志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

〒920-0024 金沢市西念3-3-5 フレンドパーク石川5F TEL (076)261-4657

2022年12月28日
by ok
0 comments

質問書をめぐり、県と質疑応答

12月27日、原告団は「さよなら!志賀原発ネットワーク」や「石川県平和運動センター」、「社民党石川県連合」などの代表とともに石川県庁を訪れて「原子力防災計画・安全協定に関する質問書」を提出し、県の担当者と質疑応答を行ないました。

申入れの回答では、県の消極的な態度が目立ちました。たとえば、安全協定に関するやりとりはこんな具合です。
K原子力安全対策室長)安全協定は法律に基づくものではない。事業者である北陸電力と自治体との協議によるものであり、その動向を注視していきたい。県としては、自治体からの要請があれば協議の場に立ち会い、納得できる合意形成がなされるよう努めていきたい。
Q)原発建設で、県は国策を推進する立場で関わってきた。その県が、安全協定に関して市町の動向を注視するだけでは、あまりにも第三者的、傍観者的態度ではないか。
K)県と北陸電力とは安全協定を最初に結んでおり、その立場から報告を受けている。中立の立場というのは変わらない。

Q)安全協定というのは法律に根拠があるわけでなく、政治的な判断も含め、各都道府県、市町村が電力会社と協定を交わしている。同意権を含む安全協定の拡大について、谷本前知事は極めて消極的で、同意権は立地県、立地町だけに留めておきたいという態度だった。それを転換して中立になるという意味なのか。
K)県政に変わりはないが、考え方の違い、立場の違いで相違が出てくる。反対派の立場、賛成派の立場があり、県は中立の立場だ。

Q)私たちは昨年以降、志賀町や七尾市、羽咋市など周辺自治体に足を運び、対話をしてきた。七尾市や羽咋市は引き続き志賀町と同等の権利を求めていくと述べており、中能登町も足並みを揃えると言っている。また富山県、氷見市も同等の権利を求めていく方針だ。そういう要請があった場合、県は協力すると受け止めていいか。
K)県は双方が納得いく合意形成が成されるよう努めていく。

Q)北陸電力は同等の権利を拡大したくないという立場で、自治体側は同等の権利を望んでいる。そういう中で県はどういうスタンスをとるのか。自治体側を応援する立場に立つのか否かが問われている。
K)まだ自治体からは要請がきていない。現在稼働ができない、審査も進んでいない状況で、様子見かなと思っている。
Q)協力の要請があれば県として後押しをする立場だという理解でいいか。
M原子力防災担当課長)肩入れするとか後押しするのではなく、相談があれば助言を行う。

Q)県は中立ということだが、大事なのは県民の命と暮らしだ。福島事故を経験して、原子力規制委員会も志賀原発は安全だとは言っていない。常に事故は起こりうるという対応をしている。それでも、各市町からの要請がなかったら県は動かないのか。
M)安全協定というのは、まず当事者間で結ぶもの。県の方から積極的にああしろ、こうしろとはならない。

Q 安全協定は志賀原発の稼働前に締結され、今日に至るまでほとんど改定されていない。協定の目的は「原発周辺の住民の安全を確保し、生活環境の保全を図ること」とされているが、「安全」の意味が福島原発事故の後、国の方では変わっている。それまでは、防災面から安全を考えるということはなかった。今は規制庁も、深層防護の第5層の防災をも含めた「安全」という意味に変わっている。防災の範囲も30km圏へと拡大されている。そこまで含めた安全を考えていかなければいけないのではないか。
K)そうですね。防災訓練では、30km圏内の氷見市とも協力している。

Q)訓練も含め、実効性が検証されると思うが、その上で、これで住民の安全を守れるのかという判断は富山県もしなければいけないし、七尾市も羽咋市も輪島市もしなければいけない。そういう意味で安全協定は当然拡大しなければいけないし、石川県もその立場に立つべきではないか。
K)個別の協定に立ち入ってしまうので、ここでは申し上げられない。今のところ、後押しできる状況にはないと考えている。
Q)そこは考え方が違うかもしれないが、安全についての考え方からしても、福島の教訓からしても、当然拡大していかなければならない。そういう認識を県が持っているかどうかが問われている。
K)それは当然持っているという認識だ。

Q)福島の汚染図と石川・富山の地図を重ねたら(防災クリファイルを見せながら)、汚染がひどかった飯館村が氷見や高岡、河北の位置にくる。隣接する富山県と一体となって考える必要がある。待っているのではなく、全体のことを考えて行動してほしい。県としてやれることはたくさんあるのではないか。リーダーシップを期待する。
Q)福島事故後、安全協定の拡大が全国的に進んだ。防災計画の範囲も10kmから30kmに広がった。それでも安全協定締結の範囲は拡大する必要はないという考えなのか。
K)住民がどう考えているか、そこは議会等の中で明確になってくると思う。それで安全協定を結ぶかどうかが決定されていくと思う。まだそこに至っていないという認識だ。

Q)志賀町以外の市町も同等の権利を得たいと表明している。県がそれを理解すると言うなら、話し合いが進んだときは、県としても協力していくのが当然ではないか。
Q)福島の事故の後、安全協定締結への機運が高まったが、その際に水を差して協力をしなかったのは県だ。そこを年頭において、今後の対応をしてもらいたい。
K)立地町との関係も考えながら対応していきたい。

最後に、申入れに参加した盛本芳久県議のあいさつです。
「原発は動いていても止まっていても事故は起こりうる。事故が起こったとき、どれだけ現実味を持って計画を作り、訓練をするかということが大事だ。国の指針やマニュアルを基に計画を作っていると思うが、それでいいのかというところからスタートしてほしい」
「事故が起こったとき一番近いところにいるのが市町であり県だが、市町も危機感が少ないというか現実味がない。本当に事故が起こったら責任をもってどうするんだ、ということが残念ながら伝わってこない。県と市町が密に協議をして、こんなときはどうなんだ、できるのかとか、こんなとき県はどうするんだといった緊迫感のある協議をぜひしていただきたい」

※写真は対応する県職員

2022年12月14日
by ok
0 comments

住民アンケート調査報告

11月23日にに実施された石川県原子力防災訓練。福島原発事故の後、原子力防災計画は大きく見直されました。訓練はこれらの計画の実効性を検証し、その充実を図ることを目的としていますが、はたして住民の命や暮らしを守ることができるのでしょうか。
原子力防災は行政や防災関係機関だけで成り立つものではありません。住民が計画を周知し、理解し、納得して行動することが前提となっています。
私たちは計画の課題や問題点を考えるためには住民の意識を知ることが不可欠だと考え、今回の訓練で避難対象地域となった志賀町と七尾市のみなさまにアンケート調査を実施しました。調査にご協力いただき、貴重なご意見を聴かせてくれた方々に心より感謝申しあげます。
アンケート結果は今後の私たちの活動に多くの示唆を与えてくれるだけでなく、自治体関係者や原子力防災に関心を持つ人にとっても興味深い内容だと思います。今後の防災の議論を深めるための一助になればと思い、報告書を作成しました。ご活用いただければ幸いです。
〈写真は石川県庁での記者発表 12/13〉

避難行動についての住民アンケート調査報告書


2022年12月14日

石川県平和運動センター
さよなら!志賀原発ネットワーク
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
原水爆禁止石川県民会議
社民党石川県連合

 

 

北陸中日新聞(12/14)
※クリックすると拡大

2022年11月24日
by ok
0 comments

原子力防災訓練が実施される

11月23日、志賀原発の重大事故を想定した原子力防災訓練が実施されました。
私たちは石川県平和運動センターや社民党石川県連と連携して、監視活動や住民アンケートを実施しました。
下記は富山市から参加したWさんが地元K新聞に投稿したものです。

《原子力防災訓練に疑問》
 23日に富山県と石川県合同で、志賀原発で重大事故が発生したことを想定した原子力防災訓練が、氷見市などで行われた。私も現地で訓練を見学した。
 志賀原発から30km以内の地区の避難者に、乗用車のドライブスルー方式で安定ヨウ素剤を屋外で配布する海峰小学校の現場を見て驚いた。10数名の職員は作業服に簡易ビニールコートのみ。避難指示地域のわずか外側の場所での屋外作業あり、実際の事故では放射性物質が飛来する危険を想定して、タイベックスーツや靴カバー、ビニール手袋着用で職員の被曝を防ぐべきだ。交通整理で到着した警察官2名はその通りの完全装備であり、見習うべきだ。
 氷見運動公園では、避難した住民の放射線測定などを実施していた。ところが測定作業の職員は通常の作業服のまま。これでは職員の被曝の危険性が高い。知事がヘリで視察というパフォーマンスの前に、職員や住民の被曝予防対策を考え直すべきだと痛感した。

続いて5団体による抗議声明です。

《抗 議 声 明》
本日午前6時30分から志賀原発の事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後では11回目の訓練となるが、私たちは毎回監視行動に取り組み、抗議声明を通じて訓練の課題や問題点を指摘してきた。残念ながら今回も志賀原発の再稼働を前提とし、その一方で事故の影響を過小評価し、最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオでの訓練が繰り返された。重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練に対して強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1.PAZ圏内住民の即時避難は可能か
全面緊急事態で原則即時避難とされているが、サイト内情報が迅速、正確に通報されることが前提である。私たちが懸念するのは、北陸電力の事故隠しや通報の遅れである。臨界事故隠しなど、数多くの前例がある。福島原発事故のように中央制御室で原子炉内の様子が把握できない事態も想定される。このような場合でも敷地周辺のモニタリングポストで異常は検知可能とされるが、志賀原発は他のサイトと異なり、赤住までは400m、福浦も1km余りと、周辺集落との距離が近い。後述するように避難バスが直ちに来る保証もない。放射性物質放出前に常に避難を開始できるかのような訓練が繰り返されているが、前提条件に危うさがある。

2.UPZ圏内住民は「まずは屋内退避」の方針を受け入れていない
規制委は「UPZ圏内では、内部被ばくのリスクをできる限り低く抑え、避難行動による危険を避けるため、屋内退避を基本とすべき」との方針を示し、本日の訓練もその考え方に基づき実施されている。しかし、私たちが訓練と並行して行った住民アンケート調査では、屋内退避方針自体知らない、あるいは従わず避難するという住民が少なからずいることが確認されている(後日、詳細に報告予定)。規制委は「内部被ばくは、木造家屋においては4分の1程度」に抑えられるとするが、それは1993年以降に建てられた住宅であり、1980年以前に建てらえた住宅では低減効果は半分以下の44%とされている。放射性プルームからのガンマ線の外部被ばく遮蔽効果も木造家屋ではほとんど期待できない。「渋滞による大混乱は危険、その危険を避けるために屋内退避で被ばくする」という避難計画の根本的矛盾を多くの住民は見抜いている。

3.バスによる迅速な避難は幻想
県は今年3月、石川県バス協会との間で「災害等におけるバスによる人員等の輸送に関する協定書」を締結し、さらに原子力災害時の業務内容などを運用細則で定めた。しかしバス業界の実態をみると、緊急時のバスの配車は容易ではない。昨今の深刻な運転手不足に加え、コロナ禍による業績悪化、そして今は人流回復による繁忙段階へと入り、各事業者は常に余裕のない運行体制を敷いている。PAZ圏内の集合場所は22カ所あるが、全面緊急事態に至る数時間内に必要台数を確保することはほぼ不可能。「全面緊急事態で直ちに避難」は幻想である。UPZ圏全体で考えても、住民の1割がバス避難と仮定すると約1万5千人。県バス協会加盟事業者が保有する大型の貸し切りバスの253台(うちUPZ圏内事業者は52台)に加え、UPZ内の路線バスもすべて避難用に回すという非現実的想定をしても大幅に不足する。加えてOIL1(500μSv/h超)の場合は、運転手の被ばく問題(線量限度1mSv)もあり、さらに配車は困難となる。

4.様々な複合災害をなぜ想定しない
 今回も複合災害訓練は盛り込まれているが、地震により道路が一か所寸断し、応急復旧で通過可能となるという想定のみである。原子力災害の甚大さを考慮するならば、本来は異常気象による様々な巨大災害との複合災害を想定し、原子力防災が機能するのか真剣に検証すべきだ。最低限志賀町など周辺自治体が作成する土砂災害や洪水のハザードマップ、あるいは交通に重大な影響を及ぼす雪害との複合災害をも想定し、訓練を実施すべきではないか。志賀町の米町川や七尾市の御祓川、二宮川、熊木川などは近年も洪水の実績があり決して絵空事ではない。迅速かつ遠距離の避難が求められる原子力防災にどのような影響を及ぼすのか、課題は何か、なぜ訓練で検証しようとしないのか。最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオだと言わざるを得ない。

5.石川・富山合同の手抜き訓練
石川・富山両県合同の避難退域時検査訓練が氷見運動公園で初めて実施された。今年9月に全面改訂された内閣府および原子力規制庁の「避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」に基づく訓練である。マニュアル自体、改定の都度、「避難の円滑化」との理由から簡略化(手抜き)が進んでいるが、そのマニュアルをさらに簡略化した訓練内容であった。簡易除染でも基準値を下回らなかった車両は想定せず、持ち物の検査なし。検査場所を通過せず避難所へ向かう住民も想定していない。さらに設営の前提となる石川県側からの検査予想台数・人数も明らかにされていない。今回の訓練で、氷見経由の避難がスムーズにできたとの総括は到底許されない。

6.長期避難のリスクを隠す訓練
 県や各市町の防災計画では「長期避難への対応」の項目がある。各市町では福島を参考に数年から10年の避難を想定しているとのこと。ところが本日の訓練に参加する避難者の持ち物を見れば、長期避難の可能性も意識している住民は一人もいない。防災リュックすら見かけない。避難退域時検査場所でも持ち物の汚染検査は想定されていない。ペットを飼う家庭は当然同行避難を考えるが、その対応も見られない。事故を過小評価し、長期避難のリスクを隠す訓練である。

7.最後に―――原子力防災は住民も地域も守らない
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民の命や暮らしが脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を放置し、さらには覆い隠すかのように「重大事故でも無事避難」という防災訓練が繰り返されている。もっとも確実な原子力防災は原発廃炉である。原子力防災は住民を被ばくから守れない。地域を汚染から守ることもできない。私たちは、志賀原発の一日も早い廃炉実現に向けて、引き続き全力で取り組む決意をここに表明する。

2022年11月23日
  志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
  さよなら!志賀原発ネットワーク
  石川県平和運動センター
  原水爆禁止石川県民会議
  社会民主党石川県連合

 

 

 

 

 

 

 

 

左は北陸中日新聞(11/24)、右は朝日新聞(同)