志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2023年11月24日
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原子力防災訓練が実施されました

11月23日、志賀原発の重大事故を想定した石川県の原子力防災訓練が行なわれました。
志賀町で震度6強の地震が発生して2号機が外部電源を喪失、炉心冷却が不能となり放射性物質が南南東に拡散したという想定の下、住民ら約1700人が参加して実施されました。
私たち原告団は社民党石川県連合や石川県平和運動センターなど4団体とともに監視活動を行ない、終了後抗議声明(下記)を発表しました。
この活動と併行して、同団体のメンバーたちは志賀町や羽咋市、宝達志水町の避難訓練実施地区で住民アンケートを実施しました。

《抗 議 声 明》
本日午前7時から志賀原発の重大事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故で原発の安全神話が崩壊し、大量の放射性物質が放出される重大事故もありうると国も認める中、「原子力災害の対応体制を検証する」ことが訓練の目的とされる。私たちは毎回監視行動に取り組み、抗議声明を通じて訓練の課題や問題点を指摘してきたが、今回も事故の影響を過小評価し、最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオでの訓練が繰り返された。重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練に対して強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1.被ばく前提の避難計画
県の避難計画要綱や関係市町の避難計画の「目的」は「住民等の被ばくをできるだけ低減するため」と記しており、「被ばく回避」の文言はない。避難計画の根拠となっている原子力災害対策指針自体「被ばくをゼロにすることを意図しているものではない」と政府は国会審議の中で明言している。原子力規制委員会は「事前対策のめやす」として、福島原発事故の100分の1の規模となるセシウム放出100TBqに相当する事故に備え、「めやす線量」は、実効線量で100mSvの水準としている。本日の訓練で実施された屋内退避や避難、一時移転によって住民の被ばくは100mSvを下回ったとしても、決して被ばくを回避し、避難できたわけではない。
県や関係市町は避難計画が住民の被ばくを前提としていることを周知しているのか。住民はそれを納得しているのか。そもそも放射線審議会は公衆の被ばく線量限度を1mSv/年とし、原子炉等規制法も原発の設置許可の条件として公衆被ばく限度1mSv/年以下を求めていることを忘れてはならない。災害時を例外とするのは安全規制の骨抜きに他ならない。

2.「震度6強の地震想定」は言葉だけ
2007年の能登半島地震に続き、今年5月には珠洲市でも震度6強の地震が発生している。北陸電力は原子力規制委員会の審査会合で、志賀原発の周辺でいくつもの巨大な活断層が存在することを明らかにしており、「震度6強の地震発生」は決して過大な想定ではない。しかし訓練では志賀原発敷地外への影響は1か所の道路の寸断のみであり、明らかに地震被害を過小評価している。実際には多くの家屋が倒壊し、下敷きになった住民もいるかもしれない。死傷者も複数発生し、火災発生もありうる。道路の損壊も広範囲に、複数個所に及ぶ。津波被害も発生しているかもしれない。県や志賀町、あるいは周辺市町は地震の災害対策本部を設置しているはずである。消防や警察はこうした事態への対応で奔走している。こうした中での複合災害発生である。原子力災害への対応がどこまで可能か、真剣に検証すべきである。

3.服用のタイミングを逸するドライブスルー形式の安定ヨウ素剤配布
UPZ圏内の住民へ安定ヨウ素剤配布は容易ではなく、事前配布をするしかないのではないかと私たちは指摘してきた。こうした中、昨年度からドライブスルー形式での配布訓練が実施されているが、3つの問題点を指摘する。1つは服用のタイミングを逸する懸念である。安定ヨウ素剤の服用のタイミングは、放射性ヨウ素を吸入する24時間前から吸入後2時間とされる。ドライブスルー形式は、屋内退避していた住民がOILに基づいた避難指示を受け、避難行動の途上で安定ヨウ素剤を受け取ることとなる。住民は屋内退避の段階ですでに被ばくしており、吸入後2時間内の服用は困難ではないか。2点目は配布場所周辺での渋滞発生の懸念である。特にOIL1の場合は空間線量が500mSv/hを超えており、住民が殺到すると思われる。避難行動は遅れ、無用の被ばくに晒される。3点目は配布作業にあたる防災業務従事者の被ばく問題である。本日の訓練では、配布作業は屋外で実施されている。防護服を着用していても、長時間被ばくのリスクに晒される。

4.形だけの要支援者避難
今回の訓練では、在宅の避難行動要支援者や高齢者施設に加え、障害者就労支援施設や病院でも避難訓練が実施される。きめ細かい災害対応に向けての努力は評価するが、全入所者、全入院患者の避難に向けた課題は多く残されている。原子力災害の特殊性を踏まえた、一人ひとりの個別避難計画を作成し、介護度や障がいの種類、病状に応じた受け入れ先と輸送手段を確保しなければならない。受け入れ先の施設も、原発事故に備えあらかじめベッドを用意し、人員を確保しているわけではない。複数の受け入れ候補施設を確保しておかなければならない。民間団体に輸送の協力を求める場合は、防護基準も明記した協定の締結が必要となる。模擬避難者による避難手順の確認より、個別避難計画の策定状況や見通しこそ明らかにすべきである。

5.軽視される原子力災害の特殊性
私たちは県や周辺各市町と原子力防災について意見交換を重ねている。この中で明らかになった問題点として、行政の防災担当者は概して他の災害との共通点に着目し、原子力災害の特殊性は切り捨てる傾向があることを指摘したい。一例として今回初めて実施されるペット同行避難の受入訓練を取り上げる。避難所でのペットの受入は他の災害でも共通する課題である。しかし原子力災害ではペットの被ばく・汚染、長時間かつ遠距離の避難行動という特殊性がある。避難退域時検査場所での検査こそ実施すべきである。避難バスでの同行も問題が多く、自家用車避難を原則としなければならない。事故発生の通報があった段階で極力屋内に留め、被ばくを回避することも大切である。飼い主に事前に周知すべき事が数多くあるが置き去りにされている。

6.最後に―――原子力防災は住民も地域も守らない
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民が命や暮らしを脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を覆い隠すかのように「重大事故でも無事避難」という防災訓練が繰り返されている。もっとも確実な原子力防災は原発廃炉である。北陸電力は1年前、2026年1月の再稼働想定を公表したが論外である。原子力防災は住民を被ばくから守れない。地域を汚染から守ることもできない。私たちは志賀原発の一日も早い廃炉実現に向けて、引き続き全力で取り組む決意をここに表明する。

 2023年11月23日
          志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
          さよなら!志賀原発ネットワーク
          石川県平和運動センター
          原水爆禁止石川県民会議
          社会民主党石川県連合

 

 

 

左は北陸中日新聞(11/24)
右は朝日新聞(同)
※クリックすると拡大

 

2023年6月30日
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北陸電力株主総会で株主提案

6月28日、北陸電力の株主総会が開催されました。
原告団の株主メンバーは「北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会」の仲間と連携して会場に入り、2本の会社議案について修正動議を提案するとともに、「志賀原発廃炉本部の設置」など5本の株主議案を提案しました。
総会開催中、株主でないメンバーは富山県平和運動センターの仲間と一緒に、同本店前でアピール行動を行ないました。

↓北陸中日新聞(6/29) ※クリックすると拡大

 

2022年11月24日
by ok
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原子力防災訓練が実施される

11月23日、志賀原発の重大事故を想定した原子力防災訓練が実施されました。
私たちは石川県平和運動センターや社民党石川県連と連携して、監視活動や住民アンケートを実施しました。
下記は富山市から参加したWさんが地元K新聞に投稿したものです。

《原子力防災訓練に疑問》
 23日に富山県と石川県合同で、志賀原発で重大事故が発生したことを想定した原子力防災訓練が、氷見市などで行われた。私も現地で訓練を見学した。
 志賀原発から30km以内の地区の避難者に、乗用車のドライブスルー方式で安定ヨウ素剤を屋外で配布する海峰小学校の現場を見て驚いた。10数名の職員は作業服に簡易ビニールコートのみ。避難指示地域のわずか外側の場所での屋外作業あり、実際の事故では放射性物質が飛来する危険を想定して、タイベックスーツや靴カバー、ビニール手袋着用で職員の被曝を防ぐべきだ。交通整理で到着した警察官2名はその通りの完全装備であり、見習うべきだ。
 氷見運動公園では、避難した住民の放射線測定などを実施していた。ところが測定作業の職員は通常の作業服のまま。これでは職員の被曝の危険性が高い。知事がヘリで視察というパフォーマンスの前に、職員や住民の被曝予防対策を考え直すべきだと痛感した。

続いて5団体による抗議声明です。

《抗 議 声 明》
本日午前6時30分から志賀原発の事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後では11回目の訓練となるが、私たちは毎回監視行動に取り組み、抗議声明を通じて訓練の課題や問題点を指摘してきた。残念ながら今回も志賀原発の再稼働を前提とし、その一方で事故の影響を過小評価し、最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオでの訓練が繰り返された。重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練に対して強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1.PAZ圏内住民の即時避難は可能か
全面緊急事態で原則即時避難とされているが、サイト内情報が迅速、正確に通報されることが前提である。私たちが懸念するのは、北陸電力の事故隠しや通報の遅れである。臨界事故隠しなど、数多くの前例がある。福島原発事故のように中央制御室で原子炉内の様子が把握できない事態も想定される。このような場合でも敷地周辺のモニタリングポストで異常は検知可能とされるが、志賀原発は他のサイトと異なり、赤住までは400m、福浦も1km余りと、周辺集落との距離が近い。後述するように避難バスが直ちに来る保証もない。放射性物質放出前に常に避難を開始できるかのような訓練が繰り返されているが、前提条件に危うさがある。

2.UPZ圏内住民は「まずは屋内退避」の方針を受け入れていない
規制委は「UPZ圏内では、内部被ばくのリスクをできる限り低く抑え、避難行動による危険を避けるため、屋内退避を基本とすべき」との方針を示し、本日の訓練もその考え方に基づき実施されている。しかし、私たちが訓練と並行して行った住民アンケート調査では、屋内退避方針自体知らない、あるいは従わず避難するという住民が少なからずいることが確認されている(後日、詳細に報告予定)。規制委は「内部被ばくは、木造家屋においては4分の1程度」に抑えられるとするが、それは1993年以降に建てられた住宅であり、1980年以前に建てらえた住宅では低減効果は半分以下の44%とされている。放射性プルームからのガンマ線の外部被ばく遮蔽効果も木造家屋ではほとんど期待できない。「渋滞による大混乱は危険、その危険を避けるために屋内退避で被ばくする」という避難計画の根本的矛盾を多くの住民は見抜いている。

3.バスによる迅速な避難は幻想
県は今年3月、石川県バス協会との間で「災害等におけるバスによる人員等の輸送に関する協定書」を締結し、さらに原子力災害時の業務内容などを運用細則で定めた。しかしバス業界の実態をみると、緊急時のバスの配車は容易ではない。昨今の深刻な運転手不足に加え、コロナ禍による業績悪化、そして今は人流回復による繁忙段階へと入り、各事業者は常に余裕のない運行体制を敷いている。PAZ圏内の集合場所は22カ所あるが、全面緊急事態に至る数時間内に必要台数を確保することはほぼ不可能。「全面緊急事態で直ちに避難」は幻想である。UPZ圏全体で考えても、住民の1割がバス避難と仮定すると約1万5千人。県バス協会加盟事業者が保有する大型の貸し切りバスの253台(うちUPZ圏内事業者は52台)に加え、UPZ内の路線バスもすべて避難用に回すという非現実的想定をしても大幅に不足する。加えてOIL1(500μSv/h超)の場合は、運転手の被ばく問題(線量限度1mSv)もあり、さらに配車は困難となる。

4.様々な複合災害をなぜ想定しない
 今回も複合災害訓練は盛り込まれているが、地震により道路が一か所寸断し、応急復旧で通過可能となるという想定のみである。原子力災害の甚大さを考慮するならば、本来は異常気象による様々な巨大災害との複合災害を想定し、原子力防災が機能するのか真剣に検証すべきだ。最低限志賀町など周辺自治体が作成する土砂災害や洪水のハザードマップ、あるいは交通に重大な影響を及ぼす雪害との複合災害をも想定し、訓練を実施すべきではないか。志賀町の米町川や七尾市の御祓川、二宮川、熊木川などは近年も洪水の実績があり決して絵空事ではない。迅速かつ遠距離の避難が求められる原子力防災にどのような影響を及ぼすのか、課題は何か、なぜ訓練で検証しようとしないのか。最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオだと言わざるを得ない。

5.石川・富山合同の手抜き訓練
石川・富山両県合同の避難退域時検査訓練が氷見運動公園で初めて実施された。今年9月に全面改訂された内閣府および原子力規制庁の「避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」に基づく訓練である。マニュアル自体、改定の都度、「避難の円滑化」との理由から簡略化(手抜き)が進んでいるが、そのマニュアルをさらに簡略化した訓練内容であった。簡易除染でも基準値を下回らなかった車両は想定せず、持ち物の検査なし。検査場所を通過せず避難所へ向かう住民も想定していない。さらに設営の前提となる石川県側からの検査予想台数・人数も明らかにされていない。今回の訓練で、氷見経由の避難がスムーズにできたとの総括は到底許されない。

6.長期避難のリスクを隠す訓練
 県や各市町の防災計画では「長期避難への対応」の項目がある。各市町では福島を参考に数年から10年の避難を想定しているとのこと。ところが本日の訓練に参加する避難者の持ち物を見れば、長期避難の可能性も意識している住民は一人もいない。防災リュックすら見かけない。避難退域時検査場所でも持ち物の汚染検査は想定されていない。ペットを飼う家庭は当然同行避難を考えるが、その対応も見られない。事故を過小評価し、長期避難のリスクを隠す訓練である。

7.最後に―――原子力防災は住民も地域も守らない
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民の命や暮らしが脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を放置し、さらには覆い隠すかのように「重大事故でも無事避難」という防災訓練が繰り返されている。もっとも確実な原子力防災は原発廃炉である。原子力防災は住民を被ばくから守れない。地域を汚染から守ることもできない。私たちは、志賀原発の一日も早い廃炉実現に向けて、引き続き全力で取り組む決意をここに表明する。

2022年11月23日
  志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
  さよなら!志賀原発ネットワーク
  石川県平和運動センター
  原水爆禁止石川県民会議
  社会民主党石川県連合

 

 

 

 

 

 

 

 

左は北陸中日新聞(11/24)、右は朝日新聞(同)