1月30日午後2時より名古屋高裁金沢支部において、大飯原発差止訴訟(控訴審)の第10回口頭弁論が行われました。
法廷では最初に、福島原発事故で被災し双葉郡富岡町から茨城県に避難している木田節子さんが意見陳述しました。
TVや新聞が「あの日を忘れない」とか「被災地は今」などの特集を組んでいますが、木田さんはそうした番組が「泣いてばかりはいられない」「前向きに生きる」などと締めくくることに疑問を投げかけます。甲状腺ガンなどの健康被害にはふれず、汚染廃棄物が入ったフレコンバッグだらけの町に帰還することだけが福島の復興なのかと。
木田さんは帰還にともなう助成制度を利用して福島で農業を始めた若夫婦の話をしました。二人でイチゴ栽培を始めたものの、県内のスーパーでさえ遠方野菜(西日本や九州など)から買われていくのが実情で、売場に残されたイチゴのあまりの安さ(5円)に絶望して、自死してしまったということです。
木田さんは裁判所に、福島の今が福井の未来にならないように、「あなたの町を次のフクシマにしなかったのは私たちです」と誇れるような判決をください、と訴えました。
原告第30準備書面「250km圏外における危険性」の要約陳述の後、次回以降の進行協議がありました。
その中で、次回4月24日、島崎邦彦さんの証人尋問が開廷時間を繰上げて行われることが決まりました。
島崎さんは原子力規制委員会の元委員長代理で、活断層の専門家です。氏は大飯原発の基準地震動の策定が過小評価に過ぎることを、陳述書で明らかにしました。各電力会社がそれぞれ自らに都合の良い方式を採用して基準地震動を定めている以上、氏の証言の影響は全国の原発訴訟にも波及するものです。
報告集会で弁護団からは、証人尋問を成功させるためにギリギリまで全力を傾注したい、という決意が表明されました。
原告および被告の準備書面、意見陳述書などは「福井から原発を止める裁判の会」ホームページ http://adieunpp.com/judge/kousai.html をご覧ください。