志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2024年12月19日
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取締役会議事録をめぐって、熾烈な攻防

12月18日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第20回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。冷たい雨の中、裁判所近くに集まった原告や支援者・弁護団は横断幕を掲げて裁判所まで行進して入廷、裁判は午後3時から始まりました。

最初に和田廣治原告団長が意見陳述を行ないました。
能登半島地震直後から半島北部で海岸が大きく隆起したことが報道され、最大のものが輪島市鹿磯漁港の4mとされています。
和田さんは珠洲の北野原告団長らと実際に海岸の岩場や防波堤などを巡って隆起の状況をその目で確かめました。その結果、鹿磯漁港のさらに北の深見漁港で5.2mの隆起を計測したことを明らかにし、スライドでその写真を上映しました。5mを超える隆起は未だに国や石川県、輪島市を始め研究機関や水産庁からも発表がなく、10月31日の原子力規制委員会適合性審査資料(北陸電力作成)でも、「輪島市西部で最大約4m」と記載されています。
和田さんは裁判所に対して、「ぜひとも能登半島地震の現場を直接見ていただき、志賀原発に迫りつつある地震などの危険性を直視」するよう求めました。

今回、原告側が求めていた「取締役会議事録」の一部を被告側が提出しました。それに対する「攻防」がこの日のハイライトです。
開示されたのは福島原発事故後の2011年3月と4月に行なわれた取締役会の議事録だけで、「地震対策と津波対策をして、再稼働に向けて進む」ということを議決したという内容です。原告側が求めた議事録はこの他に、②新規制基準ができて適合性審査を申請した2014年の時点、③規制委有識者会合で敷地内断層の活動性が否定できないとされた2016年の時点、④能登半島地震後の時点ですが、この3つについて議事録は提出されませんでした。
裁判長は「事故の危険性、住民や会社への影響、原発以外のエネルギーの検討などの議論を一番詳細にしたのがこの2011年の時点ということですか?」と質し、被告側は「そうです」と答えました(その後、「被告らの考え方を伝える上で一番わかりやすいものを出した」と修正)。
被告側が「本訴訟は取締役らの善管注意義務があったか否かが争点であり、規制委で認められた場合のみ稼働するので、取締役会の議事録提出は意味がない」と述べたのに対して、原告側は「金沢訴訟と争点は違うが、事故を起さないようにしなければならないことは同じ。新規制基準に基づく申請を行なった際に、取締役会で議論を行なったはずであり、少なくともその議事録は出すべきだ」などと反論し、激しい応酬が展開されました。
裁判所は最終的に、原告に対して「今回証拠提出された議事録と本日の弁論でのやりとりを踏まえ、必要な主張をする」よう求めました。また、原告意見陳述の内容を証拠化してもいいのではないか、という見解を示しました。
また実地検証については、これまでに原告側が撮影した動画などの提出を求め、それを見て検証の要否を検討する、と明言しました。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は2025年3月17日(月)、次々回は7月14日(月)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。

2024年12月15日
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住民アンケート調査のまとめ

今回の能登半島地震は福島事故後の避難計画に根本的な疑問を突き付けました。
ここに原子力災害が重なったら、屋内退避も広域避難もできないのではないかと不安に駆られた人は少なくありません。あらためて「地震大国日本」に原発が存在するリスクにも関心が高まりました。
一方で政府は原発の重要性は変わらないとの姿勢を堅持し、原発回帰路線を加速させています。原子力規制委員会も「避難と屋内退避を組み合わせる原子力災害対策指針の基本的考え方は見直さない」という姿勢を早々に確認しています。
私たちは避難計画を含め、原子力行政を議論していく上で住民の意識や生の声を知ることが不可欠と考え、この間、原子力防災訓練当日に住民アンケートを実施してきました。とくに今回は能登半島地震後はじめての調査です。程度の差こそあれみなさんが被災しており、その後の意識の変化は注目されます。調査にご協力いただいた274人の方々には心より感謝申しあげます。原子力防災や再稼働を巡る議論を深める一助になればとの思いから、この報告書を作成しました。ご活用いただければ幸いです。

避難行動についての住民アンケート調査報告書

2024年12月

   石川県平和運動センター
   さよなら!志賀原発ネットワーク
   志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
   原水爆禁止石川県民会議
   社民党石川県連合
   石川県勤労者協議会連合会

2024年11月25日
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原子力防災訓練が実施されました

11月24日、志賀原発の重大事故を想定した石川県の原子力防災訓練が行なわれました。
志賀町で震度7の地震が発生して2号機で外部電源を喪失、炉心冷却が不能となり放射性物質が北方向に拡散したという想定で実施されました。今回は能登半島地震からの復興途上のためとして住民の参加はなく、参加者は約600人と、例年の三分の一ほどの規模となりました。
私たち原告団は社民党石川県連合や石川県平和運動センターなど5団体とともに監視活動を行ない、終了後抗議声明(下記)を発表しました。
また志賀町や七尾市、門前町などで住民アンケートを実施しました。

《抗 議 声 明》
石川県は本日午前7時から志賀原発の重大事故を想定した原子力防災訓練を実施した。
私たちは9月3日、馳浩知事に宛て「能登半島地震によって避難計画の破綻は明らかとなった」と指摘し、今年度の訓練の中止を要請した。福島第一原発事故以降の原子力防災訓練は原発震災による被害を過小評価し、「重大事故でも住民は安全に避難できる」と県民を騙(だま)し、北陸電力の志賀原発の再稼働路線を後押しする「安全キャンペーン」でしかなかったからである。
これに対して県は「能登半島地震を受けて、より現実に即した訓練を実施する」とし、本日の訓練を迎えた。私たちは監視行動を実施し、各会場での訓練内容をチェックしたが、まさに私たちが危惧した通り、「志賀町震度7で志賀原発に重大事故が起こっても、奥能登住民は無事に避難できる」という「新たな安全神話」を意図した訓練であったと言わざるをえない。
私たちは本日の訓練強行に対して怒りを込めて抗議し、以下、具体的問題点を指摘する。

<全体を通じて>
1.能登半島地震の被害の現実を踏まえない訓練
最大震度7を志賀町はじめ奥能登各地で観測した能登半島地震は、内陸地殻内地震としては国内最大規模であり、被害も過去に例を見ないものであった。多くの建物倒壊や道路の通行止め、津波、土砂崩れ、液状化、大規模火災、広域かつ長期にわたる停電・断水・通信障害など、この30年間、日本が経験した大地震による被害が重複して現れ、さらに海岸の隆起・沈降も加わった。これに原子力災害が重なったらどうなるのか。志賀原発周辺住民だけではなく、全国の原発立地地域の住民が、屋内退避も避難もできず被ばくを強いられる恐怖を感じたのである。
一方、志賀原発との関係で能登半島地震を見るならば、立地自治体である志賀町北部で震度7を記録しつつも、原発敷地内の揺れは震度5強とされ、志賀町内の大きな被害は原発の北側(富来地区)に集中し、しかも奥能登地域のような壊滅的な被害には至らなかった。しかし、志賀原発の沖合や半島陸域には次なる大地震を引き起こすことが懸念される大断層が数多く存在しており、また北陸電力は能登半島北部の活断層評価を178kmと見直している。
今回の訓練は、奥能登を襲った複合的、広域的被害が志賀町やその周辺には起こらないだろうという極めて希望的、楽観的な想定下での訓練であり、原発震災の過小評価の繰り返しである。

<以下、時系列的に>
2.楽観的な職員参集訓練
能登半島地震当日の職員参集率は珠洲市20%、穴水町38%、輪島市、七尾市が39%、能登町54%、志賀町62%であった。また、輪島市の坂口市長は市役所へ向かう道路が寸断され、登庁できたのは1月3日であった。オフサイトセンターの運営、特に初動対応においては、責任者はじめ多くの職員の参集も遅れることが想定される。速やかな参集は楽観主義でしかない。

3.外部被ばくを防げない原子力防災用エアーテント
放射線防護施設が被災し、陽圧化できないことを想定してのエアーテントだが、コンクリート壁かつ鉛のカーテンが設置され、外部被ばくを防ぐ機能も併せ持つ放射線防護施設の代替施設とはならない。

4.避難判断における航空機モニタリングの役割は限定的
UPZ内のOILに基づく防護措置は、各地域に設置されたモニタリングポストで測定された空間線量率で判断することが原則とされており、さらに定点サーベイを補完する手段として走行サーベイがある(原子力規制庁作成{緊急時モニタリングについて}より)。航空機モニタリングはこれらが実施不可の場合、あるいは広範囲のモニタリングが必要な場合に活用されるものである。モニタリングポストの速やかな復旧ができないことをカムフラージュする訓練でしかない。

5.原発に向かう避難訓練
志賀町北部や輪島市の住民は避難計画に定められた能登町や輪島市が被災し避難できないとして、白山市や野々市町に向かう訓練が行われた。放射性物質が放出されている中、原発方向へ逃げることとなる。住民に被ばくを強いる訓練は、計画の破綻を認めたようなものである。

6.能登半島地震の検証も反省もない孤立集落対応訓練
能登半島地震では最大24集落、3,345人が孤立し、実質的に孤立が解消されたのは1月19日であった。原子力防災訓練では毎回、孤立集落対応として船舶やヘリを活用する訓練が盛り込まれてきた。しかし能登半島地震では原子力災害が起こらなかったが、孤立集落の解消に長時間を要したのである。船舶やヘリは一部で活用されはしたが、ほぼ無力に近い状態だった。こうした現実に対する検証も反省もなく、なぜ同じ訓練を繰り返すのか。
そもそも船舶やヘリによる避難は天候に左右され、これまでも頻繁に中止とされてきた。にもかかわらず今回の訓練では、沖合で船舶を乗り換えるという、荒天時にはさらに困難な訓練が予定されていた。結果として前日の荒天で中止となった。海路、空路に依存せず住民を避難させることができるのかが問われている。中止となった場合の対応を考えるのは当然であり、荒天時に住民に被ばくを強いるしかないなら、計画は破綻である。

7.最後に―「能登半島地震の現実に即した訓練」は不可能―
北陸電力からの正確な情報発信は期待できない。放射能の拡散状況は把握できない。屋内退避はできず放射線防護施設も損傷し、主要幹線の多くも通行止め、多くの自家用車が失われ、避難用のバスや福祉車両もたどり着けない、そもそも自治体は屋内退避や避難の指示を住民に周知できない。これらはすべて能登半島地震の「現実」である。能登半島地震の現実に即した訓練は不可能であり、「避難計画は破綻」と確認し合うことが本日の訓練の唯一の「成果」である。被災地・石川県の役割は、私たちとともにこの「成果」を国や全国に発信することである。

2024年11月24日
   志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
   さよなら!志賀原発ネットワーク
   石川県平和運動センター
   原水爆禁止石川県民会議
   社会民主党石川県連合
   石川県勤労者協議会連合会

 

 

 

 

 

 

 

北陸中日新聞(11/25)※クリックすると拡大