8月25日、原告団、県平和運動センター、社民党県連、さよなら!志賀原発ネットワークなど5団体から9名が参加して金沢市に質問書を提出し、意見交換を行いました。
目的は志賀原発の事故で避難住民を受け入れる自治体としての課題を明らかにすること。
避難所の運営は地震や洪水など他の災害と基本的に同じと思われていますが、原子力防災固有の課題も数多くあります。
たとえば、避難所の駐車場に何台来ることが想定されているのか、県から全く連絡はないとのこと。地震などで地域住民が避難してくるときは、基本的には徒歩。これに対して能登からの避難では、8割以上が自家用車だと思われますが、県はそういう基本的な調査すらしていません。受け入れ施設によっては、明らかに駐車スペースが足りません。学校の場合は運動場を駐車場として開放すればほぼ対応できますが、昨年末のような大雪となると、受け入れはストップ、道路も渋滞で大混乱必至です。
また、今年の夏のような酷暑の中、避難施設となっている学校の体育館には冷房設備がありません。冷房の効いた寝室で寝ていた人が、蒸し風呂のような体育館で何週間も過ごせるとは到底思えません。
こうして雪害時、そして猛暑時は原子力防災は破綻(はたん)してしまいます。
避難退域時検査を通過せず、直接避難所へ来る住民もいると思われますが、県はその対応を考えていません。混乱するのは現場です。避難住民の被曝(ひばく)だけでなく受付担当者の被曝、汚染のリスクも想定しなければなりません。
私たちの住民アンケートによると、UPZ(5~30キロ圏)の住民の中には、避難指示前に避難を開始する住民も3割近くいると思われます。避難所の開設は避難指示を受けてからとなっており、多くの避難住民が金沢市内を彷徨(さまよ)うことになります。避難計画が策定されているからOKとは到底なりません。
今回初めて受入れ自治体を訪問し、現時点で対応できない課題が数多く残っていることがわかりました。これらは金沢市だけではなく、白山市や津幡町、能登町や輪島市、珠洲市などの自治体にもほぼ共通する課題だと思われます。(北野 進)