2018年11月11日
by ok
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11月7日、「さよなら!志賀原発ネットワーク」や富山県平和運動センターの代表ら20名が富山市の北陸電力本社を訪れ、志賀原発の廃炉を求める申入書を提出しました。
以下にその全文を掲載します(北電の対応など詳細は「原告団ニュース」でお知らせします)。
申 入 書 2018年11月7日
北陸電力株式会社 代表取締役社長 金井 豊 様
2011年3月11日の東日本大震災以降、志賀原発は1号機、2号機ともに停止したまま、すでに7年半以上が経過しました。この間終始一貫して貴社は「志賀原発の早期再稼働を目指す」として、2014年8月に2号機の新規制基準への適合性審査(安全審査)を申請しました。この時点では原子力規制委員会の有識者会合による敷地内断層の調査及び審査がまだ継続中で、実質的な審査が開始されたのは2016年4月に有識者会合の評価書が提出された後、2016年6月のことです。
しかし、それから2年以上たっても審査は一向に進んでいません。去る9月21日の審査会合では、貴社が提出した資料に説明不足や誤記などの不備があまりに多いことが指摘され、委員からは「論外」、「時間の無駄」といった厳しい言葉が飛ぶ有様でした。それ以前の審査会合でも貴社の見解はたびたび否定され、委員の質問に十分な説明ができずにいる担当者の無様な姿に住民らは「こんな会社が原発を建設し、動かしてきたのか」、「これでも、まだ原発を動かす気なのか」と不安を募らせています。
2号機の審査が進捗せず再稼働は目処が立たない状況ですが、1号機は審査申請の目処さえ立っていません。貴社の経営陣は「敷地内の断層は動かない断層であることをご理解いただけるものと確信している」という趣旨の発言をいまだに繰り返していますが、1号機、2号機ともに再稼働の見込みがないことは明らかで、社内でも「(志賀原発は)“本当に動くのか”と危機感が増している」と、地元紙にも報道されているのが実態です。
2016年4月、透明性・中立性の条件をクリアした4名の専門家からなる有識者会合が、2年以上にわたる審査会合を経て原子力規制委員会に提出した「評価書」の結論は『1号機原子炉直下と2号機タービン建屋の安全上重要な配管直下にある破砕帯(断層)は、いずれも将来活動する可能性が否定できない』というもので、これは新規制基準に照らせば『志賀原発の敷地には原発を建設してならない』ということに他なりません。今まで北陸電力を信用していた住民にとって貴社の主張がことごとく否定された衝撃、そのショックの大きさは計り知れません。この時点で1号機、2号機ともに速やかに廃炉の決断をするべきでした。
志賀原発が停止していても、大雪の冬も猛暑だった今年の夏も電力供給には何ら問題は生じていません。その一方で、原子炉建屋への雨水流入や大雨によるモニタリング・ポスト床上浸水など、原発の安全性に関わる問題が次から次へと起きており、停止中であってもゆるがせにはできないはずの安全管理体制に緩みが生じているのではないかと危惧されます。長期間停止による運転員の志気の低下も気がかりです。
また、昨年度実施された原子力規制委員会と電力事業者による事故を想定した訓練で、貴社は「原子力規制委員会との情報共有」において最低評価でした。理由は「社内の情報共有システムがダウンし発電所の情報が伝わらなかった」という極めてお粗末なもので、こんなことでは到底過酷事故には対応できません。「北陸電力には原発運転の資格なし」と、あらためて言わざるを得ません。
さらに、9月6日に発生した北海道電力管内の全域停電では、原発の再稼働を優先して火力発電所の更新が後回しになっていた、いわば「原発依存が招いた“人災”」ではないかという指摘があります。この指摘は北陸電力にとっても決してよそ事ではありません。
台風による停電でオフサイト・センターが機能停止するなど、昨今多発している自然災害に対する原発の脆弱さも深刻な問題で、原発の存在自体が北陸電力にとっても大きなリスクであるという事実が明らかになっています。
電力供給には必要のない、まったく発電せずに電力を消費しているだけの原発のために、これ以上危険にさらされることのないよう、以下、申し入れます。
【申入れ事項】
1.志賀原発1号機は速やかに廃炉にすること。
2.新規制基準適合性審査が続いている2号機も、直ちに審査の申請を取り下げ、廃炉にすること。