志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2024年11月25日
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原子力防災訓練が実施されました

11月24日、志賀原発の重大事故を想定した石川県の原子力防災訓練が行なわれました。
志賀町で震度7の地震が発生して2号機で外部電源を喪失、炉心冷却が不能となり放射性物質が北方向に拡散したという想定で実施されました。今回は能登半島地震からの復興途上のためとして住民の参加はなく、参加者は約600人と、例年の三分の一ほどの規模となりました。
私たち原告団は社民党石川県連合や石川県平和運動センターなど5団体とともに監視活動を行ない、終了後抗議声明(下記)を発表しました。
また志賀町や七尾市、門前町などで住民アンケートを実施しました。

《抗 議 声 明》
石川県は本日午前7時から志賀原発の重大事故を想定した原子力防災訓練を実施した。
私たちは9月3日、馳浩知事に宛て「能登半島地震によって避難計画の破綻は明らかとなった」と指摘し、今年度の訓練の中止を要請した。福島第一原発事故以降の原子力防災訓練は原発震災による被害を過小評価し、「重大事故でも住民は安全に避難できる」と県民を騙(だま)し、北陸電力の志賀原発の再稼働路線を後押しする「安全キャンペーン」でしかなかったからである。
これに対して県は「能登半島地震を受けて、より現実に即した訓練を実施する」とし、本日の訓練を迎えた。私たちは監視行動を実施し、各会場での訓練内容をチェックしたが、まさに私たちが危惧した通り、「志賀町震度7で志賀原発に重大事故が起こっても、奥能登住民は無事に避難できる」という「新たな安全神話」を意図した訓練であったと言わざるをえない。
私たちは本日の訓練強行に対して怒りを込めて抗議し、以下、具体的問題点を指摘する。

<全体を通じて>
1.能登半島地震の被害の現実を踏まえない訓練
最大震度7を志賀町はじめ奥能登各地で観測した能登半島地震は、内陸地殻内地震としては国内最大規模であり、被害も過去に例を見ないものであった。多くの建物倒壊や道路の通行止め、津波、土砂崩れ、液状化、大規模火災、広域かつ長期にわたる停電・断水・通信障害など、この30年間、日本が経験した大地震による被害が重複して現れ、さらに海岸の隆起・沈降も加わった。これに原子力災害が重なったらどうなるのか。志賀原発周辺住民だけではなく、全国の原発立地地域の住民が、屋内退避も避難もできず被ばくを強いられる恐怖を感じたのである。
一方、志賀原発との関係で能登半島地震を見るならば、立地自治体である志賀町北部で震度7を記録しつつも、原発敷地内の揺れは震度5強とされ、志賀町内の大きな被害は原発の北側(富来地区)に集中し、しかも奥能登地域のような壊滅的な被害には至らなかった。しかし、志賀原発の沖合や半島陸域には次なる大地震を引き起こすことが懸念される大断層が数多く存在しており、また北陸電力は能登半島北部の活断層評価を178kmと見直している。
今回の訓練は、奥能登を襲った複合的、広域的被害が志賀町やその周辺には起こらないだろうという極めて希望的、楽観的な想定下での訓練であり、原発震災の過小評価の繰り返しである。

<以下、時系列的に>
2.楽観的な職員参集訓練
能登半島地震当日の職員参集率は珠洲市20%、穴水町38%、輪島市、七尾市が39%、能登町54%、志賀町62%であった。また、輪島市の坂口市長は市役所へ向かう道路が寸断され、登庁できたのは1月3日であった。オフサイトセンターの運営、特に初動対応においては、責任者はじめ多くの職員の参集も遅れることが想定される。速やかな参集は楽観主義でしかない。

3.外部被ばくを防げない原子力防災用エアーテント
放射線防護施設が被災し、陽圧化できないことを想定してのエアーテントだが、コンクリート壁かつ鉛のカーテンが設置され、外部被ばくを防ぐ機能も併せ持つ放射線防護施設の代替施設とはならない。

4.避難判断における航空機モニタリングの役割は限定的
UPZ内のOILに基づく防護措置は、各地域に設置されたモニタリングポストで測定された空間線量率で判断することが原則とされており、さらに定点サーベイを補完する手段として走行サーベイがある(原子力規制庁作成{緊急時モニタリングについて}より)。航空機モニタリングはこれらが実施不可の場合、あるいは広範囲のモニタリングが必要な場合に活用されるものである。モニタリングポストの速やかな復旧ができないことをカムフラージュする訓練でしかない。

5.原発に向かう避難訓練
志賀町北部や輪島市の住民は避難計画に定められた能登町や輪島市が被災し避難できないとして、白山市や野々市町に向かう訓練が行われた。放射性物質が放出されている中、原発方向へ逃げることとなる。住民に被ばくを強いる訓練は、計画の破綻を認めたようなものである。

6.能登半島地震の検証も反省もない孤立集落対応訓練
能登半島地震では最大24集落、3,345人が孤立し、実質的に孤立が解消されたのは1月19日であった。原子力防災訓練では毎回、孤立集落対応として船舶やヘリを活用する訓練が盛り込まれてきた。しかし能登半島地震では原子力災害が起こらなかったが、孤立集落の解消に長時間を要したのである。船舶やヘリは一部で活用されはしたが、ほぼ無力に近い状態だった。こうした現実に対する検証も反省もなく、なぜ同じ訓練を繰り返すのか。
そもそも船舶やヘリによる避難は天候に左右され、これまでも頻繁に中止とされてきた。にもかかわらず今回の訓練では、沖合で船舶を乗り換えるという、荒天時にはさらに困難な訓練が予定されていた。結果として前日の荒天で中止となった。海路、空路に依存せず住民を避難させることができるのかが問われている。中止となった場合の対応を考えるのは当然であり、荒天時に住民に被ばくを強いるしかないなら、計画は破綻である。

7.最後に―「能登半島地震の現実に即した訓練」は不可能―
北陸電力からの正確な情報発信は期待できない。放射能の拡散状況は把握できない。屋内退避はできず放射線防護施設も損傷し、主要幹線の多くも通行止め、多くの自家用車が失われ、避難用のバスや福祉車両もたどり着けない、そもそも自治体は屋内退避や避難の指示を住民に周知できない。これらはすべて能登半島地震の「現実」である。能登半島地震の現実に即した訓練は不可能であり、「避難計画は破綻」と確認し合うことが本日の訓練の唯一の「成果」である。被災地・石川県の役割は、私たちとともにこの「成果」を国や全国に発信することである。

2024年11月24日
   志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
   さよなら!志賀原発ネットワーク
   石川県平和運動センター
   原水爆禁止石川県民会議
   社会民主党石川県連合
   石川県勤労者協議会連合会

 

 

 

 

 

 

 

北陸中日新聞(11/25)※クリックすると拡大

2024年11月1日
by ok
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原発からの避難計画なんて「絵に描いた餅」

10月31日、金沢訴訟第43回口頭弁論が5ヶ月ぶりに金沢地方裁判所で行われました。
久しぶりの快晴の空の下、原告・サポーターらは午後1時半に石川門下の白鳥路利家像前に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

今回の原告意見陳述は、国吉正人さん。
国吉さんの故郷は珠洲市大谷地区、能登半島地震の震源地からわずか7kmほどの所です。国吉さんの実家では兄夫婦や95歳の母親が被災して長期の避難生活を強いられたにもかかわらず、そこが孤立していて行くことも連絡することもできなかったこと、また地震から2日後、妻の実家の輪島市に行くのに往復14時間もかかった経験を語り、「寸断された道路で安全に避難するなんて無理」、「壊れた家で屋内退避なんて無理」であり、「原発からの避難計画なんて絵に描いた餅」だと指摘しました。そして9月21日の豪雨で、土砂と濁流が再び故郷を無惨な姿に変えてしまったと語り、「どうか能登半島を誰も立ち入ることのできない不毛の地にしないでください」、「どうか私の大事なふるさとを奪わないでください」と強く訴えました。

今回被告北陸電力側は準備書面(35)を提出し、原告側が前回提出した「能登半島地震で明らかになった耐震安全上の問題点」(第57準備書面…5/13HP参照)について「反論」しました。
裁判長は被告に「原告のもう一本の書面『避難計画の実効性欠如による人格権侵害』(第58準備書面…同HP参照)については反論しないのですか」と訊ね、被告側は「次回反論の書面を提出する」と述べました。
原告側は次回、被告側が初めて出してきた(建設当初の)敷地内断層の写真について、「なぜ今ごろ出てくるのか(有識者会合のときに出てこなかったのか)」ということを追及する予定です。

法廷では以上のやりとりの末、次回の弁論を来年2月10日(月)14時から開催することを決めてわずか24分で終りました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターらは香林坊の県教育会館2階会議室に移って報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約50人が参加しました。

その中で北野原告団長は、今回の衆議院選挙で自公過半数割れになったものの、原発再稼働問題で言えば決して楽観できないことを指摘するとともに、11/24石川県原子力防災訓練の監視活動・住民アンケート活動や、12/14能登半島地震1周年市民集会への参加を呼びかけました。
また岩淵弁護団長は、「屋内避難は3日が限度」などと言った原子力規制委員会は、避難計画については全く見直さない、見通しがないということを示した、と述べました。また再稼働された女川原発について、能登半島地震の教訓を活かさず、逃げ場のない半島で再稼働するなんてとんでもない話だと指摘しました。

報告集会終了後、参加者は「敷地内断層は本当に動かないのか―規制委による判断の問題点―」と題して宮本研太弁護士を講師として学習会を開催しました。
宮本弁護士は有識者会合の結論が覆される経過をたどりながら、「本当にそうなのか」と疑問を投げかけ、北電の用いた「鉱物脈法」は活動を否定する決定的根拠とはならないこと、また今回の能登半島地震が敷地内断層に与えた影響についての調査が不十分だということを鋭く追求しました。

2024年10月1日
by ok
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能登半島地震と志賀原発の現地検証を求める

9月30日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第19回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。9月末にしては暑すぎる日差しの下、裁判所近くに集まった原告や支援者、弁護団は横断幕やのぼり旗を掲げて裁判所まで行進しました。この日は午後3時から裁判が始まりました。

今回原告弁護団は「検証申出書」を提出、今回の能登半島地震が志賀原発にもたらしたトラブルの全容やその深刻さの度合い、そして今後同原発を襲うであろう大規模地震がもたらす具体的な危険性を、正確な事実を基礎としてリアルに認定判断するために、志賀原発プラントやその敷地、関係施設、および原発周辺での隆起などを現地で見分することは必要不可欠だと主張しました。
これに対して、裁判所はまず被告の意見を求めました。被告代理人は「本件は株主代表訴訟であり、被告らは法令に従って行動しており善管注意義務違反はなく、検証は不要」と述べ、一方裁判所は「まずは写真や動画を見て、その上で判断したい」と述べました。

続いて片口弁護士が今回提出した第40準備書面「本件における立証責任の内容と所在」をパワーポイントを使って要約陳述しました。
片口さんは伊方最高裁判決など他の裁判例を紹介し、原発の安全性に関する資料はすべて事業者側が保有しているという「証拠の偏在」を理由に、裁判所は住民側の立証責任を軽減し、実質的な公平を図ってきている、と指摘しました。証拠の偏在という点では、人格権に基づく原発の運転差止請求も、本訴訟のような会社法を根拠とした原発の再稼働についての取締役の違法行為差止請求も同じです。したがって、原発事業者である被告らが「志賀原発に重大事故の発生しうる具体的な危険がない」ことについての立証責任を負うべきである、と主張しました。

最後に裁判所から次々回日程について提案があり、被告側は「一体何をやるのか」、「われわれの主張立証は尽きている」などと訴えましたが、裁判所は「まだやることはある」として日程を決めました。

終了後、裁判所と原告・被告それぞれの間で別々に進行協議がありました。
裁判所は志賀原発再稼働を決めた際の取締役会でどのような議論が行なわれたかについて関心を持っているようで、被告に対して議事録の提出を打診した模様であり、原告に対しては「文書提出命令」の内容をもう少し絞れないかと求めたということです。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は12月18日(水)、次々回は2025年3月17日(月)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。