志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2021年7月15日
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富山訴訟口頭弁論が行なわれました

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第6回口頭弁論が7月14日、富山地裁で行われました。
今回も新型コロナ感染防止のため、傍聴席は一席ずつ間隔を空けて17席(マスコミ席を除く)に制限されました。

15時開廷。3月末で転出した和久田道雄裁判長に代わり、新たに着任した松井洋裁判長による初めての口頭弁論です。
最初に、原告清水哲男さんによる意見陳述がおこなわれました。富山県職員OBの清水さんは北陸電力社員だったお父さんが保有していた従業員持株を相続して株主となり、2013年から株主総会に出席してきました。総会では従業員の労働条件や労働災害、原発作業員の労働環境などを重点的に取り上げ、利益優先でコンプライアンス意識が欠如している北電の企業体質を明らかにしてきました。さらに富山県が同社の大株主であることを指摘し、富山県民の多額の税金が投入されている北電は「公共の福祉を重視した事業運営」を図るべきであり原発事業はそれに逆行している、と厳しく批判しました。

続いて裁判官が交代したことによる弁論の更新手続きに入りました。
まず原告の岩淵弁護団長が、福島第一原発事故から10年が経過しあらためて事故の惨状が明らかになっており、安全、安い、必要という3つの原発神話が崩壊したことを指摘しました。その上で、本訴訟は安全性だけでなく、コストや必要性も争点とする訴訟であることに留意するよう求めました。中田・小島弁護士からは、第9準備書面(2020年12月提出)で原告が求めた志賀原発のコストや志賀再稼働の経済合理性などについて被告がまったく回答していないと指摘し、裁判所の訴訟指揮を求めました。
これに対して被告・補助参加人(北電)代理人からは、「弁論更新にあたっての意見書」が陳述され、原告の訴えは会社法360条に基づく株主差止訴訟の要件を満たしていないとして、あらためて請求を棄却するよう求めました。さらに「本件訴訟は原告が自らの主義主張を取締役に押しつけるものだ」などと付け加えましたが、これに対しては原告弁護団が直ちに反論を展開しました。

続いて坂本弁護士がパワーポイントを使って新たに提出した第12準備書面について要約陳述をおこないました。被告らは、原告の第9準備書面による求釈明に対して、原発の危険性に関する箇所についてのみ裁判所からの求めに応じて回答(準備書面〈5〉)しました。しかし、その内容は原告の求釈明の趣旨を曲解し、あるいは回答をはぐらかすなど、正面から応えるものではありませんでした。本準備書面は被告らの不誠実な回答を具体的に指摘し、改めて回答を求めたものです。
被告らはすでに反論は尽くしているとして回答を拒否しましたが、新裁判長は善管注意義務の判断時期について被告に反論があれば検討するよう求めました。
一方、原告側に対しては、志賀原発の重大事故発生について、原告が考える機序(発生のメカニズム)および具体的事実を基にした主張をしてほしいと求めました。

閉廷後、原告・サポーターらは富山県弁護士会館に会場を移し、報告集会を行ないました。
冒頭のあいさつで、和田廣治原告団長は北電が富来川南岸断層を活断層と認めた5月24日の原子力規制委員会の審査会合に言及し、志賀原発は敷地内断層の問題が決着していないことに加え、三方を活断層で囲まれた危険な原発だということが明らかになったと指摘し、訴訟への一層の支援を求めました。
岩淵弁護団長は、北電の経営に重大な影響を及ぼす事故のリスクについて新裁判長も関心を寄せており、もう少し掘り下げるという視点で議論し始めたことを評価したいと述べました。また坂本弁護士は本日の弁論内容を解説する中で、規制委の適合性審査を経るから安全だとする北電の立場に裁判所は立っていない、と指摘しました。
会場からは、被告が北電の「社会的責任」に関して、求釈明に応じる必要は認められないと述べたことに対する抗議の声や、第12準備書面で求めた求釈明に対する裁判長の対応を問う質問などがありました。
最後に、川原登喜の原告副団長が先般の株主総会での石黒副社長の発言「志賀原発を世界最高峰の水準の安全にする」に触れ、「最高水準の安全は志賀原発の廃炉でこそ実現される」と訴えて報告集会を締めくくりました。


今後の予定は以下のとおりです。
第7回口頭弁論 9月29日(水)15:00~
第8回口頭弁論 12月13日(月)15:00~

2021年6月1日
by ok
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金沢訴訟口頭弁論の報告

5月31日、第33回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。

快晴の空の下、原告・サポーターは石川門下の白鳥路入口に集まり、早期結審を訴える横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。
コロナ感染対策として、一人置きに減らされた傍聴席は全38席。今回も先着順となり、法廷前の廊下に長い行列ができました。

今回原告意見陳述を行ったのは山根靖則さん。
山根さんは、3歳のとき父が戦死した「戦争遺児」が「学校の先生」になり、やがて県会議員になった自らの人生を振り返りました。
そして、ドイツのメルケル首相が福島原発事故を知るや即座に自国の原発開発を止める決断をしたことに触れ、「目先の利害よりも将来の地球のことを考える、子どもたちのために今の自分の贅沢(ぜいたく)を控えるという、かつて多くの日本人が持っていたこの『価値観』はいつ、どこで、どうなったのか」と問いかけました。
最後に山根さんは、「人類の手に負えない放射能をこれ以上子どもたちには残さない」という価値観は裁判長も共有できるはず、と述べ「脱原発」の決断を促しました。

その後裁判の進行をめぐる協議があり、裁判長が原告被告双方の進行意見を尋ねました。
今回も被告北陸電力は「上申書」を提出し、5月14日に開催された規制委員会の新規制基準適合性審査会合について報告しました。その中で北電は敷地近傍に分布する福浦断層、兜岩沖断層、富来川南岸断層について「将来活動する可能性のある断層等」と評価したことなどを説明、これに対して規制委がデータの整理と拡充を求めたことを報告し、「審査会合での論点が明確になってきた」と述べました。
原告側はすでに審議は尽くされているとしてあらためて早期結審を主張しましたが、裁判所は昨年7月の審理方針「規制委の結論が出るまで待つ」は変更しないとしました。
原告側が「その『結論』とは何を指すのか、敷地内断層についての判断か」と質(ただ)すと、裁判所は数分間別室で合議した後、「少なくとも敷地内断層についての規制委の判断を待った上で訴訟進行するのが妥当だと考える」と述べました。

審査会合で敷地内断層の結論は未だ出ておらず、今後現地調査も実施されると報じられています。その一方で、敷地近傍の断層についての審査が同時並行的に行なわれています。断層以外の問題も含めて総合的な審査がすべて終わり、稼働の可否についての規制委の最終判断が下されるまで裁判所が座視するとするなら、まさに「司法の責任放棄」と言わざるを得ません。

口頭弁論終了後、北陸会館5階ホールで報告集会が開催され、原告・サポーター、弁護団、マスコミ関係者など30余人が参加しました。

次回の口頭弁論は9月13日(月)、午後2時から開かれます。

2021年3月23日
by ok
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北電の回答は不十分!裁判長が釈明権行使に言及

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第5回口頭弁論が3月22日(月)、富山地裁で行われました。今回も新型コロナ感染防止のため、傍聴席は一席ずつ間隔を空けて17席(マスコミ席を除く)に制限され、抽選の結果、原告やサポーターなど私たちの仲間14人が傍聴できました。

15時開廷。今回の原告意見陳述は林秀樹さん。林さんは志賀原発の着工前から一貫して反対運動に取り組み、90年からは株主として株主総会にも参加、原発推進の経営方針に異議を唱え、問題点を追及してきました。今日の陳述では、株主総会で北電経営陣がまともに答弁しないことや福島第一原発事故を教訓とする姿勢がないことを明らかにし、とくに2007年に発覚した臨界事故隠しで北陸電力には原発を運転する資格も能力もないことが明白になったと指摘しました。脱原発株主運動が着実に支持を広め激励の声が数多く寄せられる中、「原発から撤退させることが株主としての使命」であり、「志賀原発再稼にこだわる北電取締役の間違いを、司法の場で正していただくことを期待します」と力強く訴え、陳述を締めくくりました。

続いて原告弁護団の鹿島弁護士が「第11準備書面」を要約陳述しました。福島第一原発事故から10年が経過した状況を振り返り、今後、志賀原発を再稼働させて重大事故が発生した場合「想定外」の言葉が免罪符にならないと述べ、志賀原発の事故リスクに注目している裁判所に、「再稼働」という判断が持つ重大性をあらためて指摘しました。
原告弁護団からは、昨年12月の大阪地裁大飯原発判決に関する追加主張と求釈明を記した第10準備書面も提出されています。

被告および補助参加人である北陸電力の弁護団からは「準備書面(5)」が提出されました。これは前回原告代理人が提出した「第9準備書面-善管注意義務及び忠実義務に関する主張の補充及び求釈明の申立て-」と、「事故リスクについて関心を持っている」と表明した裁判所への、被告側の「回答」です。
ページ数は29枚、さらに証拠として分厚いファイルが2冊提出されましたが、中身はと言えば「原子力規制委員会の審査を受けるから問題なし」などと、取締役の善管注意義務を問う求釈明の趣旨を誤解・曲解するものでしかありません。
被告弁護団は「現時点で被告の考え方はすべて示し終えた」との認識を示しましたが、裁判長も事故リスクに対する取締役の善管注意義務について、「十分な回答」だったとは捉えていないようです。裁判所として争点整理をし、積極的に釈明を求めていく方針を明らかにしました。
さらに裁判長は原告弁護団の求めに応じ、志賀原発の経済性や再生可能エネルギーへの切り替えの機会喪失などの問題点についても再検討し、次回回答すると表明しました。

引き続き16時から富山県弁護士会館に会場を移し、報告集会が行なわれました。
まず、和田廣治原告団長が大阪地裁大飯判決や3月18日の水戸地裁の原告勝訴判決を引き合いに、「北電は志賀再稼働に力を入れているが、『住民の命を大切にすべき』という判決が続いている。私は司法に期待したい」と述べ、さらなる支援を求めました。
岩淵弁護団長は、水戸地裁判決は全国の弁護団にも大きな影響を与えるとの認識を示しました。そして、フクシマ事故後毎年ほぼ1件は勝訴判決を勝ち取っているが、その支えは国民世論であると指摘し、運動のより一層の拡大を呼びかけました。
坂本弁護団事務局長は法廷内の専門的なやり通りについてわかりやすく解説し、裁判所の積極的な釈明や論点整理への動き、さらに事故リスク以外の論点についての再検討の意向について前向きに評価する認識が示されました。
会場の参加者からは傍聴者の拡大など運動強化への課題を問う質問もあり、金沢訴訟の北野原告団長からは「老朽原発を動かすな!高浜全国集会」の報告、核物質防護問題についての石川県庁への申入れ、そして原子力規制委員会の審査状況などの報告がありました。

今後の予定
第6回口頭弁論 7月14日(水)15:00~
第7回口頭弁論 9月29日(水)15:00~