志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2024年6月6日
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裁判官の交代にともなう更新弁論

6月5日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第18回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。快晴の空の下、裁判所近くに集まった原告や支援者、弁護団は横断幕やのぼり旗を掲げて裁判所まで行進しました。この日は午後3時から裁判が始まりました。

最初に、原告の清水哲男さんが意見陳述しました。北陸電力の社員だった父の持株を相続した清水さんは、2022年の北電株主総会で「能登半島の群発地震の影響が心配であり、志賀原発を廃炉にすべき」と質(ただ)したことにふれ、その懸念が今回の能登半島地震で現実になったのだと述べました。そして、周囲を活断層に囲まれたところで原発を動かすのは多くの県民の安全を脅かし、北電にも甚大な損害を与える危険な行為であり、志賀原発は廃炉を目指すべきだと訴えました。

続いて宮本弁護士が第38準備書面「能登半島地震で明らかになった志賀原発の危険性(2)」の要約陳述を行ないました。その中で、①原発周辺の沿岸断層などについて見落としや過小評価の可能性があること、②今回の地震動や地盤隆起が原発周辺で発生する可能性を考慮していないこと、③敷地内断層に関する調査・検討が不十分、④志賀原発の施設や機器が基準地震動を満たすように設計されていない、⑤避難の困難性など5点について指摘しました。
また、鹿島弁護士は第39準備書面「能登半島地震により志賀原発に発生したトラブルの危険性」の要約陳述を行ない、全交流電源喪失の危険性や使用済み核燃料プールの危険性、原子炉停止機能喪失の危険性について述べ、北電の危機管理能力の欠如を指摘しました。

今回、裁判官が3人とも交代したので、岩淵弁護団長が弁論更新の意見書を陳述しました。
その中で岩淵さんは今回の能登半島地震を踏まえ、①基準地震動の前提となる周囲の断層の判断に誤りがあったこと、②原子力規制委員会で地震の連動性について新規制基準適合性が確認されてもなお、重大事故が発生する危険性があること、③地震による原発事故の場合、避難計画には全く実効性がなく、住民の避難は不可能であること、などを指摘しました。
その上で、「まさに運転中でなかったことが幸いであったという危機感が被告らには皆無」だと批判し、裁判所に適正な判断を求めました。

被告側も「弁論の更新に当っての意見書」を陳述しました。
その中で、本訴訟が会社法360条に基づく株主差止訴訟であり、取締役が「法令もしくは定款に違反する行為をし」、「それによって会社に回復できない損害が生じるおそれがある」かどうかが問題であると述べ、そのいずれも全く問題がないと主張しました。
これはこれまでの主張の繰返しであり、能登半島地震の教訓が何も反映されていない内容です。新しい裁判官が眠気をこらえながら聴いていたのが印象的でした。

裁判終了後、別室で進行協議が行なわれ、傍聴者らは弁護士会館に移動して報告集会を開催しました。

次回の裁判は2024年9月30日(月)、次々回は12月18日(水)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。

2024年5月26日
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原告団総会を開催

5月25日(土)午後1時30分より、石川県教育会館2F会議室に原告・サポーターら約80人が集まり、2024年度総会が開催されました。前年に引続き、Zoomを使ったオンラインでも多くの原告・サポーターが参加しました。

最初に、北野原告団長があいさつしました。
北野さんは、能登半島地震では各地の地震で発生した家屋の倒壊や火災、津波や液状化などの被害が集中的に現れたと指摘し、これに原発事故が重なって原発震災となったら、果たして避難計画は成り立つのか、それが根本的に問われていると述べました。そして原子力災害対策指針を見直さないと明言した原子力規制委員会山中委員長の姿勢を厳しく批判しました。
そして最後に「6.30全国集会in金沢」への結集を訴え、能登半島地震の被災地にある志賀原発を真っ先に廃炉に持ち込むことで、反原発運動を全国に広げていく突破口にすることを呼びかけました。

つぎに、来賓として岩淵弁護団長があいさつしました。
岩淵さんは今回の能登半島地震の教訓として、第一に、原発事故が起こったとき全く避難ができないということが現実のものとして明らかになったこと、第二に、今回の地震の「はぎとり波」の分析から、志賀原発ではM7.2とほぼ基準地震動に近い揺れが来ていて、M7.6では到底耐えられないことが明らかになったこと、第三に、これまでも主張してきた地震による敷地の隆起の問題、これらを3点セットにして法廷で反転攻勢をかけていくことを表明しました。

続いて議案審議に入り、第1号議案として柚木副団長が1年間の活動報告を、岡崎事務局員が決算報告を行いました。
活動報告では、金沢訴訟の2回の口頭弁論と富山訴訟での4回の口頭弁論についてその成果と課題を明らかにするとともに、1月の能登半島地震以降の中央要請行動や「3.16志賀原発にさよなら集会」についても報告し、1年間の活動を総括しました。
また組織サポーターが350人増えて2千人台を回復したこと、全国からの「被災地支援カンパ」を受けて、能登地区の原告を訪問して「被災お見舞金」を配付したことなども報告されました。

第2号議案では、北野団長が2024年度の活動方針を提案しました。
その中で、原発を取巻く国内外の情勢および各地で広がる再稼働阻止のたたかいの分析に踏まえ、能登半島地震で明らかになった志賀原発の危険性が鋭く指摘されました。そして金沢訴訟・富山訴訟の取り組みとともに、「6.30さよなら!志賀原発全国集会 in金沢」の成功に向けた取り組みが提案されました。

1、2号議案は、役員改選を提案した3号議案とともに、会場の参加者と、参加できなかった原告やサポーター(Zoom参加者を含む)の書面議決書による圧倒的多数の賛成で可決されました。

第2部として元原子力規制委員会委員長代理の島崎 邦彦さんが『地震国日本における原発の危険性』と題して記念講演を行いました。島崎さんは「国内の電力は洋上風力発電でまかなえる」とし、「政府はやるべきことをやらないで、やってはいけないことをやっている」と述べ、「こんなに大きな地震が起きる国で、原発を作ること自体が間違いだ」と指摘しました。

講演終了後、「総会アピール」(下記)が提案され、満場の拍手で確認されました。
最後に、新役員を代表して的場副団長の決意表明と「団結ガンバロウ」によってこの日の集会が締めくくられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北陸中日新聞(5/26)
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2024年5月14日
by ok
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避難計画の破綻は明らか

5月13日、金沢訴訟第42回口頭弁論が5ヶ月ぶりに金沢地方裁判所で行われました。
雨上がりの空の下、原告・サポーターらは午後2時半に石川門下の白鳥路利家像前に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

元日の能登半島地震後初めての口頭弁論では、最初に北野原告団長が意見陳述を行ないました。
北野さんは自ら撮影した地震前後の写真を法廷で映写し、かつての「珠洲原発予定地」の変わりようを示しました。寺家では1m近い隆起が確認でき、炉心予定地の浅瀬は岩場になっています。北野さんは「珠洲に原発がなくてよかった」という声が、かつて原発を誘致した住民からも、市外・全国からも届いていることを紹介し、北陸電力に「ここは絶対に建てては行けない場所だった」、「珠洲原発の計画自体誤りだった」と認めるべきだ、と迫りました。
1993年志賀原発が営業運転を開始したとき、原発周囲にも能登半島周辺にも大きな活断層はありませんでした。しかし、今や志賀原発周辺は大きな活断層だらけです。北野さんは「次なる大地震に果たして耐えられるのか」と問い、能登半島地震の「教訓」を、①地震学の限界、②原子力防災計画と避難計画の破綻、だと指摘しました。
そして裁判所に対して、「能登半島地震を目の当たりにしても、まだ原子力規制委員会に追従するのか」と厳しく問いただしました。

原告側は続いて宮本弁護士が第57準備書面「能登半島地震で明らかになった耐震安全上の問題点」を、北島弁護士が第58準備書面「避難計画の実効性欠如による人格権侵害」についてそれぞれ要約陳述しました。
最後に岩淵弁護団長が意見陳述し、科学の不確実性についてあらためて言及した上で、地震学は発展途上で原発の安全性に寄与するまでには至っていないと指摘、裁判所に規制委の判断に寄りかかることのない審理を求めました。そして、今回の能登半島地震で避難計画がいかに実効性のないものか誰の目にも明らかになったと述べ、原発の運転が許されないことは明白だと主張しました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターらは金沢弁護士会館2階ホールで報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約50人が参加しました。

次回の口頭弁論は10月31日(木)、午後2時から開かれることになりました。

 

左朝日新聞(5/14)、右北陸中日新聞(同)
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