志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2024年11月1日
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原発からの避難計画なんて「絵に描いた餅」

10月31日、金沢訴訟第43回口頭弁論が5ヶ月ぶりに金沢地方裁判所で行われました。
久しぶりの快晴の空の下、原告・サポーターらは午後1時半に石川門下の白鳥路利家像前に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

今回の原告意見陳述は、国吉正人さん。
国吉さんの故郷は珠洲市大谷地区、能登半島地震の震源地からわずか7kmほどの所です。国吉さんの実家では兄夫婦や95歳の母親が被災して長期の避難生活を強いられたにもかかわらず、そこが孤立していて行くことも連絡することもできなかったこと、また地震から2日後、妻の実家の輪島市に行くのに往復14時間もかかった経験を語り、「寸断された道路で安全に避難するなんて無理」、「壊れた家で屋内退避なんて無理」であり、「原発からの避難計画なんて絵に描いた餅」だと指摘しました。そして9月21日の豪雨で、土砂と濁流が再び故郷を無惨な姿に変えてしまったと語り、「どうか能登半島を誰も立ち入ることのできない不毛の地にしないでください」、「どうか私の大事なふるさとを奪わないでください」と強く訴えました。

今回被告北陸電力側は準備書面(35)を提出し、原告側が前回提出した「能登半島地震で明らかになった耐震安全上の問題点」(第57準備書面…5/13HP参照)について「反論」しました。
裁判長は被告に「原告のもう一本の書面『避難計画の実効性欠如による人格権侵害』(第58準備書面…同HP参照)については反論しないのですか」と訊ね、被告側は「次回反論の書面を提出する」と述べました。
原告側は次回、被告側が初めて出してきた(建設当初の)敷地内断層の写真について、「なぜ今ごろ出てくるのか(有識者会合のときに出てこなかったのか)」ということを追及する予定です。

法廷では以上のやりとりの末、次回の弁論を来年2月10日(月)14時から開催することを決めてわずか24分で終りました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターらは香林坊の県教育会館2階会議室に移って報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約50人が参加しました。

その中で北野原告団長は、今回の衆議院選挙で自公過半数割れになったものの、原発再稼働問題で言えば決して楽観できないことを指摘するとともに、11/24石川県原子力防災訓練の監視活動・住民アンケート活動や、12/14能登半島地震1周年市民集会への参加を呼びかけました。
また岩淵弁護団長は、「屋内避難は3日が限度」などと言った原子力規制委員会は、避難計画については全く見直さない、見通しがないということを示した、と述べました。また再稼働された女川原発について、能登半島地震の教訓を活かさず、逃げ場のない半島で再稼働するなんてとんでもない話だと指摘しました。

報告集会終了後、参加者は「敷地内断層は本当に動かないのか―規制委による判断の問題点―」と題して宮本研太弁護士を講師として学習会を開催しました。
宮本弁護士は有識者会合の結論が覆される経過をたどりながら、「本当にそうなのか」と疑問を投げかけ、北電の用いた「鉱物脈法」は活動を否定する決定的根拠とはならないこと、また今回の能登半島地震が敷地内断層に与えた影響についての調査が不十分だということを鋭く追求しました。

2024年10月1日
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能登半島地震と志賀原発の現地検証を求める

9月30日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第19回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。9月末にしては暑すぎる日差しの下、裁判所近くに集まった原告や支援者、弁護団は横断幕やのぼり旗を掲げて裁判所まで行進しました。この日は午後3時から裁判が始まりました。

今回原告弁護団は「検証申出書」を提出、今回の能登半島地震が志賀原発にもたらしたトラブルの全容やその深刻さの度合い、そして今後同原発を襲うであろう大規模地震がもたらす具体的な危険性を、正確な事実を基礎としてリアルに認定判断するために、志賀原発プラントやその敷地、関係施設、および原発周辺での隆起などを現地で見分することは必要不可欠だと主張しました。
これに対して、裁判所はまず被告の意見を求めました。被告代理人は「本件は株主代表訴訟であり、被告らは法令に従って行動しており善管注意義務違反はなく、検証は不要」と述べ、一方裁判所は「まずは写真や動画を見て、その上で判断したい」と述べました。

続いて片口弁護士が今回提出した第40準備書面「本件における立証責任の内容と所在」をパワーポイントを使って要約陳述しました。
片口さんは伊方最高裁判決など他の裁判例を紹介し、原発の安全性に関する資料はすべて事業者側が保有しているという「証拠の偏在」を理由に、裁判所は住民側の立証責任を軽減し、実質的な公平を図ってきている、と指摘しました。証拠の偏在という点では、人格権に基づく原発の運転差止請求も、本訴訟のような会社法を根拠とした原発の再稼働についての取締役の違法行為差止請求も同じです。したがって、原発事業者である被告らが「志賀原発に重大事故の発生しうる具体的な危険がない」ことについての立証責任を負うべきである、と主張しました。

最後に裁判所から次々回日程について提案があり、被告側は「一体何をやるのか」、「われわれの主張立証は尽きている」などと訴えましたが、裁判所は「まだやることはある」として日程を決めました。

終了後、裁判所と原告・被告それぞれの間で別々に進行協議がありました。
裁判所は志賀原発再稼働を決めた際の取締役会でどのような議論が行なわれたかについて関心を持っているようで、被告に対して議事録の提出を打診した模様であり、原告に対しては「文書提出命令」の内容をもう少し絞れないかと求めたということです。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は12月18日(水)、次々回は2025年3月17日(月)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。

2024年6月6日
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裁判官の交代にともなう更新弁論

6月5日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第18回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。快晴の空の下、裁判所近くに集まった原告や支援者、弁護団は横断幕やのぼり旗を掲げて裁判所まで行進しました。この日は午後3時から裁判が始まりました。

最初に、原告の清水哲男さんが意見陳述しました。北陸電力の社員だった父の持株を相続した清水さんは、2022年の北電株主総会で「能登半島の群発地震の影響が心配であり、志賀原発を廃炉にすべき」と質(ただ)したことにふれ、その懸念が今回の能登半島地震で現実になったのだと述べました。そして、周囲を活断層に囲まれたところで原発を動かすのは多くの県民の安全を脅かし、北電にも甚大な損害を与える危険な行為であり、志賀原発は廃炉を目指すべきだと訴えました。

続いて宮本弁護士が第38準備書面「能登半島地震で明らかになった志賀原発の危険性(2)」の要約陳述を行ないました。その中で、①原発周辺の沿岸断層などについて見落としや過小評価の可能性があること、②今回の地震動や地盤隆起が原発周辺で発生する可能性を考慮していないこと、③敷地内断層に関する調査・検討が不十分、④志賀原発の施設や機器が基準地震動を満たすように設計されていない、⑤避難の困難性など5点について指摘しました。
また、鹿島弁護士は第39準備書面「能登半島地震により志賀原発に発生したトラブルの危険性」の要約陳述を行ない、全交流電源喪失の危険性や使用済み核燃料プールの危険性、原子炉停止機能喪失の危険性について述べ、北電の危機管理能力の欠如を指摘しました。

今回、裁判官が3人とも交代したので、岩淵弁護団長が弁論更新の意見書を陳述しました。
その中で岩淵さんは今回の能登半島地震を踏まえ、①基準地震動の前提となる周囲の断層の判断に誤りがあったこと、②原子力規制委員会で地震の連動性について新規制基準適合性が確認されてもなお、重大事故が発生する危険性があること、③地震による原発事故の場合、避難計画には全く実効性がなく、住民の避難は不可能であること、などを指摘しました。
その上で、「まさに運転中でなかったことが幸いであったという危機感が被告らには皆無」だと批判し、裁判所に適正な判断を求めました。

被告側も「弁論の更新に当っての意見書」を陳述しました。
その中で、本訴訟が会社法360条に基づく株主差止訴訟であり、取締役が「法令もしくは定款に違反する行為をし」、「それによって会社に回復できない損害が生じるおそれがある」かどうかが問題であると述べ、そのいずれも全く問題がないと主張しました。
これはこれまでの主張の繰返しであり、能登半島地震の教訓が何も反映されていない内容です。新しい裁判官が眠気をこらえながら聴いていたのが印象的でした。

裁判終了後、別室で進行協議が行なわれ、傍聴者らは弁護士会館に移動して報告集会を開催しました。

次回の裁判は2024年9月30日(月)、次々回は12月18日(水)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。