志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2020年11月6日
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金沢訴訟口頭弁論の報告

11月5日、第31回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。
新型コロナウイルス感染防止のためとして、傍聴席は一人置きに着席する形で、全36席が希望者による抽選となりました。

今回原告意見陳述を行ったのは柚木(ゆうき)光さん。
柚木さんは「志賀原発を廃炉に!訴訟」の最初の原告団事務局長であり、この裁判の起ち上げに中心的に関わった一人です。
柚木さんは福島原発事故の時もコロナ禍の現在も、非常時には社会的弱者が最も犠牲を強いられるという「差別の構図」があることを指摘しました。そして、「そもそもわが国の原発は何故いわゆる過疎地に立地されているのでしょうか」と問いかけ、「国家権力と一体となった電力業界という権力がカネの力で生活者を翻弄(ほんろう)する」という構造を明らかにしました。
柚木さんは最後に、「司法は行政の圧力に屈するのではなく、あくまでも独立した存在として機能しなければなりません」と述べ、志賀原発の即時廃炉とこの裁判の一刻も早い結審を求めました。

その後裁判の進行をめぐる協議があり、裁判長は被告、原告の順に双方から意見を聴きました。被告北陸電力は「とくに意見はありません(従来どおり)」と述べ、原告側はすでに審議は尽くされている、として早期結審を主張しました。そして数分の合議の後、裁判長は「前回示した審理方針(規制委員会の判断が出るまで待つ)は変更しない」と告げて閉廷しました。今回の弁論はこれまでで最も短い20数分で終わりました。

今回の口頭弁論にあたり、北電は「上申書」を提出しました。彼らはその中で、10月2日に開催された規制委員会の適合性審査会合で調査対象断層が陸側6本、海側4本の計10本に確定したことなどを報告しました。
敷地内断層をめぐる議論はようやくスタートラインに立ったばかりです。この先一体いつまで続くのかわかりません。裁判所はそれでも待ち続けるというのでしょうか?

口頭弁論終了後、北陸会館5階ホールで報告集会が開催され、原告・サポーター、弁護団、報道関係者など50余人が参加しました。
次回口頭弁論は2021年2月4日、午後2時から開かれます。

2020年10月2日
by ok
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国の責任を認める―仙台高裁

9月30日、福島第一原発事故をめぐって被災者3、650人余が国と東京電力に損害賠償などを求めた裁判の控訴審判決で、仙台高裁は一審に続き国と東電の責任を認め、約十億一千万円の賠償を命じました。
上田哲裁判長は判決理由で、国と東電は原発に大津波が襲来することを予見でき、事故を回避し得たとし、「国、東電とも経済的負担の大きさを恐れるあまり、津波の試算自体を避けようとした」と批判しました。

 

朝日新聞(10/1)
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北陸中日新聞(同)
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2020年9月15日
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善管注意義務を巡って激しい議論

志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第3回口頭弁論が9月14日(月)、富山地裁で行われました。
新型コロナの感染拡大で3月4日の期日が延期となり、さらに5月25日も延期となり、昨年12月以来約9カ月ぶりの待ちに待った口頭弁論です。とはいえ、感染防止対策のため原告(代理人)席、被告(代理人)席はそれぞれ9席、一般傍聴席は報道関係者を除いて12席と制限され、サポーターのみなさんへの参加の呼びかけは控えざるを得ませんでした。

11時開廷。裁判官交代による弁論の更新、原告・被告双方から提出された準備書面などを確認し、さっそく原告・川原登喜のさんの意見陳述です。
川原さんは原発に疑問を持つようになったきっかけや子どもたちが原発のことを学べるようカルタや絵本を作って広めてきたこと、福島第一原発事故の後には「とやま市民放射線測定室」を立ち上げ活動してきたこと、さらに北電株主として約20年間株主総会に参加してきた経験を語りました。株主総会では、強引、横暴な議事進行で発言の不当な制限や質問にまともに答えない答弁がまかり通っていること、特に女性株主の発言に対して男性株主が威圧的な野次と怒号を繰り返し、議長がそれを放置するという状況が続いてきたと指摘し、非民主的な株主総会の実態を暴露しました。

続いて原告弁護団事務局長である坂本弁護士が、志賀原発の根源的な危険性を主張した第3準備書面の要約陳述をおこないました。原発の素人である裁判長にもわかりやすいようパワーポイントを使用し、志賀原発がひとたび過酷事故を起こせば北陸電力が甚大な損害を被り、だからこそ再稼働の準備・運転に莫大な費用がかかることを、福島第一原発事故の教訓も踏まえながら明らかにしました。

最後に、今後の原告の立証スケジュールを巡って原告と被告・補助参加人(北電)双方の代理人との間で激しい議論が交わされました。
富山訴訟は、北電取締役に対して、「志賀原発の再稼働や再稼働を前提とした行為は取締役としての『善管注意義務及び忠実義務』に違反している」として、それらの行為の差止めを求めています。
(※善管注意義務…「善良なる管理者の注意義務」のことで、本件の場合、一般に取締役としての地位にあるものに要求される水準の注意義務を果たす必要があるということを意味します)
わかりやすく言えば、「福島第一原発事故を経験し、普通だったら志賀原発の再稼働を決めるなんてありえない。取締役らは北電の経営をちゃんと考えてるの?」ということです。
被告・補助参加人側は今回、「株主総会で志賀再稼働は承認を得ている。さらに原子力規制委員会の判断がないと運転再開はできない。善管注意義務違反などない」とし、原告側に善管注意義務違反があるというなら具体的に指摘すべき。提訴から1年3カ月経過しているのにまだ示されていない」と主張し、裁判長に迅速な訴訟進行を求めました。
これに対して原告代理人の岩淵弁護団長や坂本弁護士、水谷弁護士は、「すでに訴状や準備書面で志賀原発の危険性や再生可能エネルギー、コスト、廃棄物処理などの課題を示し、志賀原発の再稼働方針決定にあたってどのような検討を行なったのか、具体的な資料やデータを明らかにするよう求めているが、いまだに示されていない」と反論しました。志賀原発の安全対策工事費は「1千億円台後半」という大雑把な数字が繰り返され、志賀原発の発電コストもいまだ示されていません。再稼働への多額の投資が果たして回収できるのか、原告株主だけでなく多くの株主が疑問に思っていることではないでしょうか。
最終的には原告側が求めた通り、11月末日までに被告・補助参加人に対する求釈明書を提出することとなりました。
次回期日を12月9日14時から、次々回期日を3月22日15時から(変更の可能性あり)と決め、閉廷しました。

口頭弁論終了後、富山県弁護士会館で報告集会が開かれました。
被告側の資料・データを出さない姿勢に対して改めて批判の声が上がると同時に、そもそも株主に対して十分な説明をせず株主総会では議決が繰り返されているとの指摘もありました。
また、金沢訴訟では規制委の適合性審査の報告に終始し、結審を引き延ばしている北電が、富山訴訟では迅速(強引)な訴訟進行を求める矛盾を指摘する声も上がりました。
会場では、提訴以降必ず顔が見られた富山県平和運動センターの山崎彰議長、原告の小嵐喜知雄さんの死を悼む声が相次ぎました。お二人の遺志を引き継ぎ、志賀原発の廃炉まで頑張る決意を確認し合い、閉会しました。