志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2025年1月24日
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第7次エネルギー基本計画(案)に対する声明

政府・経産省は「第7次エネルギー基本計画(案)」を公表、現在パブリックコメントを募集(1/26締切)しています。
これに対して原告団は以下の声明を発出しました。

第7次エネルギー基本計画に対する声明

政府・経済産業省は昨年12月17日、第7次エネルギー基本計画(案)を公表した。2011年3月11日に起きた福島第一原子力発電所事故の教訓により、2014年度以降、政府は「可能な限り原発への依存度を低減する」としていたが、今回その方針を180度転換し、原発を再生可能エネルギーとともに今後「最大限活用する」と大きく方針変更した。さらにこれまで最大40年としていた原発使用年数を最長60年とし、しかもその間の停止期間中の年数は含めないとする内容で、まさに福島第一原発事故の教訓をかなぐり捨てた暴挙と言わざるを得ない。また2040年度の電源構成について再生可能エネルギーとともに原子力を2割程度と位置付けるなど、既存の原発再稼働だけではなく、新規の建設までも企図している言語道断の内容である。
今回の基本計画(案)では昨年元日に発生した能登半島地震に触れた部分がわずかにあるが、それは「令和6年度能登半島地震での経験や教訓も踏まえ、国と原子力事業者・産業界は、それぞれの役割に応じて、迅速、正確かつ丁寧な情報発信に取り組む。また、世代を超えて丁寧な理解増進を図るため、原子力に関する教育の充実を図る」とあるだけである。能登半島地震で志賀原発PAZ地区内の人々は道路寸断、土砂災害などで避難など不可能であることを知った。さらに30km圏内のUPZ地区内住民も、屋内退避どころか住居そのものが全壊・半壊で避難場所にならないという現実に襲われたのである。今回の基本計画(案)は、巨大地震が起こったとき当該地区にあるPAZ、UPZ地区内では避難が全く困難という、能登半島地震の現実を無視し住民・国民を切り捨てるものと言わざるを得ない。今回の能登半島地震で幸いにも原発複合災害とならなかったのは、志賀原発が福島第一原発事故以降13年間稼働を止めていたからに他ならない。
また今回の基本計画(案)は『既設炉の最大限活用』の項で、原発の再稼働が進展している九州・関西地区では電気料金が3割安くなっていると喧伝し、原発の再稼働、増設こそが電気料金引き下げの要因であると強調している。しかし、テロ対策を含めた原発の安全確保のための費用はこれまでとは比較にならないほど増加しており、原発はもはや安価な電源とは言えないのが現実である。さらに脱炭素電源確保にも原発は必要不可欠としているが、一方で石炭火力については重要なエネルギー源として引き続き継続を維持するという、脱炭素社会を目指す世界的潮流とは相いれない内容となっている。
さらに今回の基本計画(案)では使用済み核燃料の扱いについても棚上げのままである。六ヶ所再処理工場の竣工が不可能なことは明らかであり、核のゴミのほったらかしをそのままにしている政府に原発を推進する資格はない。何よりも今回の基本計画(案)に欠如しているのは、事故後14年経った現在も故郷を奪われた何万もの人々がいるという福島第一原発事故の総括である。そして1年前に起きた能登半島巨大地震の教訓も全く生かされていないことにある。わたしたちはまるで能登半島地震など無かったかのように志賀原発を含めた既設炉の再稼働を強調している第7次エネルギー基本計画(案)をまとめ、世界の潮流に逆行する政策転換を図ろうとする政府・経産省に強く抗議する。そして多くの国民からの原案批判、修正の声に耳を傾け、脱原発への政策転換を明確にした基本計画へと抜本的見直しを行うことを強く要求する。

2025年1月23日
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

2025年1月23日
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原子力防災計画について県に申入れ

1月22日、原告団、県平和運動センター、社民党県連、さよなら!志賀原発ネットワークなど6団体から10名が参加して、石川県に「原子力防災計画・安全協定に関する質問書」を提出し、能登半島地震を踏まえた県の考えを質しました。

2024年元日に発生した能登半島地震では、甚大な被害と数多くの悲劇によって、原子力防災計画・避難計画の破綻が実証されました。しかし県は昨年も、地域住民が参加しない形で原子力防災訓練を引続き実施しました。
今必要なのは志賀原発の再稼働を前提とした防災訓練を実施することではなく、自然災害と原発事故の複合災害に備えて、県と志賀町、北陸電力の三者が締結している安全協定を県内全ての市町村で締結することであり、そのために県が積極的に関与すべきだと私たちは考えます。

 

 

 

北陸中日新聞(1/23)
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2024年12月19日
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取締役会議事録をめぐって、熾烈な攻防

12月18日、志賀原発株主差止め訴訟(富山訴訟)の第20回口頭弁論が富山地裁で行なわれました。冷たい雨の中、裁判所近くに集まった原告や支援者・弁護団は横断幕を掲げて裁判所まで行進して入廷、裁判は午後3時から始まりました。

最初に和田廣治原告団長が意見陳述を行ないました。
能登半島地震直後から半島北部で海岸が大きく隆起したことが報道され、最大のものが輪島市鹿磯漁港の4mとされています。
和田さんは珠洲の北野原告団長らと実際に海岸の岩場や防波堤などを巡って隆起の状況をその目で確かめました。その結果、鹿磯漁港のさらに北の深見漁港で5.2mの隆起を計測したことを明らかにし、スライドでその写真を上映しました。5mを超える隆起は未だに国や石川県、輪島市を始め研究機関や水産庁からも発表がなく、10月31日の原子力規制委員会適合性審査資料(北陸電力作成)でも、「輪島市西部で最大約4m」と記載されています。
和田さんは裁判所に対して、「ぜひとも能登半島地震の現場を直接見ていただき、志賀原発に迫りつつある地震などの危険性を直視」するよう求めました。

今回、原告側が求めていた「取締役会議事録」の一部を被告側が提出しました。それに対する「攻防」がこの日のハイライトです。
開示されたのは福島原発事故後の2011年3月と4月に行なわれた取締役会の議事録だけで、「地震対策と津波対策をして、再稼働に向けて進む」ということを議決したという内容です。原告側が求めた議事録はこの他に、②新規制基準ができて適合性審査を申請した2014年の時点、③規制委有識者会合で敷地内断層の活動性が否定できないとされた2016年の時点、④能登半島地震後の時点ですが、この3つについて議事録は提出されませんでした。
裁判長は「事故の危険性、住民や会社への影響、原発以外のエネルギーの検討などの議論を一番詳細にしたのがこの2011年の時点ということですか?」と質し、被告側は「そうです」と答えました(その後、「被告らの考え方を伝える上で一番わかりやすいものを出した」と修正)。
被告側が「本訴訟は取締役らの善管注意義務があったか否かが争点であり、規制委で認められた場合のみ稼働するので、取締役会の議事録提出は意味がない」と述べたのに対して、原告側は「金沢訴訟と争点は違うが、事故を起さないようにしなければならないことは同じ。新規制基準に基づく申請を行なった際に、取締役会で議論を行なったはずであり、少なくともその議事録は出すべきだ」などと反論し、激しい応酬が展開されました。
裁判所は最終的に、原告に対して「今回証拠提出された議事録と本日の弁論でのやりとりを踏まえ、必要な主張をする」よう求めました。また、原告意見陳述の内容を証拠化してもいいのではないか、という見解を示しました。
また実地検証については、これまでに原告側が撮影した動画などの提出を求め、それを見て検証の要否を検討する、と明言しました。

裁判終了後、原告や弁護団・支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開催しました。

次回の裁判は2025年3月17日(月)、次々回は7月14日(月)、いずれも午後3時から同地裁で開かれます。