志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2014年7月12日
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第10回口頭弁論が開かれました

7月10日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第10回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。
201407廃炉口弁10 018hhあの画期的な大飯原発差止め判決以降、初めての口頭弁論です。数多くの原告・サポーターが傍聴に訪れ、裁判員裁判用の広い法廷が一杯にになりました!!

今回原告弁護団は、弁護士登録をして間もない若手弁護士を中心に、4本の準備書面を提出して主張を展開しました。

最初に宮本弁護士が、第22準備書面「原子力発電所施設直下活断層に関する危険性について」要約陳述しました。201407廃炉口弁10 028hhh
S-1断層は志賀原発施設直下にある活断層の一つとして、従来からその危険性が指摘されてきたものです。宮本さんはS-1断層はいずれ必ず動く断層であって、動いたときには原発に対して深刻な影響を及ぼす、とシンプルな議論で指摘しました。種々の批判のある新基準ですら、活断層の真上に原発を建てるべきではないと規定しています。S-1断層が将来活動する可能性のある断層(=活断層)であるという論拠について宮本さんは、パワーポイントを駆使しながら、志賀原発1号機設置許可の際のトレンチ調査で出されたスケッチの中に、非常に明確な活動の跡があることを示しました。一度動いた断層はその部分に力がたまりやすく、周囲の活断層が動いたときに一緒に動いてしまいます。この力学の原理をカレーのレトルトパックを例に、わかりやすく解説しました。

続いて石井弁護士が「新規制基準の適合申請・審査は本訴訟の判断には不要である」と題した第24準備書面を要約陳述しました。
201407廃炉口弁10 033hhh石井さんは福島県の田村市の出身で、昨年12月に登録をしたばかりのホヤホヤの弁護士です。福島原発から30キロ圏内に父母と両親を残していながら、弁護団に加わった葛藤も打ち明けながら、新規制基準の限界を示し、新規制基準に適合しているからといって安全かどうかということは全くわからないと指摘しました。石井さんは裁判所に対して、「被告の時間稼ぎに付き合わないでいただきたい」と強く訴えました。

続いて片岡弁護士が、第25準備書面「テロによる危険性」を要約陳述しました。
福島第一原発事故によって、テロリストたちにハッキリと認識されたことは、中央制御室を占拠するまでもなく、周辺の電気設備に深刻なダメージを与えて電源を断てば、メルトダウンを引き起こせるということでした。また広範囲に放射性物質が拡散し、社会・経済に甚大な被害をもたらしたことも、核を用いたテロ攻撃の「有効性」をさらけ出しました。201407廃炉口弁10 034hhh
日本ではテロというとあまり現実味がないと受け止められがちですが、1970~1999年までに原発を標的としたテロ事件は世界で167件あったということ、また北朝鮮が「労働新聞」で朝鮮半島有事における原発攻撃を示唆するなど、日本における核施設へのテロ攻撃は決して絵空事ではありません。
これに対してわが国の対応は、たとえばテログループの進入を想定した警察と自衛隊の共同訓練は「ノルマのための訓練」の域を出ず、また内部からの情報漏洩や侵入幇助などの対策もきわめて杜撰で、先進国で唯一原発作業員の身元調査を行っていません。
このほか、航空機による進入・衝突や使用済み核燃料プールの脆弱性など、原発に対するテロ攻撃の可能性がかなり高くかつ具体的に存在しているにもかかわらず、核施設において何ら有効な対策がとられていないのが実態です。
片岡さんは、志賀原発におけるテロの危険性を否定することはできず、また実際にテロが行われれば、それにより甚大な被害が生じる具体的な危険性があるから、原発を運転させることは認められない、と主張しました。

最後に中田弁護士が第23準備書面「大飯原発に関する福井地裁判決を受けて」を要約陳述しました。
5月21日に言い渡された大飯判決は、福島原発事故後に初めて示された司法判断です。人格権を憲法上の権利と位置づけ、「これを超える価値を他に見いだすことができない」最も尊重されるべき権利であるとしています。その上で、原子力発電所の運転の利益は「電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由に属するものであって、憲法上は人格権よりも劣位に置かれるべき」であると明言しました。
201407廃炉口弁10 036hhhそして福島原発事故を見れば原子力発電技術の危険性の本質およびその被害の大きさは明らかであり、「大きな自然災害や戦争以外でこの根源的な権利(人格権)が広範に奪われる事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定しがたい」と喝破しました。そして人格権の根幹部分に関する具体的侵害が認められる場合には、侵害の理由・根拠、侵害者の過失の有無、差止めにより侵害者が被る不利益など、他の要素を考慮することなく差止めが認められるとし、原告の立証責任は、具体的危険性であれば「万が一」の危険性の立証で足りる、としました。
これらの判断は、これまで私たちの弁護団が数多くの準備書面で述べてきた主張とほとんど同じ内容です。中田さんは、これらは大飯原発に特有の事情ではなく、すべての原発および原発差止め訴訟に共通の事情であり、当然志賀原発および本訴訟にも妥当するものだと訴えました。

今回被告北陸電力からは、準備書面9(立証責任に関する内容)が原告への「反論」として出されました。これは福島事故後の司法判断について新たな枠組みを求めたわれわれの主張に対して、民事訴訟において立証責任はいかにあるべきかという、従来からのオーソドックスな議論を対置したものに過ぎません。

弁論終了後、多くの原告が残る中で裁判の進行協議が行われ、岩淵弁護団長は次回までに原告の主張を全部出し切ることを宣言しました。岩淵さんは先週伊方訴訟の原告が結審を求めたことを紹介しながら、被告の側に反論がないのなら、打ち切りを求めることを示唆しました。
これに対して被告北陸電力の代理人は、裁判所からの再三にわたる反論の要請にもかかわらず、「努力しますが、次回までに出せるかどうかわかりません」と何度も繰り返すのみならず、「次々回は3ヶ月後にしてください」などと期日の引き延ばしを求めました。裁判長は「裁判所としては被告に第22および第24準備書面に対する反論を要請しました」と念押しし、被告にイエローカードを突きつけたような格好になりました。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など70余人が参加しました。
201407廃炉口弁10 045hhh本日の裁判は大飯原発の原告団の松田事務局長も傍聴し、報告集会で発言していただきました。松田さんは名古屋高裁金沢支部に舞台を移して開かれる控訴審への決意を語るとともに、石川の原告とサポーターに支援を訴えました。

次回口頭弁論は9月29日(月)、次々回は12月15日(月)、いずれも午後1時半から同地裁で開かれる予定です。

2014年4月24日
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第9回口頭弁論が開かれました

4月23日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第9回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。

裁判は午後1時30分に開廷され、最初に富山県平和運動センター議長で、原告団副団長でもある山崎彰さんが意見陳述しました。201404-23口弁⑨ 033hh
山崎さんは連合(日本労働組合総連合会)が脱原発運動を取り組めない中で、平和運動センターが連合傘下の労働組合の3分の2を含め、123組合が参加して脱原発の運動を繰り広げていることを紹介しました。
平和運動センターは「被災した親子に笑顔を」を合言葉に、福島の子どもたちの保養活動に取り組んでいます。春、夏、冬休みに数百名の子どもたちを空気のきれいな富山へ一時疎開させる取り組みですが、これは本来なら、事故を起した電力会社の労働組合が取り組むべき課題だと思います。北電の保養所を開放してほしいとお願いしたところ、「北電社員のためのものだから…」と断られたそうです。
山崎さんは、福島原発事故が起ってから、原発の安全を求める要請行動の参加者に対して北陸電力が初めて社屋内で対応したことを明らかにし、「そんなにしてまで再稼働しなければならないのか、命より経済が大事なのか」と訴えて陳述を締めくくりました。

今回から裁判長が代ったため、弁護団長である岩淵弁護士が、弁論更新(今までの弁論の要点紹介)を行いました。今度の藤田裁判長がこの訴訟の判決を書く可能性が高いことから、岩淵さんはこれまでの弁論の中でどうしてもわかってもらいたい点に絞って陳述しました。
ÿÂ第一に、福島原発事故は幸いにも水蒸気爆発でなく水素爆発で済んだけれども、3年経ってもまだ13万人が故郷に帰れない。こんな被害を与える施設・科学技術はほかになく、これが原発被害の特質だということ。第二に、事故後に新規制基準ができたけれども、地震対策については根本的に変わっておらず、また同じことが起る可能性が十分あること。第三に、原発はもう必要ないというのが世論の大勢であり、とくに北陸電力は原発を稼働しなくても他の電力会社に融通できるほど電気の予備率が十二分にあること。第四に、これまでの原発裁判は安全保安院などの科学者の言うことを信じて原告の請求をほとんど退けてきたが、これは科学が決める問題ではないのではないかということを、今回提出した第20準備書面「科学の不確実性と司法判断」を要約しながら話しました。
たとえば東日本大震災のマグニチュード9を想定できなかったとして、原発の耐震安全性を審査する国の作業部会の委員を辞した纐纈一起さん(東大地震研)は「信念の根拠となるべき科学に限界があることが明らかになった」と語っています。地震学のような「作動中の科学」ではわからないことがいっぱいあります。岩淵さんは、今までのように科学者の言うことをいいとしてきた判断の枠組みを変えなければダメだということを強調しました。

続いて、荒木弁護士が、第21準備書面「あるべき新たな司法判断の枠組み」について要約陳述しました。荒木さんは第20準備書面の主張を受けて、「今まで201404-23口弁⑨ 023hhの司法判断の枠組みをどのように変えなければならないか」について述べました。
原発裁判は今まで建て前は被告側が安全性を立証するようになっていましたが、電力会社は「わが社は国の法律にしたがって基準をクリアしているから安全です」と主張し、裁判所もそれで安全性立証を認めてきた経緯があります。原告側は危険だということを一から立証しなければなりませんでした。
荒木さんは伊方最高裁判決の枠組みを生かして、それを形式的に踏襲するのではなく、実際の運用として被告側に厳格な立証を求めるべきだと主張しました。
弁論終了後の訴訟進行協議の中で裁判長は、この準備書面について「これは非常に重要な論点だと思います」と述べ、被告に次回ちゃんと反論するように求めました。

今回被告北陸電力は第7準備書面(地震の一般的・学術的な見解に対して、おおむね認める内容)と第8準備書面(原告の海底探査書面の要求に対し、在処を示したもの)を提出しただけで、実質的な反論の書面がまだありません。
この点について問い質したところ、被告側からは「規制委員会の適合審査が終わらないと、新基準についての反論はできない」と述べました。いつ出すかもわからないが、再稼働申請まで待ってほしいというわけです。それではいたずらに訴訟が空転し、長引くだけです。そんなことを認めるわけにはいきません。
弁護団としては、「早く反論しろ」と迫り、反論できないなら早急に立証に入っていくように求めていくつもりです。
201404-23口弁⑨ 006hh201404-23口弁⑨ 016h

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。

次回口頭弁論は7月10日(木)、午後1時半から同地裁で開かれる予定です。
201404-24口弁9ashh

 

 


201404-24口弁9chnh

 

 

 

 

 

朝日新聞(左)、北陸中日新聞(右)

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2014年2月26日
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2.24第8回口頭弁論

2月24日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第8回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。

201402-24口弁⑧&集会 026h2裁判は午後1時30分過ぎに開廷され、最初に原告の浅田正文さんが「何処で死ぬのか」と題して意見陳述を行いました。
浅田さんは早期退職後、福島県都路村に夫婦で移り住んで自然農業を営み、自給自足の生活をしていました。それが3.11福島第一原発事故によって一瞬にして奪い去られてしまいました。浅田さんはパワーポイントの美しい画像で、事故前の自然豊かな生活を紹介しました。そしてそれと対比させて、事故後の変わり果てた様子を映し出しました。
福島と金沢を行き来している浅田さんは、「福島の今」を命・健康、こころ、生計・生活、自然環境の4つの側面から語りました。事故からもう3年にもなりますが、未だに13万人もの人々が避難生活を強いられています。働き手や高齢者を故郷に残して母と子が避難し、二重生活を送っている家族。一家揃って避難しても、避難先での就職は年齢制限、職種などの高いハードルがある。自給していた米や野菜をすべて購入せざるを得なくなり、生計に破綻をきたした人も少なくないのです。
長期にわたる避難生活のため、家族間の意見の対立やストレス、すれ違いなどが原因で家庭崩壊に陥ったり、コミュニティが分断される深刻な例は枚挙にいとまがありません。福島の子どもたちは被曝を避けて外を出歩くことがめっきり減ってしまったため、すぐ転ぶ子、扁平足の子、運動不足、肥満の子が増えています。
浅田さんは「今は福島のこと、いつかはあなたの町のこと」と映したスライドを背景に、裁判長らに向かって、「生活を根こそぎ奪われた被害者の心をかみしめていただきたい」と訴えて締めくくりました。

続いて、昨年末に弁護士登録をしたばかりという新谷弁護士が、第16準備書面「原発事故による被害」を歯切れよく要約陳述しました。
新谷さんは福島第一原発事故の経験を踏まえ、原発で過酷事故が起こった場合、非常に広範囲にわたって回復不可能な被害が生じること、また放射性物質による健康被害以外の被害も深刻であることを明らかにしました。201402-24口弁⑧&集会 030h2
避難所生活でのストレスや持病悪化、病院の機能停止による初期治療の遅れなど、間接的な事情により亡くなった震災関連死は福島県で1600人超にのぼり、直接的被害(地震による建物倒壊や津波などが原因)を上回っています。
たとえば、震災の1ヶ月後、避難区域の海岸で見つかった遺体を衰弱死と診断した医師は「津波だけなら助かった。助かる人を死なせたのは原発事故です」と話していました。
また「原発さえなければ」と牛舎の壁に書いた酪農家や、「お墓に避難します」という遺書を残した女性など、人生をかけて取り組んできた生業や家族との穏やかな生活を原発事故で失ったことによる「震災関連自殺者」は、累計で44名にも上ります。
さらに原発事故は人々が生活していた土地を奪い、日常生活およびコミュニティを崩壊させました。
政府の避難指示などによって避難した人は14万6千余人、自主避難者は約5万人。現在も13万人以上の住民が故郷を奪われた生活を余儀なくされています。住民は生業を失い、住処を失い、先祖代々受け継いできた土地や伝統を失いました。各地域が脈々と築き上げてきた歴史・文化と、それを背景とした住民同士の密接なつながりが根こそぎ破壊されました。
産業にも深刻な影響を及ぼしました。多くの農畜産物・水産物から暫定規制値を超える放射性物質が検出されて出荷が制限され、近隣地域までもが買い控えや取引停止などの「被害」を受けました。福島県は一部の「試験操業」を除き、現在も県沿岸での操業を自粛しています。
福島第一原発からは現在も放射性物質が環境中に放出され続けており、汚染水漏洩のニュースは後を絶たず、収束したなどとは到底言えません。被害は際限なく拡大し続け、最終的にどれほどの規模になるのかもわかりません。
フクシマではメルトダウンが起きたにもかかわらず、幸いにして(偶然にも)水蒸気爆発は起きませんでした。最悪のシナリオでは、水蒸気爆発が起きて格納容器が吹っ飛び、今の数倍の放射性物質を放出して首都圏までもが汚染され、破滅的な事態になっていたかもしれないのです。
新谷さんは、志賀原発で過酷事故が起きた場合、より深刻な被害が生じる可能性は十分ある、と主張しました。

続いて川本弁護士が 第17準備書面 ―新規制基準における「震源を特定せず策定する地震動」について、いささか難解な内容を噛み砕きながら要約陳述しました。201402-24口弁⑧&集会 031h2
川本さんは日本全国どこでも、活断層が確認できない場所でも地震が起きる可能性があり、マグニチュードが小さくても大きな揺れになる場合があることに言及しました。
たとえば、震源を活断層と関連づけられない過去の地震の中で、2004年に北海道で起きた留萌支庁南部地震はM5.7でした。2007年の能登半島地震(M6.7)と比べるとそのエネルギー量はおよそ30分の1です。それほどの小さい地震だったにもかかわらず、そこで観測された地震動は1127ガルというとてつもないものでした。現在志賀原発で想定されいる揺れは600ガルであり、留萌支庁南部地震と同じ地震動が起きたら、志賀原発はおそらく過酷事故を起します。
志賀原発の近くで大きな地震が起きて、しかも揺れがさらに増幅されるような効果(破壊伝搬効果)が起きたときにはどこまでの揺れにさらされるのか、その備えについて明らかにすることを被告北陸電力に求めた(求釈明)のがこの書面です。

その後、今後の訴訟手続に関するやりとりが非公開で行われました。
裁判所からは、今後の弁論に関する要望が原告被告双方にありました。われわれ原告側には、今回被告が提出した第6準備書面(昨年末に規制委員会に提出した最終報告を要約したもの)に対する反論が求められました。弁護団としても、S-1断層に関する主張を組み立てながら提出するタイミングを計っていたところです。
被告北電側に対しては、今回の第17準備書面(求釈明)についての回答をはじめ、原告側が出している数多くの書面に対する反論が求められました。被告側は次回地震についての知見に関する反論を出すと述べましたが、その他については明言を避けました。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。
201402-24口弁⑧&集会 014hh

次回口頭弁論は4月23日(水)、次々回は7月10日(木)、いずれも午後1時半から同地裁で開かれる予定です。