志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2023年3月3日
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「敷地内断層の活動性否定」に対する声明

3月3日、原子力規制委員会は志賀原発の敷地内断層について「活動性は認められない」という判断を下しました。2016年に規制委有識者会合が出した結論を覆したことになります。
これに対して原告団は以下の声明を発出しました。

規制委「志賀原発の敷地内断層の活動性否定」に対する声明

原子力規制委員会は本日(3月3日)、志賀原発の新規制基準適合性に係る審査会合を開催し、評価対象とした10本の敷地内断層についていずれも活動性は認められないとの判断を下した。「活動性は否定できない」とする有識者会合の評価書を2016年4月に受理して以降、約7年間にわたる審査を経ての結論ではあるが、はたして審査は十分尽くされたといえるのだろうか。審査方法は妥当だったのだろうか。
北陸電力は福島原発事故後の2012年、志賀原発からわずか1kmの距離に位置する福浦断層が活断層であることをようやく認め、さらに2017年には北側の富来川南岸断層、海側の兜岩沖断層、碁盤島沖断層がいずれも活断層であることを認めている。さらに現在、福浦断層よりもさらに志賀原発に近い場所に位置するO断層の活動性を巡る議論が続けられている。志賀原発が活断層に囲まれた原発であることが次々と明らかになる中、敷地内断層に限っては活動性なしと断言できるのか、周辺断層からの影響はないのか、よりいっそう慎重な審査と判断が求められるはずである。
適合性審査自体は今後も継続する中、なぜあえて今日、敷地内断層についての結論を出さねばならなかったのか。早計に過ぎると指摘せざるをえない。今後の訴訟や廃炉に向けた取り組みについての基本的な方針をここに表明する。

1.結論の妥当性については疑義が残る。本日の審査会合の内容も含め、この間の審査経過を精査し、弁護団とも協議をし、反論を展開していく。

2.敷地内断層の問題は適合性審査の最初の1項目に過ぎず、今後も周辺活断層による影響はじめさまざまな外的事象による危険性や重大事故等への対処など80項目近い審査が続く。福島原発事故の教訓である「規制と推進の分離」が崩れつつある中、規制の責任を放棄する動きがないか、今後の審査状況を厳しくチェックしていく。

3.志賀原発の危険性は適合性審査の範囲に限定されるものではない。重大事故のリスクに加え、防災・避難経計画の不備や廃炉・廃棄物処理などバックエンド対策、さらにはロシアのウクライナ侵略で顕在化した武力攻撃のリスクなど課題は山積している。原発の必要性神話や経済性神話もすでに崩壊している。引き続き法廷内外で、あらゆる角度から志賀原発の危険性、問題点を訴え、廃炉に向けた取り組みを全力で進めていく。

2023年3月3日
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団


 

北陸中日新聞(3/4)
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2023年2月10日
by ok
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金沢訴訟口頭弁論の報告

2月9日、第39回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。

冬晴れの空の下、原告・サポーターらは午前10時半に石川門下の白鳥路入口に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。

今回原告意見陳述を行ったのは浅村起嘉さん。
浅村さんは理科の教員をしていたころから、小松市議会議員をしていた時代、そしていしかわ教育総研事務局長をしている現在までの出来事と原子力や原発、地震との関わりを語りました。
そして昨年実施した珠洲市での環境部会フィールドワークを振り返って、「飯田港から能登半島を眺めると海岸段丘が大きく広がり、過去の大きな地殻変動によってこの地形が形成されたことがわかる。志賀原発もこの段丘面上に立地し、地下の断層も大きく見ればその一部」だと述べ、「自然は人間の想像力をはるかに超え、自然災害は想定できなかったところに起こり、人間の都合に合わせてくれない」と指摘して、岸田政権による原発政策の大転換を厳しく批判しました。

被告北陸電力は上申書を提出し、昨年10月13~14日の現地調査を踏まえた原子力規制委員会の審査会合(11月11日および12月23日)について報告しました。そして「敷地内断層の活動性評価について結論が出るまで、そんなに時間はかからないのではないかと思料する」と述べました。
これを受けて裁判長は「規制委員会の審査が進行しており、裁判所の審理方針を変更する必要はない」と表明して次回日程を決め、この日の弁論は約20分で終わりました。

口頭弁論終了後、原告・サポーターは北陸会館5階ホールで報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約30人が参加しました。
その中で北野原告団長は、GX(グリーントランスフォーメイション)実行会議で示された「原発再稼働の加速、運転期間の延長、新型炉などの新増設」の方針が近いうちに閣議決定されるのではないかと警鐘を鳴らし、富山でのGX基本方針説明会(2月22日)も法案提出に向けたアリバイづくりにさせないよう、しっかり声を上げていこうと訴えました。
富山訴訟原告団長の和田さんは「回復することができない損害」を巡る裁判長とのバトルを報告、東電刑事訴訟の原告でもある浅田さんは、1月18日の東京高裁の法廷のようすや判決の不当性を訴えました。
また「さよなら!志賀原発ネットワーク」の中垣さんは、14日に経産省主催の「北電電気料金値上げ申請に係る公聴会」(富山県民会館)が開催されることを紹介し、北陸電力が消費者の家計の危機を逆手にとって志賀原発再稼働の世論づくりに利用していることを批判しました。

次回の口頭弁論は6月1日(木)、午後2時から開かれます。

2023年1月12日
by ok
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原告準備書面に裁判所が「回答」

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第12回口頭弁論が1月11日、富山地裁で行なわれました。快晴の空にくっきりと浮かび上がる立山連峰を背景に、裁判所近くの舗道に集まった原告・弁護団らは横断幕や原告団旗を掲げて裁判所まで行進しました。裁判は3階1号法廷で、午後3時に始まりました。

最初に、原告弁護団が今回提出した「第26準備書面」について、水谷弁護士が要約陳述しました。
この書面は第23準備書面「『回復することができない損害』の意義」を補充するものです。
株主による差止請求権を行使するための要件である「回復することができない損害を生じるおそれ」とは、会社の全資産(北陸電力の場合約1.5兆円)をもってしても償えないような重大事故が発生した場合に限られるとする「裁判所見解」について、多くの学説や立法趣旨からしても、入口で要件を狭めてしまうのはおかしいのではないか、と主張したものです。
これに対して、その場で裁判長が「回答」しました。

裁判所によると、株式会社に回復しがたい損害が生じるかどうかはその会社の規模や業績によって判断される。大規模なインフラ整備を行なう会社などは取締役などの資力を基準にすると、ほとんどの場合に要件を満たすことになり、円滑な業務執行を妨げる。だから「会社が破綻するような損害が生じる場合のみ」とし、最終的には判決で判断すべきもの、と述べました。

これに対して、岩淵弁護団長らが直ちに反論しました。
仮に、回復しがたい損害を「会社を破綻させるような損害」と解釈したとしても、審査中の原発を維持するだけでも数千億円の大きな損害が生じるのであり、それを重大事故が起きる場合に限定する必要はない。また、取締役個人の資産を基準にすべきではないとしても、それと会社の全資産を基準とすることとの間には、論理の飛躍があるのではないか、と指摘しました。

裁判所はこの2点を踏まえて「さらに検討する」としました。
原告はさらに、立証計画の骨子などを次回示すことを表明しました。

一方、被告側は今回、原告の「第24準備書面」(新規制基準の限界)を批判する「準備書面(10)」を提出しました。
法廷では、新たな主張をする予定はないとして、原告に対して主張をとりまとめたものを提出するよう求めました。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は3月20日(月)、次々回は5月31日(水)いずれも午後3時から開かれます。