志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2014年9月30日
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第11回口頭弁論が行われました

9月29日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第11回口頭弁論が金沢地方裁判所で行われました。
傍聴に参加する原告・サポーターは兼六公園下の白鳥路入口に集まり、横断幕を掲げた北野原告団長、堂下事務局長、浅田副団長らを先頭に、裁判所まで行進して入廷しました。

裁判は午後1時34分に開廷され、原告側は今回提出した4本の準備書面のうち3本について、パワーポイントを使ってわかりやすく陳述しました。
最初に坂本弁護士が第26準備書面「地震動による重要機器破損の危険」について要約陳述しました。この書面は第5回口頭弁論(2013/7/25)で提出した第13準備書面を補充するものです。201409口弁11 026hhh
坂本さんは伊東良徳弁護士の論文(『科学』2014年3月号)を引用して、福島第一原発事故では、津波が到達する前に1号機の全交流電源が喪失していたことを指摘しました。東京電力が発表した資料によると、非常用交流電源を喪失した時刻は遅くとも15時37分でした。一方、原発敷地の沖合1.5kmに設置された波高計の記録と東電の社員が撮影したデジタルカメラの映像を分析して、津波が原発敷地に到着した時刻は15時38分台かそれ以降であることを示しました。
坂本さんは次に、国会事故調査委員会元委員の田中三彦氏の論文を基に、1号機の非常用復水器(IC)の配管が地震動によって破断した可能性があることを指摘しました。1号機では、原子炉建屋のうち4階内部の損傷が最も激しく、5階の床に設置されていた1.5トンもの大物搬入口の蓋が爆発で吹き飛んで行方不明になっています。坂本さんはIC系配管に損傷があり、そこから漏れた水素による爆発と考えなければ4階での水素爆発は説明がつかないと主張しました。
いずれも「津波原因説」は誤りであることを示唆していますが、にもかかわらず新規制基準では配管強度を高めるなどの地震対策を新たに設けることはなく、被告北陸電力もそのような対策を講じていません。

続いて徳田弁護士が第28準備書面「富来川南岸断層」を要約陳述しました。
201409口弁11 021hhh志賀原発の北9kmに位置する富来川南岸断層について、北陸電力は巌門から富来川までの沿岸を調査した結果、同地は古い時代に形成された扇状地や砂丘面であるとして、耐震設計上考慮する断層ではない、としています。
徳田さんは渡辺満久東洋大教授や立石雅昭新潟大学名誉教授の見解を紹介し、同沿岸が「海成中位段丘」であり、段丘面の高度が富来川の左岸と右岸で急激に変化しており、富来川南岸断層が12~13万年前に活動したことを説明しました。
また立石教授による小浦~赤住~福浦~巌門~西海地域のフィールドワークの内容を紹介し、同所の「海食ノッチ」(波や海水の作用で海食崖の下部にできた窪み)の存在から、富来川南岸断層が6千年前ころの縄文時代中期以降に複数回活動したことも指摘しました。
明らかに富来川南岸断層は「将来活動する可能性のある断層」であり、志賀原発の耐震安全性が確保されているとは到底言えません。

続いて中弁護士が、第29準備書面「耐震設計の欠陥」を要約陳述しました。
過去10年間で5回も基準地震動を超える地震が原発を襲いました。なかでも中越沖地震では基準地震動の2倍を超えるような地震を観測しています。これは地震動の想定に根本的な欠陥があるからです。201409口弁11 030hhh
中さんはその最大の理由として、基準地震動の策定が既往地震に基づく平均像で行われてきたことを明らかにしました。平均像を基に基準設定すれば、50%の事態しかカバーできません。原発というきわめて危険な施設がこのような基準で設計されている現状からすれば、著しく安全性が不足しているのは明らかです。
中さんは「平均像による地震想定しかしていない、安全性を欠いた志賀原発の稼働を阻止するのは、本裁判に与えられたきわめて重大な任務である」と締めくくりました。

今回被告北陸電力からは第10準備書面(S-1断層に関するもの)が出されました。S-1断層はやはり考慮する必要はない、という規制委員会の評価会合での資料そのままの主張で、特段目新しいものは何もありません。
もう一つは第11準備書面で、適合申請をした新基準というのはきちんと意味があり、それによって安全性が担保されるということを主張しています。これは前回のわれわれの主張―新しい基準は福島原発事故を受けても変えていない部分がたくさんあり、そういう基準は意味がない―に対する反論の形をとっています。

弁論終了後、裁判の進行協議が行われました。私たち原告は9月11日付で上申書を提出して、「今まで被告北陸電力は、新規制基準についての適合性審査を申請をするまでは積極的に反論できないと言ってきたが、(もうその理由はなくなったので)今日の期日では、裁判所の下で被告の反論のスケジュールを明確にしてほしい」と申入れました。それを受けて北陸電力側は進行協議の場で、「適合性審査の申請内容が膨大だから、主張は2回から3回に分けて行いたい」と主張しました。
最終的に裁判所は、次回(12/15)、次々回(3/5)の間に適合申請に関する主張、およびそれに関する原告からの主張についての反論を並行して行うようにと、被告に念押ししました。

私たち原告側としては今日で基本的な主張を出し尽くし、ワンステップを超えました。あとは被告から出てくる反論に対して再反論することはありますが、より早く次の立証の段階へ入っていくために、さらに最善の努力を重ねていきたいと思います。
201409口弁11 017hh
口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。

次回口頭弁論は12月15日(月)、次々回は2015年3月5日(木)、いずれも午後1時半から同地裁で開かれる予定です。
また11月5日(水)には、大飯訴訟控訴審の第1回口頭弁論が名古屋地裁金沢支部で開催されます。今回も傍聴してくれた大飯訴訟原告団からの要請に応えて、みんなで最大限の支援をしましょう。

2014年7月12日
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第10回口頭弁論が開かれました

7月10日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第10回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。
201407廃炉口弁10 018hhあの画期的な大飯原発差止め判決以降、初めての口頭弁論です。数多くの原告・サポーターが傍聴に訪れ、裁判員裁判用の広い法廷が一杯にになりました!!

今回原告弁護団は、弁護士登録をして間もない若手弁護士を中心に、4本の準備書面を提出して主張を展開しました。

最初に宮本弁護士が、第22準備書面「原子力発電所施設直下活断層に関する危険性について」要約陳述しました。201407廃炉口弁10 028hhh
S-1断層は志賀原発施設直下にある活断層の一つとして、従来からその危険性が指摘されてきたものです。宮本さんはS-1断層はいずれ必ず動く断層であって、動いたときには原発に対して深刻な影響を及ぼす、とシンプルな議論で指摘しました。種々の批判のある新基準ですら、活断層の真上に原発を建てるべきではないと規定しています。S-1断層が将来活動する可能性のある断層(=活断層)であるという論拠について宮本さんは、パワーポイントを駆使しながら、志賀原発1号機設置許可の際のトレンチ調査で出されたスケッチの中に、非常に明確な活動の跡があることを示しました。一度動いた断層はその部分に力がたまりやすく、周囲の活断層が動いたときに一緒に動いてしまいます。この力学の原理をカレーのレトルトパックを例に、わかりやすく解説しました。

続いて石井弁護士が「新規制基準の適合申請・審査は本訴訟の判断には不要である」と題した第24準備書面を要約陳述しました。
201407廃炉口弁10 033hhh石井さんは福島県の田村市の出身で、昨年12月に登録をしたばかりのホヤホヤの弁護士です。福島原発から30キロ圏内に父母と両親を残していながら、弁護団に加わった葛藤も打ち明けながら、新規制基準の限界を示し、新規制基準に適合しているからといって安全かどうかということは全くわからないと指摘しました。石井さんは裁判所に対して、「被告の時間稼ぎに付き合わないでいただきたい」と強く訴えました。

続いて片岡弁護士が、第25準備書面「テロによる危険性」を要約陳述しました。
福島第一原発事故によって、テロリストたちにハッキリと認識されたことは、中央制御室を占拠するまでもなく、周辺の電気設備に深刻なダメージを与えて電源を断てば、メルトダウンを引き起こせるということでした。また広範囲に放射性物質が拡散し、社会・経済に甚大な被害をもたらしたことも、核を用いたテロ攻撃の「有効性」をさらけ出しました。201407廃炉口弁10 034hhh
日本ではテロというとあまり現実味がないと受け止められがちですが、1970~1999年までに原発を標的としたテロ事件は世界で167件あったということ、また北朝鮮が「労働新聞」で朝鮮半島有事における原発攻撃を示唆するなど、日本における核施設へのテロ攻撃は決して絵空事ではありません。
これに対してわが国の対応は、たとえばテログループの進入を想定した警察と自衛隊の共同訓練は「ノルマのための訓練」の域を出ず、また内部からの情報漏洩や侵入幇助などの対策もきわめて杜撰で、先進国で唯一原発作業員の身元調査を行っていません。
このほか、航空機による進入・衝突や使用済み核燃料プールの脆弱性など、原発に対するテロ攻撃の可能性がかなり高くかつ具体的に存在しているにもかかわらず、核施設において何ら有効な対策がとられていないのが実態です。
片岡さんは、志賀原発におけるテロの危険性を否定することはできず、また実際にテロが行われれば、それにより甚大な被害が生じる具体的な危険性があるから、原発を運転させることは認められない、と主張しました。

最後に中田弁護士が第23準備書面「大飯原発に関する福井地裁判決を受けて」を要約陳述しました。
5月21日に言い渡された大飯判決は、福島原発事故後に初めて示された司法判断です。人格権を憲法上の権利と位置づけ、「これを超える価値を他に見いだすことができない」最も尊重されるべき権利であるとしています。その上で、原子力発電所の運転の利益は「電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由に属するものであって、憲法上は人格権よりも劣位に置かれるべき」であると明言しました。
201407廃炉口弁10 036hhhそして福島原発事故を見れば原子力発電技術の危険性の本質およびその被害の大きさは明らかであり、「大きな自然災害や戦争以外でこの根源的な権利(人格権)が広範に奪われる事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定しがたい」と喝破しました。そして人格権の根幹部分に関する具体的侵害が認められる場合には、侵害の理由・根拠、侵害者の過失の有無、差止めにより侵害者が被る不利益など、他の要素を考慮することなく差止めが認められるとし、原告の立証責任は、具体的危険性であれば「万が一」の危険性の立証で足りる、としました。
これらの判断は、これまで私たちの弁護団が数多くの準備書面で述べてきた主張とほとんど同じ内容です。中田さんは、これらは大飯原発に特有の事情ではなく、すべての原発および原発差止め訴訟に共通の事情であり、当然志賀原発および本訴訟にも妥当するものだと訴えました。

今回被告北陸電力からは、準備書面9(立証責任に関する内容)が原告への「反論」として出されました。これは福島事故後の司法判断について新たな枠組みを求めたわれわれの主張に対して、民事訴訟において立証責任はいかにあるべきかという、従来からのオーソドックスな議論を対置したものに過ぎません。

弁論終了後、多くの原告が残る中で裁判の進行協議が行われ、岩淵弁護団長は次回までに原告の主張を全部出し切ることを宣言しました。岩淵さんは先週伊方訴訟の原告が結審を求めたことを紹介しながら、被告の側に反論がないのなら、打ち切りを求めることを示唆しました。
これに対して被告北陸電力の代理人は、裁判所からの再三にわたる反論の要請にもかかわらず、「努力しますが、次回までに出せるかどうかわかりません」と何度も繰り返すのみならず、「次々回は3ヶ月後にしてください」などと期日の引き延ばしを求めました。裁判長は「裁判所としては被告に第22および第24準備書面に対する反論を要請しました」と念押しし、被告にイエローカードを突きつけたような格好になりました。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など70余人が参加しました。
201407廃炉口弁10 045hhh本日の裁判は大飯原発の原告団の松田事務局長も傍聴し、報告集会で発言していただきました。松田さんは名古屋高裁金沢支部に舞台を移して開かれる控訴審への決意を語るとともに、石川の原告とサポーターに支援を訴えました。

次回口頭弁論は9月29日(月)、次々回は12月15日(月)、いずれも午後1時半から同地裁で開かれる予定です。

2014年4月24日
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第9回口頭弁論が開かれました

4月23日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第9回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。

裁判は午後1時30分に開廷され、最初に富山県平和運動センター議長で、原告団副団長でもある山崎彰さんが意見陳述しました。201404-23口弁⑨ 033hh
山崎さんは連合(日本労働組合総連合会)が脱原発運動を取り組めない中で、平和運動センターが連合傘下の労働組合の3分の2を含め、123組合が参加して脱原発の運動を繰り広げていることを紹介しました。
平和運動センターは「被災した親子に笑顔を」を合言葉に、福島の子どもたちの保養活動に取り組んでいます。春、夏、冬休みに数百名の子どもたちを空気のきれいな富山へ一時疎開させる取り組みですが、これは本来なら、事故を起した電力会社の労働組合が取り組むべき課題だと思います。北電の保養所を開放してほしいとお願いしたところ、「北電社員のためのものだから…」と断られたそうです。
山崎さんは、福島原発事故が起ってから、原発の安全を求める要請行動の参加者に対して北陸電力が初めて社屋内で対応したことを明らかにし、「そんなにしてまで再稼働しなければならないのか、命より経済が大事なのか」と訴えて陳述を締めくくりました。

今回から裁判長が代ったため、弁護団長である岩淵弁護士が、弁論更新(今までの弁論の要点紹介)を行いました。今度の藤田裁判長がこの訴訟の判決を書く可能性が高いことから、岩淵さんはこれまでの弁論の中でどうしてもわかってもらいたい点に絞って陳述しました。
ÿÂ第一に、福島原発事故は幸いにも水蒸気爆発でなく水素爆発で済んだけれども、3年経ってもまだ13万人が故郷に帰れない。こんな被害を与える施設・科学技術はほかになく、これが原発被害の特質だということ。第二に、事故後に新規制基準ができたけれども、地震対策については根本的に変わっておらず、また同じことが起る可能性が十分あること。第三に、原発はもう必要ないというのが世論の大勢であり、とくに北陸電力は原発を稼働しなくても他の電力会社に融通できるほど電気の予備率が十二分にあること。第四に、これまでの原発裁判は安全保安院などの科学者の言うことを信じて原告の請求をほとんど退けてきたが、これは科学が決める問題ではないのではないかということを、今回提出した第20準備書面「科学の不確実性と司法判断」を要約しながら話しました。
たとえば東日本大震災のマグニチュード9を想定できなかったとして、原発の耐震安全性を審査する国の作業部会の委員を辞した纐纈一起さん(東大地震研)は「信念の根拠となるべき科学に限界があることが明らかになった」と語っています。地震学のような「作動中の科学」ではわからないことがいっぱいあります。岩淵さんは、今までのように科学者の言うことをいいとしてきた判断の枠組みを変えなければダメだということを強調しました。

続いて、荒木弁護士が、第21準備書面「あるべき新たな司法判断の枠組み」について要約陳述しました。荒木さんは第20準備書面の主張を受けて、「今まで201404-23口弁⑨ 023hhの司法判断の枠組みをどのように変えなければならないか」について述べました。
原発裁判は今まで建て前は被告側が安全性を立証するようになっていましたが、電力会社は「わが社は国の法律にしたがって基準をクリアしているから安全です」と主張し、裁判所もそれで安全性立証を認めてきた経緯があります。原告側は危険だということを一から立証しなければなりませんでした。
荒木さんは伊方最高裁判決の枠組みを生かして、それを形式的に踏襲するのではなく、実際の運用として被告側に厳格な立証を求めるべきだと主張しました。
弁論終了後の訴訟進行協議の中で裁判長は、この準備書面について「これは非常に重要な論点だと思います」と述べ、被告に次回ちゃんと反論するように求めました。

今回被告北陸電力は第7準備書面(地震の一般的・学術的な見解に対して、おおむね認める内容)と第8準備書面(原告の海底探査書面の要求に対し、在処を示したもの)を提出しただけで、実質的な反論の書面がまだありません。
この点について問い質したところ、被告側からは「規制委員会の適合審査が終わらないと、新基準についての反論はできない」と述べました。いつ出すかもわからないが、再稼働申請まで待ってほしいというわけです。それではいたずらに訴訟が空転し、長引くだけです。そんなことを認めるわけにはいきません。
弁護団としては、「早く反論しろ」と迫り、反論できないなら早急に立証に入っていくように求めていくつもりです。
201404-23口弁⑨ 006hh201404-23口弁⑨ 016h

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。

次回口頭弁論は7月10日(木)、午後1時半から同地裁で開かれる予定です。
201404-24口弁9ashh

 

 


201404-24口弁9chnh

 

 

 

 

 

朝日新聞(左)、北陸中日新聞(右)

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