志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2013年12月3日
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第7回口頭弁論が開かれました

12月2日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第7回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。201212口頭弁論1

この日は午後1時30分過ぎに開廷され、最初に、福島から来沢した加畑、頼金両弁護士が原告弁護団の一員として陳述しました。両弁護士は3.11福島第一原発事故が発生したとき、法テラス福島事務所で一緒に働いていました。両氏は原発防災という観点から、「震災直後の福島県の状況について」と題して、原発約60km圏の福島市で自ら体験したことをリアルに語ってくれました。201212加畑弁護士
これまでに経験したこともない揺れがおさまるとすぐ、国道4号線がクルマで埋まってマヒ状態になりました。高速道路も電車も止まり、福島駅には帰宅できない人がごった返している。やがてガソリンが枯渇し、福島市は陸の孤島になりました。そしてこの時点で、スーパーやコンビニの食料や水がなくなります。そこに原発事故が起り、空間線量がどんどん上がっていく。毎時24マイクロシーベルト、通常の500倍の値に達し、水や食糧を確保しなければならないのに外に出歩けない、という状況になります。どのくらい被曝すれば死ぬのか、どのくらいで症状が出るのか、そんな知識もなく、行政の指示もない中で、避難するかどうかの決断を迫られる切羽詰まった事態になりました。201212頼金弁護士
頼金弁護士は、「原発に生活を奪われるとはそうしたもので、今まで当たり前にあった日常の一部が急に欠けて、30年も40年も戻ってこないという話になってしまう。日本中の誰にもそういう思いを繰り返してほしくない」と述べました。

続いて東弁護士と松本弁護士が第15準備書面「原発防災の問題」を要約陳述しました。その中で両弁護士は、防災の欠陥は原発そのものの危険性であると指摘し、現在我が国において想定されている防災対策には多くの重大な欠陥があると述べました。
現実には、住民の少なからぬ放射線被曝を前提とした防災対策しかできていない上に、有事の際に情報収集もできず、住民の避難が大幅に遅れる懸念が多々あります。また複合災害に対する備えも全くできていません。志賀原発で過酷事故が発生した場合、避難が必要となる住民は15万人以上とされています。能登地区12万人余の脱出には「のと里山海道」しかありませんが、同道路は2007年の能登半島地震(M6.9)で10箇所以上の大規模崩壊が発生して寸断されました。
また志賀原発30km圏内にある病院の数は福島とほぼ同数、患者数は2.5倍になります。この人たちの受け入れ体制は何ら規定されておらず、各医療機関に委ねられている状況です。これでは、福島で亡くなった患者の数倍の犠牲が出る可能性があります。自宅療養の方、要介護者、独居老人などの避難に至っては、全く具体策がとられていません。
両弁護士は、こうした多くの欠陥を補って、周辺住民の迅速な避難・身の安全を保障する防災対策をとることは現実的に不可能であることを明らかにし、原発災害は被告が原子力を利用するからこそ発生する「人災」であり、人びとの生命身体を守る手段は原発の稼働を止める以外にないと訴えました。

ところで、今回も被告側からの「反論」が第5準備書面として提出されました。内容は廃棄物処理に関するもので、原告の第7準備書面への「反論」となっています。今の国の計画は、再処理されたガラス固化体を地中深くに埋めて保存管理するというものです。被告北電の主張は第一に、ガラス固化体は再処理の過程で発生するもので、志賀原発の敷地内で発生するものではない(だから自分たちには関係ない?)、第二に、その処理は国によって安全だということが確認されている、という内容で、私たち原告側の議論とは全く噛み合いません。

その後、傍聴者が退廷した非公開の場で、今後の訴訟手続に関するやりとりが行われました。原告弁護団は早く主張を尽くして立証の段階に入りたい旨表明しました。被告側代理人に対して裁判所はいくつかの論点を示して、「いつごろ反論が可能ですか」と問い質したものの、事実上無回答。「北電が12月に予定している、S1断層についての報告書が出た後で反論を準備する」と述べるにとどまりました。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。

第8回口頭弁論は来年の2月24日(月)午後1時半から、同地裁で開かれる予定です。
北陸中日新聞 12/3

12月3日付北陸中日新聞(左)と朝日新聞(下)

※クリックすると拡大します朝日新聞 12/3

2013年10月1日
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第6回口頭弁論が開かれました

9月30日、志賀原発の廃炉を求める訴訟の第6回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。201309地裁へ向かう
今回支援者の入廷をめぐって、ちょっとしたトラブルがありました。新庁舎ではずっと裁判員裁判用の広い法廷だったため、傍聴希望者が全員入廷することができました。今回は狭い法廷であること、傍聴者を抽選で選ぶことが10日ほど前に急に決まりました。
36名定員のところを50人近くの傍聴希望者が列を作り、抽選(旧式で竹棒を引く)が始まりました。ところが、裁判所のミスで当りクジが予定数より少なかったため、落選者が続出しました。職員が途中でそのことに気づいて当たりクジを追加したので、今度はほとんどの人が入場できるという、「厳正な抽選」にはほど遠い、前代未聞の事態となりました。

結果的には、落選者たちの猛抗議によって全員が入廷できましたが、入ってみると、傍聴席の後方に三つほどイスを追加しただけで楽々座れます。裁判所の「権威主義」を実感しました。

午後1時30分過ぎに開廷され、最初に、原告の角三外弘さんが意見陳述しました。角三さんは七尾市在住で、志賀原発から東へ約20kmの地点に住んでいます。能登に住む者にとって、事故を繰り返す原発が近くにあることはとても不安です。2007年の能登半島地震のときは、北電や国の想定を超える地震動が起こりました。たまたま志賀原発1号機は臨界事故隠しによる運転停止命令で、2号機はタービン損傷のため、ともに停まっていて惨事を免れたのです。
201309意見陳述したKさん角三さんは「私たち住民はここに住んでいくしかありません…人は自分の故郷に愛着を持ち、そこで子や孫を育て、地域の人たちとの交流の中で生きていくのです」と語りました。しかし今や地域住民のそうした願いは福島原発事故で踏みにじられ、原発難民が大量に作り出されています。
角三さんは最後に、没後100年になる田中正造の言葉「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」を引用し、裁判官に対して、事実を直視し圧力に屈することなく、公正な判断をするよう求めました。

続いて吉田弁護士らが第14準備書面「原発の耐震設計総論―地震の基礎―」を要約陳述し、地震とはどういうものかという基本的な事柄を説明しました。ここでも裁判所の不手際が露呈しました。陳述は多くの動画を使ったパワーポイントで説明されたのですが、それを見ることができたのは裁判官のみ。傍聴者は事務局から配られたプリント紙を見るしかありませんでした。終了後北野原告団長は、「あのパワーポイントをぜひ被告にも見てほしかった」と慨嘆しました。

その後、今後の訴訟手続に関するやりとりが公開で行われました。次回原告弁護団は「防災計画」に関する主張をする旨表明しましたが、被告北陸電力は内容に触れないまま「順次反論をしていきます」と述べただけでした。

ところで、今回初めて書面で被告側からの反論が提出されました。まず最初の書面(準備書面3)では、「原子力発電所の必要性」について書かれています。私たち原告の「原発の不要性」の主張(第6準備書面)に対して、「そんなことはない。そもそも電力会社には電力供給義務があって、現在北電が持っている火力や水力発電でここ数年は何とか持ったが、安定的な供給には足りない。火力発電所のトラブルなどがあれば電力需給は逼迫するし、再生可能エネルギーは間に合わない」などと述べています。「こんなことを今ごろ言うのか」と言いたくなるような内容です。
二つ目はS1断層についての書面(準備書面4)です。原告の「志賀原発直下に活断層がある」という主張等(第1準備書面)に対して、認否を争うことを表明しました。しかし同断層調査の最終報告―またまた延期されて12月提出の予定―が出てからあらためて主張を行う(それまで待ってほしい)、というものです。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など60余人が参加しました。
201309報告集会2

第7回口頭弁論は12月2日(月)午後1時半から、同地裁で開かれる予定です。

北陸中日新聞 10/1

 

 

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 左は北陸中日新聞(10/1)
 下は朝日新聞(同)
朝日新聞 10/1

2013年7月26日
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第5回口頭弁論が開かれました

7月25日、志賀原発の廃炉を求める訴訟の第5回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。
33℃を超える日差しの中、兼六公園下白鳥路入口の小公園に集まった原告・サポーターと支援者たちは、横断幕「志賀原発を廃炉に!再稼働は認めない!」を掲げて地裁まで行進し入廷しました。

午後1時30分過ぎに開廷され、最初に、原告の古河尚訓(ふるかわまさのり)さんが意見陳述しました。201307意見陳述した古河さん
古河さんは今年3月まで、白山市議会議員を三期11年余勤めました。古河さんは福島原発事故から一年半後の昨年10月、福島県飯舘村を訪問したときの様子から話しました。同村は福島第一原発から30~45km離れていますが、放射線量が異常に高いことがわかり、一ヶ月後に「計画的避難区域」に指定されました。その間、村民は情報を知らされず、無用な被曝を強いられたのです。「あっという間に村民全員避難という事態になり、将来が全く見えない」という自治会長の言葉を聞いて、古河さんは「30km圏外だから大丈夫」などという机上の計算では人の命は守れないことを実感しました。
古河さんは、エネルギーの地産地消を完結しているドイツの農村を視察した話や、小水力発電や木質バイオマスの活用など、自然環境を生かした再生可能エネルギー開発に向けた議会での取り組みを紹介し、北電が新基準達成のための安全対策に注ぎ込んだ600億円という巨額の費用は、そうした再生可能エネルギーを開発するために使うべきだったと指摘しました。そして同社に対して、「倫理とお金」双方を冷静に分析し、再稼働を断念するよう求めました。
続いて弁護団の鹿島弁護士が第13準備書面「福島第一原発における地震動に起因する重要機器破損の可能性」を要約陳述しました。鹿島さんは国会事故調査委員会の報告書を引用しながら、福島第一原発事故の原因が現時点でも判明していないのに、全交流電源喪失の原因が津波であるとする東京電力報告書の不合理性を明らかにしました。そして地震動によって原子炉圧力容器に直接つながっている配管が破損し、冷却材喪失事故に発展した可能性が否定できないことを示しました。福島第一原発における地震動は新指針に基づく基準地震動とほぼ同等の「想定内の」地震動でした。この程度の地震動で配管が破損していたとすれば、全国の原発すべてで機器の取り替えが必要になります。
被告北陸電力が福島原発事故を踏まえて実施した緊急安全対策はいずれも、事故の主因を津波とした上での対策であり、地震動によって重要機器が破損した可能性については一切考慮されていません。鹿島さんは「これで危険性が払拭されたとは到底言えない」と述べました。

その後、訴訟手続に関するやりとりがありました。「次回の弁論はどうしますか」という裁判所の問いかけに対して、これまで一切反論の気配を見せなかった北陸電力は、「今後順次反論をしていきます」と述べました。次回以降、原告が主張して被告が反論し、原告がまた再反論するという、訴訟本来の姿にようやく戻ることができそうです。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。201307報告集会

第6回口頭弁論は9月30日(月)午後1時半から、同地裁で開かれる予定です。

 

 


北陸中日新聞 7/26朝日新聞 7/26

 

 

 

 

 

 

 

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