志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2016年10月20日
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大飯控訴審を傍聴しました

10月19日午後2時より名古屋高裁金沢支部において、大飯原発差止訴訟控訴審の第9回口頭弁論が行われました。 201610-19%e5%a4%a7%e9%a3%af%e6%8e%a7%e8%a8%b4%e5%af%a9%e5%8f%a3%e5%bc%81%e2%91%a8-002hh

福井からバスで乗り込んだ原告や各地からの支援者で満席となった法廷で、弁論の更新がありました。
民事訴訟法に「裁判官が代わった場合には、当事者は従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない」(第249条②)とあり、これを「弁論の更新」といいます。裁判官が交代したとき、本来ならば証拠調べを最初からやり直すべきですが、それはあまりに煩雑なので、口頭弁論の結果を報告させる「更新手続」で済ませています。社会的関心の高い大規模訴訟では、新しい裁判官にもこれまでの審理経過を理解して正しい判断をしてもらうため、相当の時間を取ってこれまでの主張の概要を説明することが多いようです。
原告弁護団の5人がパワーポイントを使って、約2時間かけて更新弁論を行いました。
(1)「福島原発事故の深刻な被害について」島田弁護士、(2)「大飯原発における基準地震動の過小評価について」甫守弁護士、(3)「新規制基準の不合理性・なぜ若狭に15基もの原発がつくられたのか」鹿島弁護士、(4)「津波の危険性」笠原弁護士、(5)「本件原発の不要性について」円居弁護士。
いずれもこれまでの法廷で主張してきた内容ですが、新しい裁判官のみならす、原告・支援者も本訴訟の意義を復習することができました。「わが意を得たり」の陳述に、終わるたびに傍聴席から大きな拍手が起りました(この裁判長は拍手を制止しません)。

その後、次回以降の審理の方針をめぐる協議があり、そこで大きな動きがありました。
裁判長が「裁判所としては、地震からの安全性がいちばん重要な論点だと考えており、基準地震動の問題に大きな関心を持っている」と述べた上で、「この問題に関する専門家の証人を最低一人は調べたい」と表明しました。
そして3人の証人尋問を求めていた原告弁護団に「一人に絞るとすれば…」と尋ね、原告側は元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏の採用を求めました。証人の採否は次回期日(1/30)に最終決定されますが、裁判長は次々回日程を4月24日(予備26日)に決め、原告弁護団に「島崎氏の都合を確認してほしい」と要請しました。

閉廷後、金沢弁護士会館で記者会見・報告集会が開催されました。
201610-19%e5%a4%a7%e9%a3%af%e6%8e%a7%e8%a8%b4%e5%af%a9%e5%8f%a3%e5%bc%81%e2%91%a8-008hhその中で原告弁護団の海渡弁護士は、島崎氏を証人として喚問することがほぼ決まったことを高く評価し、「国の要職にあった氏の証言を裁判所も無視できないだろうし、被告も対応上証人を申請するかも知れない。この裁判はたいへん緊迫した状況になってきた」と述べました。

原告および被告の準備書面、意見陳述書などは「福井から原発を止める裁判の会」ホームページ http://adieunpp.com/judge/kousai.html をご覧ください。

2016年9月2日
by ok
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第20回口頭弁論

9月1日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第20回口頭弁論が金沢地方201609-01志賀廃炉口弁20 004hh裁判所で行われました。
強い日差しの下、多くの原告とサポーターが兼六公園下に集まり、福井や富山などから駆けつけた仲間たちとともに、裁判所まで行進しました。

口頭弁論は午後2時30分から、原告とサポーターでほぼ満席になった法廷で開廷され、原告の盛本芳久さん(原告団副団長・県議)が意見陳述しました。
志賀原発から約8kmのところにある集落で育った盛本さんは、自分の両親の半生にふれながら、産業構造や雇用状況の変化に翻弄され、少子高齢化と過疎化の進行の中で暮してきた能登の生活について語り、原発がそれに深く関わってきたことを明らかにしました。
201609-01志賀廃炉口弁20 016hhh盛本さんは福島事故直後、県議会で自らの質問に谷本知事が答弁した志賀原発再稼働の3条件(福島事故の原因究明、抜本的な安全対策の徹底、防災基本計画の早期見直し)にふれ、それがいずれも不完全・不可能であることを示しました。
そして、一旦事故が起れば弱者ほど軽視され、仮に生き延びても、かけがえのない自然とふるさと、仕事と生活そのものを奪う原発は必要ありません、と強く訴えました。

その後、今後の裁判の進め方についての重要なやりとりがありました。
裁判所は従来から、志賀原発直下の断層が活断層であるかどうかが最大の争点だとしてきました。私たち原告弁護団は、規制委有識者会合の評価書が決定的な証拠であって、活断層の恐れを十分に立証し尽くしたと判断し、次回弁論期日(12/5)での結審を求めました。
一方、被告北陸電力側は今回提出した書面で、評価書は非科学的であり、全くの誤りであると主張しました。

有識者会合の結論が科学的かどうかというのは、いわば学術論争です。私たちが裁判で求めているのは、学説がどちらが正しいかということではありません。
北陸電力はしきりに「専門家の意見が分かれるような問題だから、慎重に検討しなければならない」と言っています。しかし、専門家の判断が分かれるのなら、専門家が一致して安全だと言うまで止めるのがまともな考え方ではないでしょうか?

有識者会合のメンバーは、地質学に関わる4つの学会から推薦された専門家です。その専門家が知恵を出し合い、科学者としての矜持をかけて出したものが評価書です。
北陸電力は最終的な判断は規制委員会でなされるから、評価書は考慮する必要のないものだとも言っています。それなら、これまで3年近くも有識者会合で「活断層ではない」と言い続けてきたのは何だったのか。これから追加のデータを出すと言っていますが、今さら一体何を出すのか。裁判の引き延ばし以外の何物でもありません。

規制委員会が有識者会合の結論を学問的に間違っていると否定できるのか、そんなことはありえません。規制委員会の5人の委員のうち、地質学の専門家は一人(石渡氏)だけ。そして彼は有識者会議の座長であり、評価書をとりまとめたその人です。

裁判所は最終的に、被告の反論も踏まえた上でその後のことを決めたいとし、一応次々回期日も設定(2017/3/16)しました。

201609-01志賀廃炉口弁20 009hh口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館ホールで報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など80余人が参加しました。