働問題で言えば決して楽観できないことを指摘するとともに、11/24石川県原子力防災訓練の監視活動・住民アンケート活動や、12/14能登半島地震1周年市民集会への参加を呼びかけました。
また岩淵弁護団長は、「屋内避難は3日が限度」などと言った原子力規制委員会は、避難計画については全く見直さない、見通しがないということを示した、と述べました。また再稼働された女川原発について、能登半島地震の教訓を活かさず、逃げ場のない半島で再稼働するなんてとんでもない話だと指摘しました。

報告集会終了後、参加者は「敷地内断層は本当に動かないのか―規制委による判断の問題点―」と題して宮本研太弁護士を講師として学習会を開催しました。
宮本弁護士は有識者会合の結論が覆される経過をたどりながら、「本当にそうなのか」と疑問を投げかけ、北電の用いた「鉱物脈法」は活動を否定する決定的根拠とはならないこと、また今回の能登半島地震が敷地内断層に与えた影響についての調査が不十分だということを鋭く追求しました。

2024年10月1日
by ok
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能登半島地震と志賀原発の現地検証を求める

9月30日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第19回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。9月末にしては暑すぎる日差しの下、裁判所近くに集まった原告や支援者、弁護団は横断幕やのぼり旗を掲げて裁判所まで行進しました。この日は午後3時から裁判が始まりました。

今回原告弁護団は「検証申出書」を提出、今回の能登半島地震が志賀原発にもたらしたトラブルの全容やその深刻さの度合い、そして今後同原発を襲うであろう大規模地震がもたらす具体的な危険性を、正確な事実を基礎としてリアルに認定判断するために、志賀原発プラントやその敷地、関係施設、および原発周辺での隆起などを現地で見分することは必要不可欠だと主張しました。
これに対して、裁判所はまず被告の意見を求めました。被告代理人は「本件は株主代表訴訟であり、被告らは法令に従って行動しており善管注意義務違反はなく、検証は不要」と述べ、一方裁判所は「まずは写真や動画を見て、その上で判断したい」と述べました。

続いて片口弁護士が今回提出した第40準備書面「本件における立証責任の内容と所在」をパワーポイントを使って要約陳述しました。
片口さんは伊方最高裁判決など他の裁判例を紹介し、原発の安全性に関する資料はすべて事業者側が保有しているという「証拠の偏在」を理由に、裁判所は住民側の立証責任を軽減し、実質的な公平を図ってきている、と指摘しました。証拠の偏在という点では、人格権に基づく原発の運転差止請求も、本訴訟のような会社法を根拠とした原発の再稼働についての取締役の違法行為差止請求も同じです。したがって、原発事業者である被告らが「志賀原発に重大事故の発生しうる具体的な危険がない」ことについての立証責任を負うべきである、と主張しました。

最後に裁判所から次々回日程について提案があり、被告側は「一体何をやるのか」、「われわれの主張立証は尽きている」などと訴えましたが、裁判所は「まだやることはある」として日程を決めました。

終了後、裁判所と原告・被告それぞれの間で別々に進行協議がありました。
裁判所は志賀原発再稼働を決めた際の取締役会でどのような議論が行なわれたかについて関心を持っているようで、被告に対して議事録の提出を打診した模様であり、原告に対しては「文書提出命令」の内容をもう少し絞れないかと求めたということです。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は12月18日(水)、次々回は2025年3月17日(月)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。