志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2020年12月10日
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裁判長が「事故リスクに関心あり」と明言

志賀原発株主差止訴訟(富山訴訟)の第4回口頭弁論が12月9日、富山地裁で行われました。
今回も新型コロナ感染防止のため傍聴席はマスコミを除いて17席(前回は12席)に制限されていたため、サポーターのみなさんへの呼びかけは控えてきましたが、富山、石川、さらには京都からの参加者も含め約30人が傍聴抽選に並びました。

14時開廷。まず6月の北陸電力株主総会で代表取締役副社長に就任した水谷和久氏を被告として追加、本件訴訟に併合して審理することを確認しました。
今回の原告意見陳述は羽咋市の滝口保さん。滝口さんは2001年から「命のネットワーク」のメンバーとして自主防災などの活動に取り組んでおり、陳述では福島第一原発事故を契機に開始した風船飛ばし調査を紹介、事故が起こったら放射能が1日で広範囲に拡散する危険性を指摘しました。滝口さんは北陸電力の株主として株主運動にも参加しており、今年の株主総会での質疑の様子も紹介しました。志賀原発の廃炉について質した滝口さんに対して、石黒副社長は「廃炉は考えていない」と述べ、費用や期間、放射性廃棄物の処理方法などに一切答えなかったのです。株主に対してコストに関わる重要な情報を提供することなく、再稼働の承認を得たとする株主総会の実態を厳しく批判しました。

続いて、今回の口頭弁論に向けて原告弁護団が提出した「第9準備書面-善管注意義務及び忠実義務に関する主張の補充及び求釈明の申立て―」について、原告、被告、裁判所の間で意見が交わされました(第9準備書面提出の背景については第3回口頭弁論の報告参照)。
この準備書面は、福島第一原発事故を経て、原発を保有し運転しようとする電力会社の経営者に求められる「善管注意義務及び忠実義務」には、事故リスク、コスト、社会的責任の3つの分野にわたる12の義務があることを明らかにし、その義務を果たしているかどうかを確認するための具体的な47項目を挙げ、被告の釈明を求めたものです。(※法律用語の「釈明」は解明、説明のような意味で、道徳的な意味合いは含まれていません)
原告の「求釈明」に対して、被告弁護人は「要否も含め、次回答える」と対応を明言しませんでした。
これに対して裁判長はどう出るか。さらりと「では次回まで待ちましょう」と述べて弁論を閉めてしまうのでは、と不安を覚えた傍聴者もいたかもしれません。しかし、裁判長は「裁判所としては事故リスクについて関心を持っている」と述べ、準備書面の中で掲げた12の注意義務の中の4つについて「審理の必要性は高い」と表明したのです。これらに関わる求釈明は22項目にのぼります。一方、コストや社会的責任に関する項目については「全部逐一答える必要はないのではないか」との認識も示しました。
この裁判長の方針を受け、原告弁護団の坂本事務局長は「裁判所の考えは理解した。原告としては全項目について釈明を求める考えに変わりはないが、事故のリスクについての回答を踏まえながら、コストなど他の項目についても釈明の必要性をさらに明らかにしていく」と述べました。
さらに原告弁護人からは、第9準備書面に関わる証拠と、さる12月5日の大飯3、4号機設置変更許可の取消しを認めた大阪地裁判決に関連して求釈明を追加で提出する方針も示されました。
これらのやり取りを受け、被告弁護人は「裁判長の問題意識も踏まえ、(次の口頭弁論前の)3月10日までに準備書面を提出する」と言わざるを得ませんでした。
このようなやり取りの後、最後に次々回期日を7月14日と決め、14時30分に閉廷しました。

口頭弁論終了後、自治労とやま会館で報告集会が開かれました。
冒頭、和田廣治原告団長から「コロナで進行が遅れた1年だったが、多くのみなさんの支援で裁判が前進している」と感謝の言葉が述べられました。
岩淵弁護団長からは、先般の大阪地裁の原告勝訴判決について、①3.11前の原発訴訟の勝訴判決が2件だったのに対して3.11後は6件となり、原発訴訟は着実に前進している、②規制のあり方が問われている、③志賀を含めすべての原発に関係する、と大きな意義があったことを指摘しました。また本日の口頭弁論について、「第9準備書面で訴訟は前進する。裁判長が事故リスクに関心ありと明言したことは大きい」と述べました。
続いて坂本弁護団事務局長が第9準備書面の内容についてわかりやすく解説し、裁判長が事故リスクについて審理の必要性を認めたことで、北電は「注意義務なし」との主張ができなくなったとの認識を示しました。また、事故リスクの議論を深めることは結果的に原発のコストの問題にもつながっていくとの見通しも示しました。
報告集会は、次回以降の裁判への期待を互いに確認しつつ、清水哲男原告団事務局長の音頭による参加者一同のガンバロウ三唱で締めくくられました。

今年の富山訴訟は、新型コロナの影響で3月と5月に予定されていた口頭弁論が延期となる異例の展開となりましたが、弁護団が精力を傾注した第9準備書面によって訴訟はいよいよ大きく動き始めました。全国が注目する株主による原発の差止訴訟は、来年さらに大きな関心を集め、志賀原発廃炉への期待も集めるものと思われます。みなさまのさらなるご支援をお願いします。

今後の予定
第5回口頭弁論 2021年3月22日(月)15:00~
第6回口頭弁論 2021年7月14日(水)15:00~
※傍聴抽選の時間などは追ってご連絡します。

2020年12月5日
by ok
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大飯原発設置許可取消―大阪地裁

関西電力大飯原発3、4号機の安全性をめぐって、福井、近畿などの住民130人が原発設置許可の取消しを求めた訴訟の判決が12月4日、大阪地裁で言い渡されました。森鍵(もりかぎ)裁判長は原子力規制委員会の判断は「地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい錯誤、欠落がある」として、設置許可を取消しました。
福島原発事故後に策定された新規制基準の下で原発の設置許可を取消す司法判断は初めてで、全国の原発訴訟に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 

朝日新聞(12/5)
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2020年11月6日
by ok
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金沢訴訟口頭弁論の報告

11月5日、第31回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。
新型コロナウイルス感染防止のためとして、傍聴席は一人置きに着席する形で、全36席が希望者による抽選となりました。

今回原告意見陳述を行ったのは柚木(ゆうき)光さん。
柚木さんは「志賀原発を廃炉に!訴訟」の最初の原告団事務局長であり、この裁判の起ち上げに中心的に関わった一人です。
柚木さんは福島原発事故の時もコロナ禍の現在も、非常時には社会的弱者が最も犠牲を強いられるという「差別の構図」があることを指摘しました。そして、「そもそもわが国の原発は何故いわゆる過疎地に立地されているのでしょうか」と問いかけ、「国家権力と一体となった電力業界という権力がカネの力で生活者を翻弄(ほんろう)する」という構造を明らかにしました。
柚木さんは最後に、「司法は行政の圧力に屈するのではなく、あくまでも独立した存在として機能しなければなりません」と述べ、志賀原発の即時廃炉とこの裁判の一刻も早い結審を求めました。

その後裁判の進行をめぐる協議があり、裁判長は被告、原告の順に双方から意見を聴きました。被告北陸電力は「とくに意見はありません(従来どおり)」と述べ、原告側はすでに審議は尽くされている、として早期結審を主張しました。そして数分の合議の後、裁判長は「前回示した審理方針(規制委員会の判断が出るまで待つ)は変更しない」と告げて閉廷しました。今回の弁論はこれまでで最も短い20数分で終わりました。

今回の口頭弁論にあたり、北電は「上申書」を提出しました。彼らはその中で、10月2日に開催された規制委員会の適合性審査会合で調査対象断層が陸側6本、海側4本の計10本に確定したことなどを報告しました。
敷地内断層をめぐる議論はようやくスタートラインに立ったばかりです。この先一体いつまで続くのかわかりません。裁判所はそれでも待ち続けるというのでしょうか?

口頭弁論終了後、北陸会館5階ホールで報告集会が開催され、原告・サポーター、弁護団、報道関係者など50余人が参加しました。
次回口頭弁論は2021年2月4日、午後2時から開かれます。