志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2014年12月16日
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第12回口頭弁論が開かれました

12月15日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第12回口頭弁論が金沢地方裁判所で行われました。201412口弁12 010hh
金沢城・兼六公園下に集まった原告・サポーターは、はるばる福井や滋賀県から駆けつけてくれた全国原告団連絡会の仲間たちとともに、裁判所まで雪道を行進しました。

裁判は午後1時30分に開廷され、最初に輪島市の新木順子さんが原告意見陳述を行いました。
石川県漁協女性部長の新木さんは、能登の自然とともに生きる漁村女性の立場から、福島の漁業者から聞いた生々しい声を伝えました。
「漁に出たくても放射能汚染で出られない」
「海に泳いでいる魚が見えても獲ることができない」
「事故の1年前に加工した海産物なのに、風評被害で売れない」などなど…
201412口弁12 050hhh新木さんは、世界農業遺産に認定された能登の里山里海の生物多様性、その恵みで成り立っている豊かなくらしを紹介しました。そして「志賀原発で事故が起きた場合、私たちは陸の孤島となり、右往左往している間に、多くの住民が被曝してしまいます」と述べ、「私たち能登の住民の生命や財産を一瞬にして奪い、大切な自然と生業を断ち切ってしまう原発はいりません」と強く訴えました。

続いて岩淵弁護士が第30準備書面「北陸電力の原発運転資格の欠如」を要約陳述しました。
岩淵さんははじめに、8月に北陸電力が行った新規制基準の適合性審査申請がきわめて「異常な」申請であることを明らかにしました。敷地直下の活断層問題について決着が付いていない段階でどうして申請ができるのか。また申請書が川内原発の10分の1以下の分量であることも、どこまで真剣に検討したかを疑わせる内容です。フィルターベントの設置を盛り込んでいない点も、最低限の基準である規制基準にさえ合致しない代物で、規制委員会からも強く批判されています。201412口弁12 027hh
岩淵さんは福島第一原発の吉田所長の調書を引用しながら、「東京電力の現場の運転員は日本一の技術者だが、その彼らでさえ、電源が失われた原発は全然コントロールできなかった。翻って、あの北陸電力の社員にちゃんとした対応がとれるだろうか?」と疑問を呈しました。また北陸電力が過去に杜撰(ずさん)な断層評価を繰り返し、何度も訂正してきたことを指摘しました。
極めつきの前科前歴が1999年6月の「臨界事故隠し」です。一歩間違えばチェルノブイリのような核暴走を引き起こしていた臨界事故を、北陸電力は8年間も隠し続けていたのです。
岩淵さんは「こういう人たちに本当に原発を運転する資格がありますか?」と鋭く問い質しました。

今回被告北陸電力から初めて反論らしい反論が、第12準備書面(志賀原発の立地環境=地震に関する反論)および第13準備書面(その他雑多な反論)として出されました。その中で彼らは、志賀原発は規制委員会の基準に則った場所に建ててあるとか、富来川南岸断層などは考慮する必要はない、などと主張をしています。また、フクシマ原発事故は地震による配管破断や機器損傷が原因だ、という原告の主張に対して、あれは地震には関係ないと主張し、大飯判決に関しては、科学をまったく無視した判決だというような反論を展開しています。
原告側からは今後、必要なものについて再反論していく予定です。

弁論終了後の進行協議において、被告北陸電力の代理人は、次回(3月)でほぼ反論を出し尽くすと表明しました。原告側からは、次々回から立証(証人調べ)という次のステップに進んでほしいと申入れました。その判断は持ち越されましたが、私たちは迅速な司法判断を求め、より早い結審に向けて努力するつもりです。

口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など60余人が参加しました。201412口弁12 012hh

次回口頭弁論は2015年3月5日(木)、次々回は5月25日(月)、午後1時30分から同地裁で開かれる予定です。

また2月9日(月)には、大飯訴訟控訴審の第2回口頭弁論が名古屋地裁金沢支部で開催されます。被告関西電力弁護団はこの日までに主張はすべて提出し、証人尋問は行わないと表明しており、短期決戦に注目が集まっています。福井地裁判決を確定させるために、支援の輪をさらに拡げましょう。

2014年11月6日
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大飯控訴審の第1回口頭弁論が行われました

11月5日(水)午後2時30分より名古屋高裁金沢支部において、第1回口頭弁論が行われました。
あの福井地裁の勝訴判決を高裁でもかちとるために、福井からバスで乗り込んだ原告団。これを支援しともにたたかう決意を固めて金沢に集まった、全国各地の原発差止め訴訟原告団、そして弁護団。わが「志賀原発を廃炉に!訴訟原告団」も新調した原告団旗を掲げ、北野団長を先頭に多くの仲間が支援に駆けつけました。

狭い法廷のため、傍聴できたのは30数名。抽選に外れた人たちは開廷中、近くの北陸会館に集まり、弁護団が「開廷」した模擬法廷で盛り上がりました。
法廷では中嶌哲演原告団長による意見陳述のほか、脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士、海渡雄一弁護士、九州玄海原発訴訟の板井優弁護士らが陳述を行いました。(「福井から原発を止める裁判の会」HP http://adieunpp.com/参照)

中嶌さんは意見陳述を次のように締めくくりました。
201411大飯控訴審 085hhh「かつて国策として戦争を遂行した軍国主義政権は、広島の惨禍を浴びても敗戦を認めようとせず、長崎後に降伏せざるを得ませんでした。その戦争にも長い加害の前史があったように、フクシマも決して一朝一夕に引き起こされたのではありません。「原子力ムラ」の根本的な責任は厳しく問われなければなりませんが、関東首都圏や関西圏の大電力消費地のために、遠隔の過疎地の福島や若狭に超危険な原発群を押しつけてきた、その差別的な構造そのものを温存したまま再稼働や延命存続を図ることはもはや許されないのではないですか。平常時の1万倍もの放射線被ばくを地元周辺住民に余儀なくさせるまで避難させない防災計画を前提に、再稼働への動きが加速しています。第2のフクシマを待たなければ、被告をはじめ立法府も行政府も廃炉・脱原発を決断できないのでしょうか。国民もまたかつてのように、総懺悔(ざんげ)を繰り返す日まで第2のフクシマの到来を待つのでしょうか。
裁判長!福井地裁の原判決が掲げた司法の良心を引継ぎ、さらに前進させ深めて、どうか事業者や原子力行政、多数派が驕(おご)る立法府の暴走に歯止めをかけてください。…(中略)…この北陸のゆかしい古都金沢で、三たび真に未来世代へ残しうる、貴裁判所の審理と判決を切望します」

弁論終了後の進行協議で、被告関西電力は「次回(2/9)にすべての主張と書証を尽くす。証人尋問は行わない」と表明しました。このことをどうとらえるのか、非常に重要な裁判の分岐点であることは間違いないようです。

閉廷後、北陸会館で報告集会・記者会見が行われ、各地の原告団旗が林立する会場は100名を超える参加者の熱気があふれました。
201411大飯控訴審-090h
第2回口頭弁論は2月9日(月)午後2時から同高裁で行われる予定です。

 

 

 


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※11/6朝日新聞(上)、同北陸中日新聞(下)
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2014年9月30日
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第11回口頭弁論が行われました

9月29日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第11回口頭弁論が金沢地方裁判所で行われました。
傍聴に参加する原告・サポーターは兼六公園下の白鳥路入口に集まり、横断幕を掲げた北野原告団長、堂下事務局長、浅田副団長らを先頭に、裁判所まで行進して入廷しました。

裁判は午後1時34分に開廷され、原告側は今回提出した4本の準備書面のうち3本について、パワーポイントを使ってわかりやすく陳述しました。
最初に坂本弁護士が第26準備書面「地震動による重要機器破損の危険」について要約陳述しました。この書面は第5回口頭弁論(2013/7/25)で提出した第13準備書面を補充するものです。201409口弁11 026hhh
坂本さんは伊東良徳弁護士の論文(『科学』2014年3月号)を引用して、福島第一原発事故では、津波が到達する前に1号機の全交流電源が喪失していたことを指摘しました。東京電力が発表した資料によると、非常用交流電源を喪失した時刻は遅くとも15時37分でした。一方、原発敷地の沖合1.5kmに設置された波高計の記録と東電の社員が撮影したデジタルカメラの映像を分析して、津波が原発敷地に到着した時刻は15時38分台かそれ以降であることを示しました。
坂本さんは次に、国会事故調査委員会元委員の田中三彦氏の論文を基に、1号機の非常用復水器(IC)の配管が地震動によって破断した可能性があることを指摘しました。1号機では、原子炉建屋のうち4階内部の損傷が最も激しく、5階の床に設置されていた1.5トンもの大物搬入口の蓋が爆発で吹き飛んで行方不明になっています。坂本さんはIC系配管に損傷があり、そこから漏れた水素による爆発と考えなければ4階での水素爆発は説明がつかないと主張しました。
いずれも「津波原因説」は誤りであることを示唆していますが、にもかかわらず新規制基準では配管強度を高めるなどの地震対策を新たに設けることはなく、被告北陸電力もそのような対策を講じていません。

続いて徳田弁護士が第28準備書面「富来川南岸断層」を要約陳述しました。
201409口弁11 021hhh志賀原発の北9kmに位置する富来川南岸断層について、北陸電力は巌門から富来川までの沿岸を調査した結果、同地は古い時代に形成された扇状地や砂丘面であるとして、耐震設計上考慮する断層ではない、としています。
徳田さんは渡辺満久東洋大教授や立石雅昭新潟大学名誉教授の見解を紹介し、同沿岸が「海成中位段丘」であり、段丘面の高度が富来川の左岸と右岸で急激に変化しており、富来川南岸断層が12~13万年前に活動したことを説明しました。
また立石教授による小浦~赤住~福浦~巌門~西海地域のフィールドワークの内容を紹介し、同所の「海食ノッチ」(波や海水の作用で海食崖の下部にできた窪み)の存在から、富来川南岸断層が6千年前ころの縄文時代中期以降に複数回活動したことも指摘しました。
明らかに富来川南岸断層は「将来活動する可能性のある断層」であり、志賀原発の耐震安全性が確保されているとは到底言えません。

続いて中弁護士が、第29準備書面「耐震設計の欠陥」を要約陳述しました。
過去10年間で5回も基準地震動を超える地震が原発を襲いました。なかでも中越沖地震では基準地震動の2倍を超えるような地震を観測しています。これは地震動の想定に根本的な欠陥があるからです。201409口弁11 030hhh
中さんはその最大の理由として、基準地震動の策定が既往地震に基づく平均像で行われてきたことを明らかにしました。平均像を基に基準設定すれば、50%の事態しかカバーできません。原発というきわめて危険な施設がこのような基準で設計されている現状からすれば、著しく安全性が不足しているのは明らかです。
中さんは「平均像による地震想定しかしていない、安全性を欠いた志賀原発の稼働を阻止するのは、本裁判に与えられたきわめて重大な任務である」と締めくくりました。

今回被告北陸電力からは第10準備書面(S-1断層に関するもの)が出されました。S-1断層はやはり考慮する必要はない、という規制委員会の評価会合での資料そのままの主張で、特段目新しいものは何もありません。
もう一つは第11準備書面で、適合申請をした新基準というのはきちんと意味があり、それによって安全性が担保されるということを主張しています。これは前回のわれわれの主張―新しい基準は福島原発事故を受けても変えていない部分がたくさんあり、そういう基準は意味がない―に対する反論の形をとっています。

弁論終了後、裁判の進行協議が行われました。私たち原告は9月11日付で上申書を提出して、「今まで被告北陸電力は、新規制基準についての適合性審査を申請をするまでは積極的に反論できないと言ってきたが、(もうその理由はなくなったので)今日の期日では、裁判所の下で被告の反論のスケジュールを明確にしてほしい」と申入れました。それを受けて北陸電力側は進行協議の場で、「適合性審査の申請内容が膨大だから、主張は2回から3回に分けて行いたい」と主張しました。
最終的に裁判所は、次回(12/15)、次々回(3/5)の間に適合申請に関する主張、およびそれに関する原告からの主張についての反論を並行して行うようにと、被告に念押ししました。

私たち原告側としては今日で基本的な主張を出し尽くし、ワンステップを超えました。あとは被告から出てくる反論に対して再反論することはありますが、より早く次の立証の段階へ入っていくために、さらに最善の努力を重ねていきたいと思います。
201409口弁11 017hh
口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など50余人が参加しました。

次回口頭弁論は12月15日(月)、次々回は2015年3月5日(木)、いずれも午後1時半から同地裁で開かれる予定です。
また11月5日(水)には、大飯訴訟控訴審の第1回口頭弁論が名古屋地裁金沢支部で開催されます。今回も傍聴してくれた大飯訴訟原告団からの要請に応えて、みんなで最大限の支援をしましょう。