志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2024年10月1日
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能登半島地震と志賀原発の現地検証を求める

9月30日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第19回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。9月末にしては暑すぎる日差しの下、裁判所近くに集まった原告や支援者、弁護団は横断幕やのぼり旗を掲げて裁判所まで行進しました。この日は午後3時から裁判が始まりました。

今回原告弁護団は「検証申出書」を提出、今回の能登半島地震が志賀原発にもたらしたトラブルの全容やその深刻さの度合い、そして今後同原発を襲うであろう大規模地震がもたらす具体的な危険性を、正確な事実を基礎としてリアルに認定判断するために、志賀原発プラントやその敷地、関係施設、および原発周辺での隆起などを現地で見分することは必要不可欠だと主張しました。
これに対して、裁判所はまず被告の意見を求めました。被告代理人は「本件は株主代表訴訟であり、被告らは法令に従って行動しており善管注意義務違反はなく、検証は不要」と述べ、一方裁判所は「まずは写真や動画を見て、その上で判断したい」と述べました。

続いて片口弁護士が今回提出した第40準備書面「本件における立証責任の内容と所在」をパワーポイントを使って要約陳述しました。
片口さんは伊方最高裁判決など他の裁判例を紹介し、原発の安全性に関する資料はすべて事業者側が保有しているという「証拠の偏在」を理由に、裁判所は住民側の立証責任を軽減し、実質的な公平を図ってきている、と指摘しました。証拠の偏在という点では、人格権に基づく原発の運転差止請求も、本訴訟のような会社法を根拠とした原発の再稼働についての取締役の違法行為差止請求も同じです。したがって、原発事業者である被告らが「志賀原発に重大事故の発生しうる具体的な危険がない」ことについての立証責任を負うべきである、と主張しました。

最後に裁判所から次々回日程について提案があり、被告側は「一体何をやるのか」、「われわれの主張立証は尽きている」などと訴えましたが、裁判所は「まだやることはある」として日程を決めました。

終了後、裁判所と原告・被告それぞれの間で別々に進行協議がありました。
裁判所は志賀原発再稼働を決めた際の取締役会でどのような議論が行なわれたかについて関心を持っているようで、被告に対して議事録の提出を打診した模様であり、原告に対しては「文書提出命令」の内容をもう少し絞れないかと求めたということです。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は12月18日(水)、次々回は2025年3月17日(月)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。

2024年6月6日
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裁判官の交代にともなう更新弁論

6月5日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第18回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。快晴の空の下、裁判所近くに集まった原告や支援者、弁護団は横断幕やのぼり旗を掲げて裁判所まで行進しました。この日は午後3時から裁判が始まりました。

最初に、原告の清水哲男さんが意見陳述しました。北陸電力の社員だった父の持株を相続した清水さんは、2022年の北電株主総会で「能登半島の群発地震の影響が心配であり、志賀原発を廃炉にすべき」と質(ただ)したことにふれ、その懸念が今回の能登半島地震で現実になったのだと述べました。そして、周囲を活断層に囲まれたところで原発を動かすのは多くの県民の安全を脅かし、北電にも甚大な損害を与える危険な行為であり、志賀原発は廃炉を目指すべきだと訴えました。

続いて宮本弁護士が第38準備書面「能登半島地震で明らかになった志賀原発の危険性(2)」の要約陳述を行ないました。その中で、①原発周辺の沿岸断層などについて見落としや過小評価の可能性があること、②今回の地震動や地盤隆起が原発周辺で発生する可能性を考慮していないこと、③敷地内断層に関する調査・検討が不十分、④志賀原発の施設や機器が基準地震動を満たすように設計されていない、⑤避難の困難性など5点について指摘しました。
また、鹿島弁護士は第39準備書面「能登半島地震により志賀原発に発生したトラブルの危険性」の要約陳述を行ない、全交流電源喪失の危険性や使用済み核燃料プールの危険性、原子炉停止機能喪失の危険性について述べ、北電の危機管理能力の欠如を指摘しました。

今回、裁判官が3人とも交代したので、岩淵弁護団長が弁論更新の意見書を陳述しました。
その中で岩淵さんは今回の能登半島地震を踏まえ、①基準地震動の前提となる周囲の断層の判断に誤りがあったこと、②原子力規制委員会で地震の連動性について新規制基準適合性が確認されてもなお、重大事故が発生する危険性があること、③地震による原発事故の場合、避難計画には全く実効性がなく、住民の避難は不可能であること、などを指摘しました。
その上で、「まさに運転中でなかったことが幸いであったという危機感が被告らには皆無」だと批判し、裁判所に適正な判断を求めました。

被告側も「弁論の更新に当っての意見書」を陳述しました。
その中で、本訴訟が会社法360条に基づく株主差止訴訟であり、取締役が「法令もしくは定款に違反する行為をし」、「それによって会社に回復できない損害が生じるおそれがある」かどうかが問題であると述べ、そのいずれも全く問題がないと主張しました。
これはこれまでの主張の繰返しであり、能登半島地震の教訓が何も反映されていない内容です。新しい裁判官が眠気をこらえながら聴いていたのが印象的でした。

裁判終了後、別室で進行協議が行なわれ、傍聴者らは弁護士会館に移動して報告集会を開催しました。

次回の裁判は2024年9月30日(月)、次々回は12月18日(水)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。

2024年5月14日
by ok
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避難計画の破綻は明らか

5月13日、金沢訴訟第42回口頭弁論が5ヶ月ぶりに金沢地方裁判所で行われました。
雨上がりの空の下、原告・サポーターらは午後2時半に石川門下の白鳥路利家像前に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

元日の能登半島地震後初めての口頭弁論では、最初に北野原告団長が意見陳述を行ないました。
北野さんは自ら撮影した地震前後の写真を法廷で映写し、かつての「珠洲原発予定地」の変わりようを示しました。寺家では1m近い隆起が確認でき、炉心予定地の浅瀬は岩場になっています。北野さんは「珠洲に原発がなくてよかった」という声が、かつて原発を誘致した住民からも、市外・全国からも届いていることを紹介し、北陸電力に「ここは絶対に建てては行けない場所だった」、「珠洲原発の計画自体誤りだった」と認めるべきだ、と迫りました。
1993年志賀原発が営業運転を開始したとき、原発周囲にも能登半島周辺にも大きな活断層はありませんでした。しかし、今や志賀原発周辺は大きな活断層だらけです。北野さんは「次なる大地震に果たして耐えられるのか」と問い、能登半島地震の「教訓」を、①地震学の限界、②原子力防災計画と避難計画の破綻、だと指摘しました。
そして裁判所に対して、「能登半島地震を目の当たりにしても、まだ原子力規制委員会に追従するのか」と厳しく問いただしました。

原告側は続いて宮本弁護士が第57準備書面「能登半島地震で明らかになった耐震安全上の問題点」を、北島弁護士が第58準備書面「避難計画の実効性欠如による人格権侵害」についてそれぞれ要約陳述しました。
最後に岩淵弁護団長が意見陳述し、科学の不確実性についてあらためて言及した上で、地震学は発展途上で原発の安全性に寄与するまでには至っていないと指摘、裁判所に規制委の判断に寄りかかることのない審理を求めました。そして、今回の能登半島地震で避難計画がいかに実効性のないものか誰の目にも明らかになったと述べ、原発の運転が許されないことは明白だと主張しました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターらは金沢弁護士会館2階ホールで報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約50人が参加しました。

次回の口頭弁論は10月31日(木)、午後2時から開かれることになりました。

 

左朝日新聞(5/14)、右北陸中日新聞(同)
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