志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2023年3月21日
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原告立証計画に裁判所が関心

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第13回口頭弁論が3月20日、富山地裁で行なわれました。暖かい快晴の空の下、裁判所近くに集まった原告・弁護団は横断幕や原告団旗を掲げて裁判所まで行進しました。裁判は3階1号法廷で、午後3時に始まりました。

最初に、原告弁護団の坂本弁護士が今回提出した「第27準備書面―非常用注水設備の耐震重要度分類が最低ランクであること―」について、パワーポイントを使って要約陳述しました。
地震が発生した場合、原子炉に制御棒が挿入されて核分裂が止められますが、核燃料からは膨大な量の崩壊熱が発生するため水で冷さなければなりません。この役割を担うのが非常用注水設備ですが、この耐震重要度分類がCランク(一般産業施設などと同等の安全性が要求される)になっており、基準地震動を超えない地震でも破損・破壊されるものでしかないことを指摘したものです。
原告はこのほか被告(9)準備書面への反論として「第28準備書面―使用済核燃料プールの安全性」と「第29準備書面―武力攻撃・テロ対策」の計3本の書面を提出しました。
そしてこれに加え、原告としての「立証計画の概要」を提示しました。

一方被告・補助参加人らの代理人は「上申書」を提出し、「『裁判所の見解』による判断枠組に基づいて双方の主張は十分尽くされている」から「可及的早期に弁論を終結」するよう求めました。

これに対して裁判所は、被告らの上申書に言及することなく、原告立証計画の「回復することができない損害を生じるおそれ」に関する「専門家・学者の意見書」に着目し、早急に意見書を提出するよう求めました。
原告弁護団も急いで準備する方針で、会社法360条の「回復できない損害」が「会社の全資産(約1.5兆円)をもってしても償えない(原発事故以外に考えられない)ものだけなのか、それとも「原発再稼働の準備のために費やされる何千億円もの『無駄な』費用」も含まれるのか、本裁判の争点を巡って大きな転換点を迎えているようです。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は5月31日(水)、次々回は9月11日(月)いずれも午後3時から同地裁で開かれます。

2023年2月10日
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金沢訴訟口頭弁論の報告

2月9日、第39回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。

冬晴れの空の下、原告・サポーターらは午前10時半に石川門下の白鳥路入口に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

今回原告意見陳述を行ったのは浅村起嘉さん。
浅村さんは理科の教員をしていたころから、小松市議会議員をしていた時代、そしていしかわ教育総研事務局長をしている現在までの出来事と原子力や原発、地震との関わりを語りました。
そして昨年実施した珠洲市での環境部会フィールドワークを振り返って、「飯田港から能登半島を眺めると海岸段丘が大きく広がり、過去の大きな地殻変動によってこの地形が形成されたことがわかる。志賀原発もこの段丘面上に立地し、地下の断層も大きく見ればその一部」だと述べ、「自然は人間の想像力をはるかに超え、自然災害は想定できなかったところに起こり、人間の都合に合わせてくれない」と指摘して、岸田政権による原発政策の大転換を厳しく批判しました。

被告北陸電力は上申書を提出し、昨年10月13~14日の現地調査を踏まえた原子力規制委員会の審査会合(11月11日および12月23日)について報告しました。そして「敷地内断層の活動性評価について結論が出るまで、そんなに時間はかからないのではないかと思料する」と述べました。
これを受けて裁判長は「規制委員会の審査が進行しており、裁判所の審理方針を変更する必要はない」と表明して次回日程を決め、この日の弁論は約20分で終わりました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターは北陸会館5階ホールで報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約30人が参加しました。
その中で北野原告団長は、GX(グリーントランスフォーメイション)実行会議で示された「原発再稼働の加速、運転期間の延長、新型炉などの新増設」の方針が近いうちに閣議決定されるのではないかと警鐘を鳴らし、富山でのGX基本方針説明会(2月22日)も法案提出に向けたアリバイづくりにさせないよう、しっかり声を上げていこうと訴えました。
富山訴訟原告団長の和田さんは「回復することができない損害」を巡る裁判長とのバトルを報告、東電刑事訴訟の原告でもある浅田さんは、1月18日の東京高裁の法廷のようすや判決の不当性を訴えました。
また「さよなら!志賀原発ネットワーク」の中垣さんは、14日に経産省主催の「北電電気料金値上げ申請に係る公聴会」(富山県民会館)が開催されることを紹介し、北陸電力が消費者の家計の危機を逆手にとって志賀原発再稼働の世論づくりに利用していることを批判しました。

次回の口頭弁論は6月1日(木)、午後2時から開かれます。

2023年1月12日
by ok
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原告準備書面に裁判所が「回答」

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第12回口頭弁論が1月11日、富山地裁で行なわれました。快晴の空にくっきりと浮かび上がる立山連峰を背景に、裁判所近くの舗道に集まった原告・弁護団らは横断幕や原告団旗を掲げて裁判所まで行進しました。裁判は3階1号法廷で、午後3時に始まりました。

最初に、原告弁護団が今回提出した「第26準備書面」について、水谷弁護士が要約陳述しました。
この書面は第23準備書面「『回復することができない損害』の意義」を補充するものです。
株主による差止請求権を行使するための要件である「回復することができない損害を生じるおそれ」とは、会社の全資産(北陸電力の場合約1.5兆円)をもってしても償えないような重大事故が発生した場合に限られるとする「裁判所見解」について、多くの学説や立法趣旨からしても、入口で要件を狭めてしまうのはおかしいのではないか、と主張したものです。
これに対して、その場で裁判長が「回答」しました。

裁判所によると、株式会社に回復しがたい損害が生じるかどうかはその会社の規模や業績によって判断される。大規模なインフラ整備を行なう会社などは取締役などの資力を基準にすると、ほとんどの場合に要件を満たすことになり、円滑な業務執行を妨げる。だから「会社が破綻するような損害が生じる場合のみ」とし、最終的には判決で判断すべきもの、と述べました。

これに対して、岩淵弁護団長らが直ちに反論しました。
仮に、回復しがたい損害を「会社を破綻させるような損害」と解釈したとしても、審査中の原発を維持するだけでも数千億円の大きな損害が生じるのであり、それを重大事故が起きる場合に限定する必要はない。また、取締役個人の資産を基準にすべきではないとしても、それと会社の全資産を基準とすることとの間には、論理の飛躍があるのではないか、と指摘しました。

裁判所はこの2点を踏まえて「さらに検討する」としました。
原告はさらに、立証計画の骨子などを次回示すことを表明しました。

一方、被告側は今回、原告の「第24準備書面」(新規制基準の限界)を批判する「準備書面(10)」を提出しました。
法廷では、新たな主張をする予定はないとして、原告に対して主張をとりまとめたものを提出するよう求めました。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は3月20日(月)、次々回は5月31日(水)いずれも午後3時から開かれます。