志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2023年1月12日
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原告準備書面に裁判所が「回答」

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第12回口頭弁論が1月11日、富山地裁で行なわれました。快晴の空にくっきりと浮かび上がる立山連峰を背景に、裁判所近くの舗道に集まった原告・弁護団らは横断幕や原告団旗を掲げて裁判所まで行進しました。裁判は3階1号法廷で、午後3時に始まりました。

最初に、原告弁護団が今回提出した「第26準備書面」について、水谷弁護士が要約陳述しました。
この書面は第23準備書面「『回復することができない損害』の意義」を補充するものです。
株主による差止請求権を行使するための要件である「回復することができない損害を生じるおそれ」とは、会社の全資産(北陸電力の場合約1.5兆円)をもってしても償えないような重大事故が発生した場合に限られるとする「裁判所見解」について、多くの学説や立法趣旨からしても、入口で要件を狭めてしまうのはおかしいのではないか、と主張したものです。
これに対して、その場で裁判長が「回答」しました。

裁判所によると、株式会社に回復しがたい損害が生じるかどうかはその会社の規模や業績によって判断される。大規模なインフラ整備を行なう会社などは取締役などの資力を基準にすると、ほとんどの場合に要件を満たすことになり、円滑な業務執行を妨げる。だから「会社が破綻するような損害が生じる場合のみ」とし、最終的には判決で判断すべきもの、と述べました。

これに対して、岩淵弁護団長らが直ちに反論しました。
仮に、回復しがたい損害を「会社を破綻させるような損害」と解釈したとしても、審査中の原発を維持するだけでも数千億円の大きな損害が生じるのであり、それを重大事故が起きる場合に限定する必要はない。また、取締役個人の資産を基準にすべきではないとしても、それと会社の全資産を基準とすることとの間には、論理の飛躍があるのではないか、と指摘しました。

裁判所はこの2点を踏まえて「さらに検討する」としました。
原告はさらに、立証計画の骨子などを次回示すことを表明しました。

一方、被告側は今回、原告の「第24準備書面」(新規制基準の限界)を批判する「準備書面(10)」を提出しました。
法廷では、新たな主張をする予定はないとして、原告に対して主張をとりまとめたものを提出するよう求めました。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は3月20日(月)、次々回は5月31日(水)いずれも午後3時から開かれます。

2022年10月25日
by ok
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金沢訴訟口頭弁論が行なわれました

10月24日、第38回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。

午前中の小雨が止んで秋晴れの空の下、原告・サポーターらは午後2時に石川門下白鳥路入口に集まり、横断幕や原告団旗、アピール板を掲げて裁判所まで行進しました。
前回同様全席が先着順となり、コロナ禍なら全員が入れなかった(弁護団)ほどの原告・サポーター、支援者らが傍聴しました。

今回原告意見陳述を行ったのは半沢英一(石川教育総研共同代表)さん。
半沢さんは「原発に御用学者の防御壁」という名句を披露し、「今後一番危険なのは、地球上有数の地震地帯に老朽原発が林立する日本ではないか」と指摘しました。そして「今脱原発を選択できなかったら、忘れたころに第二の大原発事故に見舞われ、回復不能のダメージを受ける」。ひょっとしたらその大事故は「なかったとされた断層が動いて志賀原発が全壊し、拡散された放射性物質で能登半島一円が人の住めない場所になるというものかも知れない」と予測し、裁判所に「形式的な作文ではなく、現実に即し歴史の批判に耐えうる判決」を求めました。

被告北陸電力は、今月13~14日に行なわれた原子力規制委員会による2回目の施設内・周辺の断層調査について報告しました。北陸電力の説明に対して「大きな異論は出なかった」などと都合のいい部分のコメントを引用しながら、今後審査会合で議論される予定だと説明しました。

これを受けて裁判長は今回も「規制委員会の判断を待つ、という審理方針を変更する必要はない」とあらためて表明して次回日程を決め、この日の弁論は約17分で終わりました。

口頭弁論終了後、原告・弁護団は北陸会館5階ホールで報告集会を開催し、サポーターと支援者、マスコミ関係者など約40人が参加しました。

その中で北野原告団長は、GX(グリーントランスフォーメイション)実行会議で示された「原発再稼働の加速、運転期間の延長、新型炉などの新増設」を目指す岸田政権の方針を徹底的に批判しました。そして、長引く裁判の間に志賀原発が再稼働されることのないよう、周辺自治体と意見を交わしながら、今の防災計画では住民の安全は到底守れないことを明らかにし、近辺の市町が再稼働の同意権を獲得するために声を上げることを促していきたい、と訴えました。
また富山から参加した富山訴訟原告団長の和田さんは、「裁判長の見解は間違っている」と指摘するなど富山訴訟の熱いやりとりを紹介しながら、次のヤマ場での支援を訴えました。

次回の口頭弁論は来年2月9日(木)、午前11時から開かれます。

2022年10月6日
by ok
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「裁判所の見解」を原告が批判

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第11回口頭弁論が10月5日、富山地裁で行なわれました。裁判所近くに集まった原告・弁護団は、横断幕や原告団旗を掲げて裁判所まで行進しました。今回も傍聴抽選はなく、原告・サポーターは先着順に入場し、裁判は午後3時に開廷されました。

今回原告弁護団は3本の準備書面を提出しました。
最初に坂本弁護士が第23準備書面「裁判所の見解について」をパワーポイントを使って要約陳述しました。
裁判所は前回(6月15日)の口頭弁論において、株主による差止請求権を行使するための要件である「回復することができない損害を生じるおそれ」がある場合(会社法360条3項)とは、「広範囲に放射性物質を飛散させる」ような会社の全資産(北陸電力の場合約1.5兆円)をもっても償えないような重大事故が発生した場合に限られる、と表明しました。
これに対して坂本弁護士は、裁判所の見解は賠償主体を会社(補助参加人)とする点においても、損害の規模・程度の点においても、差止請求権の内容をあまりにも狭めるものであって、従来の学説や裁判例と相容れない(=誤っている)と率直に指摘しました。仮に重大事故が起きなくても、志賀原発を再稼働する準備をするだけでも数十億円もの被害が発生するおそれがある。こうした経済面での被害も善管注意義務の対象になるはずだ、と主張したのです。
また第24準備書面「新規制基準の限界」では、新規制基準は「世界最高レベルの基準」でもないし、田中元規制委員長が何度も表明したように「それをクリアーしたから安全だというものでもない」から、新規制基準に則って再稼働したとしても重大事故が起きる可能性がある、という主張をしています。
また第25準備書面「志賀原発の経済性について」では、大島堅一龍谷大教授の意見書に基づいて、2023年度に再稼働するという(現実的にはあり得ない)北電に有利な想定に立ったとしても、発電コストは志賀2号機で11.8円/kWhとなり、どの電源よりも高くなるということを明らかにしました。

一方被告側は求釈明の回答をしたと称する準備書面(9)を提出しました。
法廷では「裁判所の見解に異論はない」と述べ、原告に対しては被告の準備書面などで反論済みであり、主張は出尽くしている。早期に裁判を終結すべきだとして、結審するよう求めました。

これに対して裁判所は自らの「見解」について正しいとも間違っているとも表明せず、「この点は今後の進行を踏まえた上で、必要に応じて検討する」とし、原告には被告の準備書面(9)に対する反論を、被告には原告第24準備書面に対する反論を、それぞれ次回弁論までに提出するよう求めて閉廷しました。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は2023年1月11日(水)、次々回は3月20日(月)いずれも午後3時から開かれます。