志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2023年2月10日
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金沢訴訟口頭弁論の報告

2月9日、第39回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。

冬晴れの空の下、原告・サポーターらは午前10時半に石川門下の白鳥路入口に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

今回原告意見陳述を行ったのは浅村起嘉さん。
浅村さんは理科の教員をしていたころから、小松市議会議員をしていた時代、そしていしかわ教育総研事務局長をしている現在までの出来事と原子力や原発、地震との関わりを語りました。
そして昨年実施した珠洲市での環境部会フィールドワークを振り返って、「飯田港から能登半島を眺めると海岸段丘が大きく広がり、過去の大きな地殻変動によってこの地形が形成されたことがわかる。志賀原発もこの段丘面上に立地し、地下の断層も大きく見ればその一部」だと述べ、「自然は人間の想像力をはるかに超え、自然災害は想定できなかったところに起こり、人間の都合に合わせてくれない」と指摘して、岸田政権による原発政策の大転換を厳しく批判しました。

被告北陸電力は上申書を提出し、昨年10月13~14日の現地調査を踏まえた原子力規制委員会の審査会合(11月11日および12月23日)について報告しました。そして「敷地内断層の活動性評価について結論が出るまで、そんなに時間はかからないのではないかと思料する」と述べました。
これを受けて裁判長は「規制委員会の審査が進行しており、裁判所の審理方針を変更する必要はない」と表明して次回日程を決め、この日の弁論は約20分で終わりました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターは北陸会館5階ホールで報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約30人が参加しました。
その中で北野原告団長は、GX(グリーントランスフォーメイション)実行会議で示された「原発再稼働の加速、運転期間の延長、新型炉などの新増設」の方針が近いうちに閣議決定されるのではないかと警鐘を鳴らし、富山でのGX基本方針説明会(2月22日)も法案提出に向けたアリバイづくりにさせないよう、しっかり声を上げていこうと訴えました。
富山訴訟原告団長の和田さんは「回復することができない損害」を巡る裁判長とのバトルを報告、東電刑事訴訟の原告でもある浅田さんは、1月18日の東京高裁の法廷のようすや判決の不当性を訴えました。
また「さよなら!志賀原発ネットワーク」の中垣さんは、14日に経産省主催の「北電電気料金値上げ申請に係る公聴会」(富山県民会館)が開催されることを紹介し、北陸電力が消費者の家計の危機を逆手にとって志賀原発再稼働の世論づくりに利用していることを批判しました。

次回の口頭弁論は6月1日(木)、午後2時から開かれます。

2023年1月12日
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原告準備書面に裁判所が「回答」

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第12回口頭弁論が1月11日、富山地裁で行なわれました。快晴の空にくっきりと浮かび上がる立山連峰を背景に、裁判所近くの舗道に集まった原告・弁護団らは横断幕や原告団旗を掲げて裁判所まで行進しました。裁判は3階1号法廷で、午後3時に始まりました。

最初に、原告弁護団が今回提出した「第26準備書面」について、水谷弁護士が要約陳述しました。
この書面は第23準備書面「『回復することができない損害』の意義」を補充するものです。
株主による差止請求権を行使するための要件である「回復することができない損害を生じるおそれ」とは、会社の全資産(北陸電力の場合約1.5兆円)をもってしても償えないような重大事故が発生した場合に限られるとする「裁判所見解」について、多くの学説や立法趣旨からしても、入口で要件を狭めてしまうのはおかしいのではないか、と主張したものです。
これに対して、その場で裁判長が「回答」しました。

裁判所によると、株式会社に回復しがたい損害が生じるかどうかはその会社の規模や業績によって判断される。大規模なインフラ整備を行なう会社などは取締役などの資力を基準にすると、ほとんどの場合に要件を満たすことになり、円滑な業務執行を妨げる。だから「会社が破綻するような損害が生じる場合のみ」とし、最終的には判決で判断すべきもの、と述べました。

これに対して、岩淵弁護団長らが直ちに反論しました。
仮に、回復しがたい損害を「会社を破綻させるような損害」と解釈したとしても、審査中の原発を維持するだけでも数千億円の大きな損害が生じるのであり、それを重大事故が起きる場合に限定する必要はない。また、取締役個人の資産を基準にすべきではないとしても、それと会社の全資産を基準とすることとの間には、論理の飛躍があるのではないか、と指摘しました。

裁判所はこの2点を踏まえて「さらに検討する」としました。
原告はさらに、立証計画の骨子などを次回示すことを表明しました。

一方、被告側は今回、原告の「第24準備書面」(新規制基準の限界)を批判する「準備書面(10)」を提出しました。
法廷では、新たな主張をする予定はないとして、原告に対して主張をとりまとめたものを提出するよう求めました。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は3月20日(月)、次々回は5月31日(水)いずれも午後3時から開かれます。

2022年12月28日
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質問書をめぐり、県と質疑応答

12月27日、原告団は「さよなら!志賀原発ネットワーク」や「石川県平和運動センター」、「社民党石川県連合」などの代表とともに石川県庁を訪れて「原子力防災計画・安全協定に関する質問書」を提出し、県の担当者と質疑応答を行ないました。

申入れの回答では、県の消極的な態度が目立ちました。たとえば、安全協定に関するやりとりはこんな具合です。
K原子力安全対策室長)安全協定は法律に基づくものではない。事業者である北陸電力と自治体との協議によるものであり、その動向を注視していきたい。県としては、自治体からの要請があれば協議の場に立ち会い、納得できる合意形成がなされるよう努めていきたい。
Q)原発建設で、県は国策を推進する立場で関わってきた。その県が、安全協定に関して市町の動向を注視するだけでは、あまりにも第三者的、傍観者的態度ではないか。
K)県と北陸電力とは安全協定を最初に結んでおり、その立場から報告を受けている。中立の立場というのは変わらない。

Q)安全協定というのは法律に根拠があるわけでなく、政治的な判断も含め、各都道府県、市町村が電力会社と協定を交わしている。同意権を含む安全協定の拡大について、谷本前知事は極めて消極的で、同意権は立地県、立地町だけに留めておきたいという態度だった。それを転換して中立になるという意味なのか。
K)県政に変わりはないが、考え方の違い、立場の違いで相違が出てくる。反対派の立場、賛成派の立場があり、県は中立の立場だ。

Q)私たちは昨年以降、志賀町や七尾市、羽咋市など周辺自治体に足を運び、対話をしてきた。七尾市や羽咋市は引き続き志賀町と同等の権利を求めていくと述べており、中能登町も足並みを揃えると言っている。また富山県、氷見市も同等の権利を求めていく方針だ。そういう要請があった場合、県は協力すると受け止めていいか。
K)県は双方が納得いく合意形成が成されるよう努めていく。

Q)北陸電力は同等の権利を拡大したくないという立場で、自治体側は同等の権利を望んでいる。そういう中で県はどういうスタンスをとるのか。自治体側を応援する立場に立つのか否かが問われている。
K)まだ自治体からは要請がきていない。現在稼働ができない、審査も進んでいない状況で、様子見かなと思っている。
Q)協力の要請があれば県として後押しをする立場だという理解でいいか。
M原子力防災担当課長)肩入れするとか後押しするのではなく、相談があれば助言を行う。

Q)県は中立ということだが、大事なのは県民の命と暮らしだ。福島事故を経験して、原子力規制委員会も志賀原発は安全だとは言っていない。常に事故は起こりうるという対応をしている。それでも、各市町からの要請がなかったら県は動かないのか。
M)安全協定というのは、まず当事者間で結ぶもの。県の方から積極的にああしろ、こうしろとはならない。

Q 安全協定は志賀原発の稼働前に締結され、今日に至るまでほとんど改定されていない。協定の目的は「原発周辺の住民の安全を確保し、生活環境の保全を図ること」とされているが、「安全」の意味が福島原発事故の後、国の方では変わっている。それまでは、防災面から安全を考えるということはなかった。今は規制庁も、深層防護の第5層の防災をも含めた「安全」という意味に変わっている。防災の範囲も30km圏へと拡大されている。そこまで含めた安全を考えていかなければいけないのではないか。
K)そうですね。防災訓練では、30km圏内の氷見市とも協力している。

Q)訓練も含め、実効性が検証されると思うが、その上で、これで住民の安全を守れるのかという判断は富山県もしなければいけないし、七尾市も羽咋市も輪島市もしなければいけない。そういう意味で安全協定は当然拡大しなければいけないし、石川県もその立場に立つべきではないか。
K)個別の協定に立ち入ってしまうので、ここでは申し上げられない。今のところ、後押しできる状況にはないと考えている。
Q)そこは考え方が違うかもしれないが、安全についての考え方からしても、福島の教訓からしても、当然拡大していかなければならない。そういう認識を県が持っているかどうかが問われている。
K)それは当然持っているという認識だ。

Q)福島の汚染図と石川・富山の地図を重ねたら(防災クリファイルを見せながら)、汚染がひどかった飯館村が氷見や高岡、河北の位置にくる。隣接する富山県と一体となって考える必要がある。待っているのではなく、全体のことを考えて行動してほしい。県としてやれることはたくさんあるのではないか。リーダーシップを期待する。
Q)福島事故後、安全協定の拡大が全国的に進んだ。防災計画の範囲も10kmから30kmに広がった。それでも安全協定締結の範囲は拡大する必要はないという考えなのか。
K)住民がどう考えているか、そこは議会等の中で明確になってくると思う。それで安全協定を結ぶかどうかが決定されていくと思う。まだそこに至っていないという認識だ。

Q)志賀町以外の市町も同等の権利を得たいと表明している。県がそれを理解すると言うなら、話し合いが進んだときは、県としても協力していくのが当然ではないか。
Q)福島の事故の後、安全協定締結への機運が高まったが、その際に水を差して協力をしなかったのは県だ。そこを年頭において、今後の対応をしてもらいたい。
K)立地町との関係も考えながら対応していきたい。

最後に、申入れに参加した盛本芳久県議のあいさつです。
「原発は動いていても止まっていても事故は起こりうる。事故が起こったとき、どれだけ現実味を持って計画を作り、訓練をするかということが大事だ。国の指針やマニュアルを基に計画を作っていると思うが、それでいいのかというところからスタートしてほしい」
「事故が起こったとき一番近いところにいるのが市町であり県だが、市町も危機感が少ないというか現実味がない。本当に事故が起こったら責任をもってどうするんだ、ということが残念ながら伝わってこない。県と市町が密に協議をして、こんなときはどうなんだ、できるのかとか、こんなとき県はどうするんだといった緊迫感のある協議をぜひしていただきたい」

※写真は対応する県職員