志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2021年12月24日
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金沢訴訟口頭弁論の報告

12月23日、第35回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。

この時季の金沢には珍しい快晴の空の下、原告・サポーターらは午後2時15分に石川門下に集まり、志賀原発の廃炉を訴える横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。
傍聴席は全36席。今回も希望者の先着順となり、法廷前の廊下に長い行列ができました。多くの原告・サポーターが駆けつけたため、足りなくなった傍聴席は原告団長らが急遽弁護団席に移って確保しました。

今回原告意見陳述を行ったのは新明 宏さん。
高校、養護学校で理科や農業科の教師をしてきた新明さんは、原子力の活用例としてジャガイモの発芽抑制効果などを教えてきましたが、1986年4月に発生したチェルノブイリ原発事故で、自分が教えてきた認識の甘さを痛感したといいます。
そして2011年3月の福島原発事故によって、未だに故郷に帰ることができない人たちや、心をこめて育ててきた農作物を廃棄しなければならなかった生産者の人たちに思いを寄せ、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を被災した人に最優先に確保すべきだと訴えました。新明さんは最後に、今年に入って珠洲を震源とした地震が60回以上発生していることを指摘し、過ちを再び繰り返さないために、本訴訟を早期に結審することを求めました。

被告北陸電力は事前に提出した「上申書」で、原子力規制委員会の適合性審査の状況や11月18~19日に行なわれた現地調査について報告しました。
これを受けて裁判長は「規制委員会の審査の推移を見守るという審理方針を、従前の通り維持する」と表明し、次回日程を決めただけで、わずか17分で今回の裁判は終わりました。

口頭弁論終了後、北陸会館5階ホールで報告集会が開催され、原告・サポーター、弁護団、マスコミ関係者など約40人が参加しました。

次回口頭弁論は来年4月28日(木)、午後2時から開かれます。

2021年12月15日
by ok
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原告団ニュースを発行しました

原告・サポーターのみなさま。全国で原発訴訟をたたかっている仲間のみなさま。
原告団ニュース第31号を発行しました。

今回は「原発事故からの避難計画」を特集しました。
◇「なぜ今、避難計画なのか」原告団長 北野 進
◇「志賀町からの報告―原発防災を中心にして」原告 堂下 健一(志賀町議)
◇「原発事故・避難指示が出た!どうする??」原告 浅田 正文

どうぞご一読ください。

2021年12月14日
by ok
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逃げる北電に裁判所は訴訟指揮を!

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第8回口頭弁論が12月13日、富山地裁で開かれました。
午後3時に開廷。まず和田廣治原告団長の意見陳述です。
冒頭、和田さんは原告8人全員の意見陳述の機会を認めてくれた裁判所に原告団長として感謝の気持ちを伝えました。その後、この株主差止め訴訟に取り組むに至った経緯や、自分の利益ではなく株主の社会的責任として本件訴訟に臨んでいるという自らの基本的姿勢を明らかにしました。80年代、北電は市民有志の素朴な疑問にすら玄関を閉ざして聞こうともせず、志賀1号機の着工を強行したことからはじまり、90年代に入って株主として株主総会で発言しようとしても暴力的な対応で発言を封じ込められてきたこと、その後の株主総会でも回答拒否が続き、回答したかと思えば実に不誠実、不謹慎な答弁を繰り返したことなど、自らの経験、体験をもとにした陳述は、被告・取締役らが株主の圧倒的支持を得ているという株主総会の実態がいかに虚構に満ちたものであるかを白日の下にさらしました。

続いて、原告代理人小島弁護士が第19準備書面の要約陳述をおこない、自治体作成の避難計画が実現可能性という点で多くの問題点を抱えており、このような中での志賀原発の再稼働は住民の安全を確保できず、被告・取締役らの判断は経営者として善管注意義務及び忠実義務に違反することを明らかにしました
原告はこの日、かつて富山県が行ったSPEEDIによる放射性物質の拡散シミュレーションの内容を明らかにした第18準備書面も提出しています。原発事故による放射能拡散で広域かつ甚大な影響が生じます。地域経済が破壊され、しかも現在の避難計画では住民の安全も守れないことを明らかにしました。
原告はこの間、危険な志賀原発を再稼働させるという取締役らの判断を巡って、取締役らが果たすべき善管注意義務及び忠実義務について具体的に列挙し、どのような検討を重ねてきたのか明らかにするよう求めてきました。しかし、これに対して被告取締役と補助参加人である北電は、株主総会で取締役らの方針は圧倒的大多数の株主の支持を得ているという理屈一辺倒で、具体的な議論内容を一切明らかにしていません。この日も前回までに原告が提出した第13準備書面から第17準備書面について同趣旨の意見書を提出し、原告の主張に対してはぐらかしの対応を続けています。
株主総会だけでなく法廷においてもこうした不誠実な対応を続ける被告らに対して、原告代理人の水谷弁護士は「そもそも本件訴訟の根拠となる会社法360条は法令違反ないしそのおそれと、著しい損害が生ずるおそれという2つの要件を満たすなら差止めが認められるとしている。株主総会での大多数の支持があるとか少数の反対だとかは関係がない」と述べ、被告は一体いつまでこんな理由にならない「理由」を繰り返すのか。裁判所は理由にならないとはっきり指摘すべきだ、と声を大にして反論を展開しました。さらに被告・補助代理人が裁判の長期化は被告取締役に応訴の負担を強い、会社と取引先との関係も不安定にしているとの主張に対しても、「志賀原発のために避難訓練をしなければいけない住民の負担を考えろ!」と一刀両断(傍聴席から拍手)。
これに対して被告・補助参加人の代理人は従来の主張を繰り返しましたが、その中で「取締役はまだ志賀原発再稼働の判断を行っていない。規制委員会の判断を受け、再稼働の判断をする」と述べました。この発言には岩淵弁護団長がすぐに反応しました。
「規制委の判断が出たら、再稼働するかどうか判断するなんて初めて聞いた。申請前に判断しているはずなのに、もう一回再稼働の判断するのか」と指摘。被告・補助参加人は「(適合性審査の)申請前は再稼働の判断をしたのではない。再稼働を目指しているのだ」とこれまた珍回答。よほど再稼働を決めたプロセスを明らかにしたくないようです。

以上のような激しいやりとりは、実は裁判所の被告らに対する訴訟指揮を求めたものでもあります。「ボールは裁判所にある。訴訟指揮を!」と水谷弁護士は裁判長に視線を向けました。数秒間の沈黙ののち、裁判長は「被告は第13準備書面から第19準備書面に対する考え方を(意見書ではなく)準備書面で提出してほしい」と述べました。原告のこの間の主張に対して、論点ごとに被告らの考えを述べるよう明確に求めたものではありません。この間、「速やかに請求棄却を」などと訴訟進行に対する意見書を提出するなかで、結果的に原告の主張に対して反論を展開してきた被告らです。同様の内容を「準備書面」として提出してくる可能性も残されており、いわゆる玉虫色の訴訟指揮と言わざるをえません。
被告らが次回までにどんな準備書面を提出するのか、それに対して裁判所がどう対応するのか、次回第9回口頭弁論は今後の訴訟の行方を左右する重要な節目となる可能性があります。おおいに注目です。

原告らは閉廷後、富山県弁護士会館に会場を移して報告集会を行ない、和田原告団長、岩淵弁護団長のあいさつに続き、弁護団事務局長の坂本弁護士から法廷での熱いやりとりの解説を受け、今後の見通しや弁護団の対応方針などについて説明を受けました。参加者からの質問や意見交換、さらに金沢訴訟、福島原発事故刑事裁判、東電株主代表訴訟の報告も受け、報告集会は閉会しました。

今後の予定
第9回口頭弁論  3月16日(水)15:00~
第10回口頭弁論 6月15日(水)15:00~