志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2022年11月12日
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七尾市からの回答についての見解

「原子力防災計画・避難計画に関する質問書」に対する七尾市からの回答

1.7月上旬に質問書を提出し、問1、2については7月25日の市長交渉の場で、茶谷市長から直接回答を受けた。問3以降の防災問題に関する質問に対しては、当日は意見交換のみとし、私たちの問題意識を確認の上、あらためて文書で回答するとのことだった。質問書提出から約4ヶ月を経た11月10日、回答書を受け取った。質問項目は多岐にわたるとはいえ、七尾市が策定した防災計画、避難計画に対する問いである。丁寧な回答に感謝しつつも、これでは七尾市民からの問い合わせにもスピーディに対応できず、防災体制への不安、不信にもつながるということをまず指摘したい。

2.安全協定については、武元元市長、不嶋前市長と同様、引き続き志賀町と同等の協定を求めていく姿勢を明確に表明された。私たちとしても大いに評価し、締結に向け、後押しをしていきたい。ただし、志賀原発が停止中であっても、協定の交渉中断の理由にはならない。近隣市町との連携を維持しつつ、早急な協議の再開を期待したい。

3.問3以下の回答については、それぞれ疑問点を残している。今後もこのような交渉を継続することを基本的スタンスとしつつ、以下7点に絞って課題を指摘する。

(1)問3について
「市民に被ばくをさせないことを前提として考えている」のならば、まずはその大前提を計画に明記し、そのための具体的取り組みを明らかにすべき。現在の避難計画は低減目標すらない、「被ばくやむなし」計画である。

(2)問4について
「状況に応じた避難」は基本的には正しいと考えるが、実際の運用は難しい。場合によっては家族が奥能登方向と金沢、野々市方向へ分かれて避難するという事態も起こりうる。課題をさらに整理するよう求めていきたい。

(3)問5について
「福島県の対応を参考に」とのこと。数年からさらには10年を超えて依然避難を強いられている避難者も多くいること、七尾市でもそうした事態を想定していることをまずは市民に周知することが大切である。その上で、生活支援や各種制限措置の解除については「福島県の対応」を参考にはしても、安易に手本とすることには警鐘を鳴らしたい。自主避難者への冷酷な対応、被ばく限度年20mSv を基準とした強制帰還政策、損害補償も不十分など、避難者の苦悩に福島県はどこまで対応できているのか、しっかり検証する必要がある。

(4)問7について
児童生徒の引き渡しでは、学校周辺の大変な渋滞が想定される。「警戒事態」ですぐに対応するのは正しいが、バスの確保も含め課題は多い。甲状腺被ばく線量モニタリングに関しては、国はまだマニュアル作成作業中であり、現在、実施体制は整えられていないことを確認しておきたい。 

(5)問9について
多くの観光客、宿泊客が訪れる七尾市ならではの課題について、事業者任せ、国や県任せにすることは許されない。現状と取り組むべき課題について明らかすることを求め、私たちも具体的対策がどれだけ実行されているか確認していきたい。 

(6)問10について
「検討を行う」「現状把握に努める」とのこと。引き続き今後の対応を注視していきたい。 

(7)問13について
市内全域に避難指示が出される可能性があるのに、なぜ庁舎を想定しないのか。行政は福島事故前と同様、本音ではそのような事故は起きないという「安全神話」に縛られているのではないか。防災業務従事者の被ばく問題も同様。住民の安全確保が最優先といえば聞こえはいいが、防災業務従事者の防護対策を軽視しては、防災体制は機能しない。 

4.原子力防災、安全協定に関する課題は今回の質問書の項目で尽きるわけではない。今回提起した課題をさらに深掘りし、残された他の課題についても引き続き提起していきたい。住民の安全を守るための多くの課題が山積する中、再稼働の議論が先走りすることは許されない。

 

2022年11月10日
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志賀町からの回答についての見解

「原子力防災計画・避難計画に関する質問書」に対する志賀町からの回答

1.本年4月末に提出した質問書に対して、11月7日、上記のとおり、文書で回答があった。志賀原発は停止中とはいえ、いま現在も使用済み核燃料を含めた核燃料が、直下の断層の活動性が指摘される原子炉建屋の中に保管されている。原子力防災は再稼働を巡る大きな争点であると同時に、まさに現時点での課題でもある。質問が多岐にわたるとはいえ、回答までに約6カ月もの時間を要したこと、それ自体が原子力防災の運用に大きな不安を与えるものであると、まず指摘しなければならない。

2.質問書は、志賀原発の原子力災害に対して、防災計画の目的に掲げる「住民等の生命、身体及び財産を保護」が果たして実現できるのか、現時点での到達点、未達成の課題について確認するものである。志賀町の原子力防災の大きな特徴は、国の指針や県の計画に単純に追従することなく、独自に「PAZ、UPZの一斉避難」、「全町白山市避難」、「風向きによる避難」を追求している点にある。これ自体は町民の安全・安心を守ろうとする小泉町長の苦心の表れであり、国の指針や県の計画に対する大きな問題提起でもあると私たちは受け止めている。

3.ただし、現行原子力防災体制は、国や県はじめ数多くの防災関係機関との協働、連携のもとで成り立つ仕組みとなっている。志賀町独自の方針は、実際の原子力災害に直面したとき、果たして機能するのか、残念ながら数々の疑問点も指摘せざるを得ない。また、毎年実施される防災訓練に反映されたこともなく、関係機関や地域住民への周知も明らかに不十分である。

4.以上を踏まえ、回答の問題点、注目点を以下指摘する。
(1)「PAZ、UPZの一斉避難」について【質問3(1)】
全面緊急事態でPAZは一斉避難、UPZはまずは屋内退避という段階的避難は、実際に災害に直面したとき成り立つのか、私たちも大いに疑問を抱いている。町民の線引きを避けたい町長の思いは十分に理解する。しかし、果たして一斉避難で大渋滞など混乱は起きないのか、移動手段は迅速に確保できるのか、疑問は解消していない。なにより、志賀町民の一斉避難を周辺自治体住民は屋内退避で見守るというシナリオは、周辺自治体の理解を得られるのだろうか。「今後、協議する」とのことだが、国の指針や県の計画の根幹に抵触する重要課題が、いまだ協議されていないことにも驚きを覚える。

(2)「全町白山市避難」について【同じく質問3(1)】
背景には半島先端方向への避難による孤立化の不安がある。できれば避けたい、特に風向きが半島先端方向への場合はなおさらである。しかし、白山市への避難となると富来地域住民は原発に近づくこととなり、果たして安全な避難行動は実現するのか。回答は「発電所の状況を継続的に把握し、状況に応じて判断する」(3(1)ア)とのこと。仮に実現可能なケースがあるとしても、その判断は町独自でできるのか。また、渋滞問題も含め、全町一斉、同一方向への避難には多くの課題が付随する。町民の安全の確保、不安の解消への思いは理解するが、現状は具体策の無い理想論ではないか。

(3)風向きによる避難について【質問3(2)】
県が想定する「気象条件」により受け入れ困難な場合とは、大雪等で交通が遮断された場合などであり、風向きによる避難先の選択は含まれていない。一方、志賀町は問2(2)の回答にあるように、避難方向を判断するにあたって風向きも考慮するとしている。風向きを考慮した避難は基本的には正しく、住民の安全を守るため、あらゆる可能性を追求したいという思いは共有したい。ただし、地勢的に避難方向の選択肢がほとんどない原発以北の能登地域で、どこまで風向きを考慮すること可能だろうか。そういう場所になぜ立地したのかという根本問題に向き合わざるを得ないのではないか。

(4)問4.5.6.7.8.9.10.11について
防災計画・避難計画に記載された項目を、生活の実態、地域の実情に即して具体的に掘り下げると、多くの検討課題が残さていることが明らかになった。
例えば小中学生の引き渡しも職場の事情、家庭の事情でどこまでスムーズにいくかわからない。高校生になるとさらに事情は複雑となる。要支援者の避難体制の確立は、避難行動時に死亡者を出した福島の大きな教訓だが、体制が整っているとは到底言えない。想定する長期避難の期間については回答がなかったが、原子力災害の現実を直視するうえでも、住民への周知は不可欠である。

5.問1(1)では「より高い実効性の確保に向けて検証を続けてまいりたい」との回答だが、現状は、防災計画の目的に掲げた「住民等の生命、身体及び財産を保護」の実現には程遠く、再稼働の議論が先走りするようなことは決して許されない。
 問12で提起した武力攻撃というリスクも避けては通れない。今回は、この回答について深掘りし議論する機会を設けることはできなかったが、今後も質問書提出の取り組みは継続し、原子力防災を巡る諸課題について、自治体関係者はもちろんのこと、多くの皆さんと議論を深めていきたい。

2022年10月28日
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中能登町に質問書を提出

10月26日、原告団は県内4団体とともに中能登町役場を訪れ、「原子力防災計画・安全協定に関する質問書」を提出しました。七尾市、羽咋市に続き、3箇所目の自治体訪問です。
当日同行したのは、原告団のほか「さよなら!志賀原発ネットワーク」や石川県平和運動センター、原水禁県民会議、社民党県連の代表に加え、地元の住民二人を含めて7名。公務のため宮下為一町長は出席できず、高名参事兼総務課長ほか3名の担当職員が約1時間半にわたって対応しました。

「志賀町と同等の権利」を盛り込んだ安全協定の締結について、高名参事は「七尾市、羽咋市と連携して取り組んでいく」と述べました。立地自治体と同等の権利という場合、それは再稼働の同意権とトラブルがあったときの措置要求権です。中能登町の主体的判断が求められますが、「3首長が集まって協議したことはないので、今は連携していくとしか言えない」とのことでした。
防災計画・避難計画についても、「国や県との連携を図っていく」という言葉が繰り返され、「町民の安全が守れるかどうかの判断はまずもって町が行なうべき」との指摘に対しても、「国や県の計画をもとに訓練を重ねながら検証していく」という発言に終始しました。

原告団の北野団長は、中能登町議会で原発関係の質問が志賀町や七尾市、羽咋市などと比べてかなり少ないことを指摘し、議会や町民の関心が低いとしたら町が一歩踏み出し、「事故は起こる」ことを前提に町民に問題点を突きつけ、覚悟を迫ることも必要ではないか、と訴えました。
また「さよなら!志賀原発ネットワーク」の中垣代表は、今日は「県や国と連携して…」ばかり聞かされたが、原子力防災に関して町でできることはいくらでもある。そこは町で独自に方針を立てて実行してほしい、と求めました。

 

北陸中日新聞(10/27)
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