志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2014年4月24日
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第9回口頭弁論が開かれました

4月23日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第9回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。

裁判は午後1時30分に開廷され、最初に富山県平和運動センター議長で、原告団副団長でもある山崎彰さんが意見陳述しました。201404-23口弁⑨ 033hh
山崎さんは連合(日本労働組合総連合会)が脱原発運動を取り組めない中で、平和運動センターが連合傘下の労働組合の3分の2を含め、123組合が参加して脱原発の運動を繰り広げていることを紹介しました。
平和運動センターは「被災した親子に笑顔を」を合言葉に、福島の子どもたちの保養活動に取り組んでいます。春、夏、冬休みに数百名の子どもたちを空気のきれいな富山へ一時疎開させる取り組みですが、これは本来なら、事故を起した電力会社の労働組合が取り組むべき課題だと思います。北電の保養所を開放してほしいとお願いしたところ、「北電社員のためのものだから…」と断られたそうです。
山崎さんは、福島原発事故が起ってから、原発の安全を求める要請行動の参加者に対して北陸電力が初めて社屋内で対応したことを明らかにし、「そんなにしてまで再稼働しなければならないのか、命より経済が大事なのか」と訴えて陳述を締めくくりました。

今回から裁判長が代ったため、弁護団長である岩淵弁護士が、弁論更新(今までの弁論の要点紹介)を行いました。今度の藤田裁判長がこの訴訟の判決を書く可能性が高いことから、岩淵さんはこれまでの弁論の中でどうしてもわかってもらいたい点に絞って陳述しました。
ÿÂ第一に、福島原発事故は幸いにも水蒸気爆発でなく水素爆発で済んだけれども、3年経ってもまだ13万人が故郷に帰れない。こんな被害を与える施設・科学技術はほかになく、これが原発被害の特質だということ。第二に、事故後に新規制基準ができたけれども、地震対策については根本的に変わっておらず、また同じことが起る可能性が十分あること。第三に、原発はもう必要ないというのが世論の大勢であり、とくに北陸電力は原発を稼働しなくても他の電力会社に融通できるほど電気の予備率が十二分にあること。第四に、これまでの原発裁判は安全保安院などの科学者の言うことを信じて原告の請求をほとんど退けてきたが、これは科学が決める問題ではないのではないかということを、今回提出した第20準備書面「科学の不確実性と司法判断」を要約しながら話しました。
たとえば東日本大震災のマグニチュード9を想定できなかったとして、原発の耐震安全性を審査する国の作業部会の委員を辞した纐纈一起さん(東大地震研)は「信念の根拠となるべき科学に限界があることが明らかになった」と語っています。地震学のような「作動中の科学」ではわからないことがいっぱいあります。岩淵さんは、今までのように科学者の言うことをいいとしてきた判断の枠組みを変えなければダメだということを強調しました。

続いて、荒木弁護士が、第21準備書面「あるべき新たな司法判断の枠組み」について要約陳述しました。荒木さんは第20準備書面の主張を受けて、「今まで201404-23口弁⑨ 023hhの司法判断の枠組みをどのように変えなければならないか」について述べました。
原発裁判は今まで建て前は被告側が安全性を立証するようになっていましたが、電力会社は「わが社は国の法律にしたがって基準をクリアしているから安全です」と主張し、裁判所もそれで安全性立証を認めてきた経緯があります。原告側は危険だということを一から立証しなければなりませんでした。
荒木さんは伊方最高裁判決の枠組みを生かして、それを形式的に踏襲するのではなく、実際の運用として被告側に厳格な立証を求めるべきだと主張しました。
弁論終了後の訴訟進行協議の中で裁判長は、この準備書面について「これは非常に重要な論点だと思います」と述べ、被告に次回ちゃんと反論するように求めました。

今回被告北陸電力は第7準備書面(地震の一般的・学術的な見解に対して、おおむね認める内容)と第8準備書面(原告の海底探査書面の要求に対し、在処を示したもの)を提出しただけで、実質的な反論の書面がまだありません。
この点について問い質したところ、被告側からは「規制委員会の適合審査が終わらないと、新基準についての反論はできない」と述べました。いつ出すかもわからないが、再稼働申請まで待ってほしいというわけです。それではいたずらに訴訟が空転し、長引くだけです。そんなことを認めるわけにはいきません。
弁護団としては、「早く反論しろ」と迫り、反論できないなら早急に立証に入っていくように求めていくつもりです。
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口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。

次回口頭弁論は7月10日(木)、午後1時半から同地裁で開かれる予定です。
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朝日新聞(左)、北陸中日新聞(右)

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2014年2月26日
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2.24第8回口頭弁論

2月24日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第8回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。

201402-24口弁⑧&集会 026h2裁判は午後1時30分過ぎに開廷され、最初に原告の浅田正文さんが「何処で死ぬのか」と題して意見陳述を行いました。
浅田さんは早期退職後、福島県都路村に夫婦で移り住んで自然農業を営み、自給自足の生活をしていました。それが3.11福島第一原発事故によって一瞬にして奪い去られてしまいました。浅田さんはパワーポイントの美しい画像で、事故前の自然豊かな生活を紹介しました。そしてそれと対比させて、事故後の変わり果てた様子を映し出しました。
福島と金沢を行き来している浅田さんは、「福島の今」を命・健康、こころ、生計・生活、自然環境の4つの側面から語りました。事故からもう3年にもなりますが、未だに13万人もの人々が避難生活を強いられています。働き手や高齢者を故郷に残して母と子が避難し、二重生活を送っている家族。一家揃って避難しても、避難先での就職は年齢制限、職種などの高いハードルがある。自給していた米や野菜をすべて購入せざるを得なくなり、生計に破綻をきたした人も少なくないのです。
長期にわたる避難生活のため、家族間の意見の対立やストレス、すれ違いなどが原因で家庭崩壊に陥ったり、コミュニティが分断される深刻な例は枚挙にいとまがありません。福島の子どもたちは被曝を避けて外を出歩くことがめっきり減ってしまったため、すぐ転ぶ子、扁平足の子、運動不足、肥満の子が増えています。
浅田さんは「今は福島のこと、いつかはあなたの町のこと」と映したスライドを背景に、裁判長らに向かって、「生活を根こそぎ奪われた被害者の心をかみしめていただきたい」と訴えて締めくくりました。

続いて、昨年末に弁護士登録をしたばかりという新谷弁護士が、第16準備書面「原発事故による被害」を歯切れよく要約陳述しました。
新谷さんは福島第一原発事故の経験を踏まえ、原発で過酷事故が起こった場合、非常に広範囲にわたって回復不可能な被害が生じること、また放射性物質による健康被害以外の被害も深刻であることを明らかにしました。201402-24口弁⑧&集会 030h2
避難所生活でのストレスや持病悪化、病院の機能停止による初期治療の遅れなど、間接的な事情により亡くなった震災関連死は福島県で1600人超にのぼり、直接的被害(地震による建物倒壊や津波などが原因)を上回っています。
たとえば、震災の1ヶ月後、避難区域の海岸で見つかった遺体を衰弱死と診断した医師は「津波だけなら助かった。助かる人を死なせたのは原発事故です」と話していました。
また「原発さえなければ」と牛舎の壁に書いた酪農家や、「お墓に避難します」という遺書を残した女性など、人生をかけて取り組んできた生業や家族との穏やかな生活を原発事故で失ったことによる「震災関連自殺者」は、累計で44名にも上ります。
さらに原発事故は人々が生活していた土地を奪い、日常生活およびコミュニティを崩壊させました。
政府の避難指示などによって避難した人は14万6千余人、自主避難者は約5万人。現在も13万人以上の住民が故郷を奪われた生活を余儀なくされています。住民は生業を失い、住処を失い、先祖代々受け継いできた土地や伝統を失いました。各地域が脈々と築き上げてきた歴史・文化と、それを背景とした住民同士の密接なつながりが根こそぎ破壊されました。
産業にも深刻な影響を及ぼしました。多くの農畜産物・水産物から暫定規制値を超える放射性物質が検出されて出荷が制限され、近隣地域までもが買い控えや取引停止などの「被害」を受けました。福島県は一部の「試験操業」を除き、現在も県沿岸での操業を自粛しています。
福島第一原発からは現在も放射性物質が環境中に放出され続けており、汚染水漏洩のニュースは後を絶たず、収束したなどとは到底言えません。被害は際限なく拡大し続け、最終的にどれほどの規模になるのかもわかりません。
フクシマではメルトダウンが起きたにもかかわらず、幸いにして(偶然にも)水蒸気爆発は起きませんでした。最悪のシナリオでは、水蒸気爆発が起きて格納容器が吹っ飛び、今の数倍の放射性物質を放出して首都圏までもが汚染され、破滅的な事態になっていたかもしれないのです。
新谷さんは、志賀原発で過酷事故が起きた場合、より深刻な被害が生じる可能性は十分ある、と主張しました。

続いて川本弁護士が 第17準備書面 ―新規制基準における「震源を特定せず策定する地震動」について、いささか難解な内容を噛み砕きながら要約陳述しました。201402-24口弁⑧&集会 031h2
川本さんは日本全国どこでも、活断層が確認できない場所でも地震が起きる可能性があり、マグニチュードが小さくても大きな揺れになる場合があることに言及しました。
たとえば、震源を活断層と関連づけられない過去の地震の中で、2004年に北海道で起きた留萌支庁南部地震はM5.7でした。2007年の能登半島地震(M6.7)と比べるとそのエネルギー量はおよそ30分の1です。それほどの小さい地震だったにもかかわらず、そこで観測された地震動は1127ガルというとてつもないものでした。現在志賀原発で想定されいる揺れは600ガルであり、留萌支庁南部地震と同じ地震動が起きたら、志賀原発はおそらく過酷事故を起します。
志賀原発の近くで大きな地震が起きて、しかも揺れがさらに増幅されるような効果(破壊伝搬効果)が起きたときにはどこまでの揺れにさらされるのか、その備えについて明らかにすることを被告北陸電力に求めた(求釈明)のがこの書面です。

その後、今後の訴訟手続に関するやりとりが非公開で行われました。
裁判所からは、今後の弁論に関する要望が原告被告双方にありました。われわれ原告側には、今回被告が提出した第6準備書面(昨年末に規制委員会に提出した最終報告を要約したもの)に対する反論が求められました。弁護団としても、S-1断層に関する主張を組み立てながら提出するタイミングを計っていたところです。
被告北電側に対しては、今回の第17準備書面(求釈明)についての回答をはじめ、原告側が出している数多くの書面に対する反論が求められました。被告側は次回地震についての知見に関する反論を出すと述べましたが、その他については明言を避けました。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。
201402-24口弁⑧&集会 014hh

次回口頭弁論は4月23日(水)、次々回は7月10日(木)、いずれも午後1時半から同地裁で開かれる予定です。

2013年12月3日
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第7回口頭弁論が開かれました

12月2日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第7回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。201212口頭弁論1

この日は午後1時30分過ぎに開廷され、最初に、福島から来沢した加畑、頼金両弁護士が原告弁護団の一員として陳述しました。両弁護士は3.11福島第一原発事故が発生したとき、法テラス福島事務所で一緒に働いていました。両氏は原発防災という観点から、「震災直後の福島県の状況について」と題して、原発約60km圏の福島市で自ら体験したことをリアルに語ってくれました。201212加畑弁護士
これまでに経験したこともない揺れがおさまるとすぐ、国道4号線がクルマで埋まってマヒ状態になりました。高速道路も電車も止まり、福島駅には帰宅できない人がごった返している。やがてガソリンが枯渇し、福島市は陸の孤島になりました。そしてこの時点で、スーパーやコンビニの食料や水がなくなります。そこに原発事故が起り、空間線量がどんどん上がっていく。毎時24マイクロシーベルト、通常の500倍の値に達し、水や食糧を確保しなければならないのに外に出歩けない、という状況になります。どのくらい被曝すれば死ぬのか、どのくらいで症状が出るのか、そんな知識もなく、行政の指示もない中で、避難するかどうかの決断を迫られる切羽詰まった事態になりました。201212頼金弁護士
頼金弁護士は、「原発に生活を奪われるとはそうしたもので、今まで当たり前にあった日常の一部が急に欠けて、30年も40年も戻ってこないという話になってしまう。日本中の誰にもそういう思いを繰り返してほしくない」と述べました。

続いて東弁護士と松本弁護士が第15準備書面「原発防災の問題」を要約陳述しました。その中で両弁護士は、防災の欠陥は原発そのものの危険性であると指摘し、現在我が国において想定されている防災対策には多くの重大な欠陥があると述べました。
現実には、住民の少なからぬ放射線被曝を前提とした防災対策しかできていない上に、有事の際に情報収集もできず、住民の避難が大幅に遅れる懸念が多々あります。また複合災害に対する備えも全くできていません。志賀原発で過酷事故が発生した場合、避難が必要となる住民は15万人以上とされています。能登地区12万人余の脱出には「のと里山海道」しかありませんが、同道路は2007年の能登半島地震(M6.9)で10箇所以上の大規模崩壊が発生して寸断されました。
また志賀原発30km圏内にある病院の数は福島とほぼ同数、患者数は2.5倍になります。この人たちの受け入れ体制は何ら規定されておらず、各医療機関に委ねられている状況です。これでは、福島で亡くなった患者の数倍の犠牲が出る可能性があります。自宅療養の方、要介護者、独居老人などの避難に至っては、全く具体策がとられていません。
両弁護士は、こうした多くの欠陥を補って、周辺住民の迅速な避難・身の安全を保障する防災対策をとることは現実的に不可能であることを明らかにし、原発災害は被告が原子力を利用するからこそ発生する「人災」であり、人びとの生命身体を守る手段は原発の稼働を止める以外にないと訴えました。

ところで、今回も被告側からの「反論」が第5準備書面として提出されました。内容は廃棄物処理に関するもので、原告の第7準備書面への「反論」となっています。今の国の計画は、再処理されたガラス固化体を地中深くに埋めて保存管理するというものです。被告北電の主張は第一に、ガラス固化体は再処理の過程で発生するもので、志賀原発の敷地内で発生するものではない(だから自分たちには関係ない?)、第二に、その処理は国によって安全だということが確認されている、という内容で、私たち原告側の議論とは全く噛み合いません。

その後、傍聴者が退廷した非公開の場で、今後の訴訟手続に関するやりとりが行われました。原告弁護団は早く主張を尽くして立証の段階に入りたい旨表明しました。被告側代理人に対して裁判所はいくつかの論点を示して、「いつごろ反論が可能ですか」と問い質したものの、事実上無回答。「北電が12月に予定している、S1断層についての報告書が出た後で反論を準備する」と述べるにとどまりました。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。

第8回口頭弁論は来年の2月24日(月)午後1時半から、同地裁で開かれる予定です。
北陸中日新聞 12/3

12月3日付北陸中日新聞(左)と朝日新聞(下)

※クリックすると拡大します朝日新聞 12/3