志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2014年9月5日
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9.4講演会を開催しました

9月4日(木)大飯原発京都訴訟の原告団長竹本修三さんと世話人会事務局長の吉田明生さんをお迎えして、講演・学習会を開催しました。会場の石川県教育会館(金沢市香林坊)には原告・サポーターをはじめ、仕事帰りの市民や弁護団、報道関係者など60人余が集まりました。

今年5月に画期的な差止め判決を勝ちとった大飯訴訟は福井県内の原告が提訴した訴訟ですが、若狭地域の原発に対しては、琵琶湖の水で暮らす多くの住民が差止めの訴訟を起しています。大飯原発京都訴訟もその一つで、京都を中心に2千人の大原告団を組織しています。

最初に原告団長の竹本さんが「地震国ニッポンで原発稼働は無理!―5.21福井地裁判決を踏まえて―」と題して講演しました。
竹本さんは京都大学名誉教授、理学博士であり、地震予知連絡会委員も務めた地震の専門家です。201409原発講演会 018hhh
最初に5月21日の大飯訴訟福井地裁判決に言及し、人格権―ふつうの人がふつうに生活する権利―が最も大事だとしたこと、化石燃料の輸入が増えて赤字になるから国富が流失するのではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることこそが国富であり、それを守ることが大切である、と明言したことを高く評価しました。
また原発から250km圏内の原告を当事者と認めたことに関連して、日本の原発から半径250kmの円を描くと、北海道の東部と沖縄を除くすべての地域が含まれることを示し、われわれはみんな当事者であり、自分のこととして原発を考えなければいけないと指摘しました。

続いて竹本さんはご自身が京都地裁の口頭弁論で陳述した画像を用いて説明しました。
地震はどこにでもまんべんなく起るのではなく、細いベルト上の地域(プレートの境界)で発生します。マグニチュード4以上の地震が発生した点を世界地図上に書き込むと、日本列島は真っ黒になります。世界で最も地殻活動が活発な地域の一つです。こんなところに50機もの原発があるのは日本だけであり、世界的にもきわめて異常です。
竹本さんは日本で発生する地震について、4つのプレート(海側2、陸側2)のせめぎ合いによって発生する「海溝型地震」と、内陸型の「断層型地震」に分けてそのメカニズムをわかりやすく説明しました。
また「原発直下の断層が活断層であるかないか」という議論の空しさについても、数多くの例を挙げて指摘しました。
活断層の認定は専門家と言われる人たちの間でも意見が分かれ、そう簡単ではありません。鳥取県西部地震(2000年10月)や福岡県西方沖地震(2005年3月)のように事前に活断層が見出されていないところでも、M7クラスの地震が起きています。また同じ活断層で地震が起きたとしても、断層面が数度違えば、地表に表れる断層は別の所に顔を出します。

竹本さんは、福島第一の事故は震災・津波・人災の複合災で、地震国日本ではこの事故が決して特殊なケースではなく、すべての原発が同じ危険性をはらんでいる、と指摘しました。

201409原発講演会 031hhh次に原告団事務局長の吉田さんが、京都訴訟の現状と原告団の活動について報告しました。京都訴訟の原告の多くが、3.11以降原発の安全神話に目覚めて立ち上がった人だとのこと。現在第3次提訴の原告を募っており、将来的には原告1万人を目指すということです。
吉田さんは「力を合わせて裁判所を包み込むたたかいを繰り広げ、京都でも志賀でも5.21福井地裁のような差止め判決を勝ちとりましょう」と締めくくりました。

この後、参加者との間で質疑応答、意見交流が行われ、活発なやりとりが交わされました。

201409原発講演会 003hh※写真はクリックすると拡大します

2014年7月24日
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大飯判決学習会を開催しました

7月23日、石川県教育会館(金沢市香林坊)で「―大飯差止判決の意義を学ぶ―講演と学習会」が開催され、石川富山の原告・サポーター、市民ら約80人が集まりました。
学習会は「大飯原発訴訟・福井地裁判決の意義」と題した鹿島啓一弁護士の講演を中心に進められました。鹿島弁護士は大飯原発訴訟弁護団のメンバーで、志賀原発訴訟弁護団の一員でもあります。201407大飯判決学習会 012hh

講演の中で鹿島さんは3.11福島原発事故以前の原発訴訟を振り返り、2勝30敗とほとんどが住民側敗訴であったこと、その2勝が1985年もんじゅ名古屋高裁金沢支部判決と1999年志賀原発2号機の第一審判決で、いずれも金沢で言い渡されたことを紹介しました。
そして住民側が負け続けた理由として、判断枠組の問題を指摘しました。従来の裁判における判断枠組というのは、被告電力会社あるいは国が安全基準の合理性、安全基準の適合性を立証すれば一応安全と認めるものでした。原告住民がそれでも危険だと言うならそれを立証せよ、と住民に大きな負担を課していました。判断過程では専門家の判断が尊重され、裁判所の姿勢はきわめて消極的でした。
3.11福島事故後初めての司法判断が同じ枠組を踏襲するのか否か、それが大きな問題でした。
この点について大飯判決では、「本件訴訟においては、本件原発において、生命を守り生活を維持する利益という根源的な権利がきわめて広範に奪われるという事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる」と述べ、きわめて積極的な姿勢がうかがえます。
また従来の裁判例では過度に尊重されていた行政審査についても、「新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく、上記理(具体的危険性が万が一でもあるか否かが判断の対象とされるべきこと)に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる」と述べています。
そして従来の判断枠組では科学的な専門家の意見が尊重されていたわけですが、大飯判決は「上記理に基づく裁判所の判断は必ずしも高度の専門技術的な知識、知見を要するものではない」と述べています。

大飯判決は人格権について、「生命を守り生活を維持する利益は人格権の中でも根幹部分をなす根源的な権利」であると指摘しています。また「原子力発電所の稼働は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべき」とも指摘しています。
そして「大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利がきわめて広範に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定しがたい」と原発の特殊性について述べています。
これらの理由から大飯判決は「生命を守り生活を維持する利益という根源的な権利がきわめて広範に奪われるという事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である」という判断枠組を最終的に提示しています。

こうした判断枠組によって、大飯判決は具体的に3つの危険性を認めました。第一に想定を超える地震が到来する危険性、第二に地震による冷却機能喪失の危険性、第三に使用済み核燃料の危険性です。
鹿島さんは3つの危険性について詳しく説明した上で、論理的帰結として、これらは大飯原発のみならず、日本全国のすべての原発に共通する危険性だということを明らかにしました。

鹿島さんは判決文の中で自らがとくに感動した箇所として「たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流失や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」というくだりを紹介しました。
そして川内原発が今まさに再稼働に向けて緊迫した動きを見せていることに触れ、大飯判決から学ぶたたかい方についても意見を述べました。「まずはあまり科学的専門的に細かいことを話さなくてもいいのではないか。私たちが原発に反対するに至ったのは、そんな細かい話ではななかったはず。原発が他の災害とは比べものにならない被害を及ぼすこと、後世に大きな負の遺産を残すこと、都市と地方の差別や、世代間の差別など。そうしたことを多くの人にわかってもらうためには、わかりやすいことを言えばいい。電力会社がすでに認めていることの中にも、『それで本当にいいんですか』と疑義を差し挟む余地がいくつもある。大飯判決はそれを3つほど指摘したわけで、たたかう際にもこういったわかりやすい話を用いてはどうか」と提案しました。

鹿島さんは最後に「どの実も大切な個性です。子育てをするお母さんは子育てを通じて、ビジネスパーソンはビジネスを通じて、職人さんは物作りを通じて、そして芸術家は芸術を通じて、ご自身の活動を通じて、その能力と個性によってできることがあるはずです。それぞれが自分の生活の場から『反原発』『反差別』を発言してくれるようになれば、きっと原発は止められるし、いつか社会は変わるだろうと思います」という小出裕章さんの言葉を引用しました。そして「私も今できることを模索して、みなさんと力を合わせて頑張っていきたい」と締めくくり、満場の拍手を浴びました。

講演の後、参加者と鹿島弁護士との間で多くの質問や意見がやりとりされ、2時間足らずでしたが、たいへん内容の濃い学習会になりました。
201407大飯判決学習会 010hh

 

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2014年5月15日
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2014年度原告団総会を開催

5月13日、石川県地場産業振興センターに石川富山の原告・サポーターら約80人が集まり、原告団の2014年度総会を開催しました。

201405原告団総会 002hh最初に主催者を代表して北野原告団長があいさつしました。北野さんは総会を前年よりも一ヶ月以上早く開催した理由について、「原告・サポーターが問題意識を共有しながら一刻も早く足元を固め、たたかいを強化していきたいから」だと述べました。北野さんは再稼働路線に突き進む安倍政権の動向と原発をめぐる状況を分析し、福島原発事故以降はじめて大飯原発の差止め判決がこの21日に下されること、各地で裁判をたたかう仲間の全国組織「脱原発全国原告団連絡会」が今秋にも結成されることを紹介しました。最後に、「人権は、憲法ですべての国民に等しく保障された権利であり、その人権に基づいてわれわれは差止めを訴えている」と語り、この裁判の意義をあらためて強調しました。

続いて、岩淵弁護団長があいさつしました。岩淵さんは漫画「美味しんぼ」が福島県や大阪府市、政府から一斉に攻撃されている「異常な」状況にふれ、作品がしっかりした事実関係に基づいて描かれていること、執拗な攻撃は福島の被害を風化させようとする企ての一つであることを暴露しました。
そして、この―年間の口頭弁論の内容を振り返りながら、今後の裁判に対する決意を表明しました。その中で岩淵さんは、被告北陸電力の引き延ばし戦術に乗せられることなく、弁護団としては次回7月の口頭弁論で基本的な主張を出し尽くし、反論がなければ見切り発車をして次の立証段階に入るよう、裁判所にに促す予定であることを明かしました。

 その後議案の審議に入り、堂下事務局長が1年間の活動報告を、岡崎会計担当が決算報告を行いました。
前年度末のサポーター数は2,460人と初年度から600人以上減少し、その収入源を年末カンパなどで何とか補いました。会場からの質問・意見はこのサポーター対策をどうするか、という点に集中しした観があります。
201402-24口弁⑧&集会 039h前年度と同じことを繰り返さないためには、サポーターの状況を事務局がいち早く把握し、一般会員、組織会員別にきめ細かな対策を打つことが必要です。堂下事務局長は、各労組に足を運んで裁判の意義を訴える活動に加えて、一般会員に対しては、ネットワークを駆使してさまざまな角度から働きかけることを追加提案しました。
質疑の後、活動報告、決算報告は挙手で承認されました。

続いて2014年度の活動方針(下記に転載)が事務局長から提案され、予算案、役員案とともに挙手で承認されました。

《活動方針》
安倍政権は早ければこの秋にも、九州電力・川内原発を再稼働させようとしています。また、4月11日に発表された政府のエネルギー基本計画は原発再稼働方針を明記し、加えて原発を重要なベースロード電源と位置づけることによって、将来の新増設にも道を開くものとなっています。さらに、すでに破綻していると多方面から指摘されている核燃料サイクルについても、これまで通り推進するという計画です。
まるで福島原発事故がなかったかのような原発回帰の動きは到底許されるものではありません。志賀原発1、2号機の廃炉を目指してこの裁判を提訴した私たちは、気を引き締め、心新たにして廃炉に向けて活動することが求められています。
2勝31敗―これがこれまでの原発訴訟の結果です。2勝は金沢地裁と名古屋高裁金沢支部の判決ですが、いずれも上級審で覆され、いまだ裁判で止まった原発はありません。
しかし福島原発事故後、原発訴訟をめぐって新たな動きが広まっています。全国ほとんどの立地自治体の住民が営業運転差し止めを求めて裁判に訴えています。今年4月には自治体としては初めて、函館市が大間原発の建設差し止めを求めて東京地裁に提訴しました。
裁判所でも、原発に対する認識を改める動きが出てきています。司法研修所が全国各地の裁判官35人を集めて開催した特別研修会で、原発訴訟について検討・討議されています。4月23日の口頭弁論で岩淵弁護団長が指摘したとおり、これまでに住民の請求を却下してきた裁判官から、反省の声が出てきていることも注目すべきことです。
司法が最後の砦としてあらためて注目されている背景には、民主主義の機能不全、経済の論理から逸脱した原子力ムラの存在があります。脱原発はいまや国民大多数の声です。ところが政治は国民の声を受け止めず、再稼働路線を突き進んでいます。東電は除染や汚染水対策の費用負担や被害住民への経済的保証すらできずに、事実上国の管理下に置かれたにもかかわらず、北電含め電力各社は脱原発への経営方針の転換を拒否しています。原子力ムラは自由主義経済の圏外にあるかのようです。
政治の横暴や原発利権の経済が幅を利かせていますが、それでも奪えないものが基本的人権です。私たちは憲法上すべての国民に認められた人格権と環境権を掲げ、原発の差止めを求めています。私たちの訴訟は多くの住民の基本的人権を根こそぎ奪った福島原発事故を告発するたたかいであると同時に、原発が憲法上許されない存在であることを明らかにするためのたたかいでもあります。訴訟の意義をあらためて確認しつつ、勝訴判決に向かって確かな歩みを進めましょう。

(1)裁判では傍聴席を満席にして口頭弁論に臨もう!
(2)サポーター会員を増やそう!年会費の完納を!
(3)原告団ニュースの充実を!
(4)全国の仲間との連携を!
(5)法廷内外での活動を活発にしていこう!

201405原告団総会 033hh総会終了後、第2部として武本和幸さん(原発反対刈羽村を守る会)が「原発をめぐる状況と反対運動の展望―志賀原発は地震に耐えられるのか」と題して記念講演を行いました。

201405原告団総会chnh

 

 

 

 

※北陸中日新聞 5/14(クリックすると拡大します)