5月26日、金沢訴訟第45回口頭弁論が金沢地方裁判所で行われました。
久しぶりに晴れた空の下、原告・サポーターらは午後1時半に石川門下の白鳥路利家像前に集まり、横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。
今回の原告意見陳述は山吹 啓さん。
輪島市街地にある浄土真宗大谷派寺院のお坊さんの山吹さんは二十代のころ、「日本人は核アレルギーが強くて、原子力の平和利用にも反対するのか」という感覚で、原発など核の平和利用は積極的に推進すべきだと思っていました。
そのころ思いがけない出会いがあり、福井県美浜原発のすぐそばに住む漁師から、「温排水を排出する海は、アワビも魚も海藻も化け物の海や。オレは二度と近づかん」という話を聴きました。山吹さんは「人間が人工的に放射能を作るということは自分たちが存在し得ない環境を作り出すことであり、人間の自己否定以外の何物でもない」と気づきます。
そして、能登半島地震での自らの被災体験と、志賀原発沖でも地震が続いている現状から、「志賀原発はこのまま運転せず廃炉にすべき」だと訴えました。
今回原告弁護団は、第59および第60準備書面を提出し、法廷では宮本弁護士が第59準備書面(続・能登半島地震で明らかになった耐震安全性の問題点)の要約陳述を行ないました。
宮本さんは、①志賀原発周辺の断層(とくに海底活断層)について調査が不十分であること、②能登半島地震クラスの地震が原発周辺で発生する相当程度の可能性があること、③敷地内活断層の調査・検討が不十分であること、④故障した変圧器の設計が甘すぎ、それが極めて重大な問題であること、についてパワーポイントを使って簡潔に陳述しました。そして、原子力規制委員会では原発建設を推進する側の電力会社に都合のいい資料しか提出されず、まして規制委の側から独自に調査することはなく、それを元にして裁判所が判断することには極めて問題がある、とも指摘しました。
閉廷後、非公開の法廷で今後の裁判についての進行協議が持たれました。
金沢訴訟の14年間のうち、半分近くが「規制委員会の判断を待つ」ことに無駄に費やされています。これは以前の裁判体が「規制委の判断がでるまで待ちたい」という姿勢だったからです。原告弁護団は現在の裁判体にその考えを聞かせてもらいたいと迫りました。
これに対して裁判所は「争点次第では、規制委の判断とは別に判決を出すことはあり得る」と述べ、原告被告双方に争点を明確にするよう求めました。
進行協議に参加していた原告団長北野さんは「私たちは規制委の判断を聞きたくて裁判をしているわけではない。本件は私たちの人権の問題であり、それを裁判所に判断してもらいたい」と強く訴えました。
法廷は次回の弁論を9月22日(月)14時から開催することを決めて終りました。
口頭弁論終了後、原告・サポーター、弁護団、報道陣らは隣の金沢弁護士会館会館2階ホールに移って報告集会を開催、マスコミ関係者を含め約40人が参加しました。
北陸中日新聞(5/27)
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