志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページ

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2022年11月24日
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原子力防災訓練が実施される

11月23日、志賀原発の重大事故を想定した原子力防災訓練が実施されました。
私たちは石川県平和運動センターや社民党石川県連と連携して、監視活動や住民アンケートを実施しました。
下記は富山市から参加したWさんが地元K新聞に投稿したものです。

《原子力防災訓練に疑問》
 23日に富山県と石川県合同で、志賀原発で重大事故が発生したことを想定した原子力防災訓練が、氷見市などで行われた。私も現地で訓練を見学した。
 志賀原発から30km以内の地区の避難者に、乗用車のドライブスルー方式で安定ヨウ素剤を屋外で配布する海峰小学校の現場を見て驚いた。10数名の職員は作業服に簡易ビニールコートのみ。避難指示地域のわずか外側の場所での屋外作業あり、実際の事故では放射性物質が飛来する危険を想定して、タイベックスーツや靴カバー、ビニール手袋着用で職員の被曝を防ぐべきだ。交通整理で到着した警察官2名はその通りの完全装備であり、見習うべきだ。
 氷見運動公園では、避難した住民の放射線測定などを実施していた。ところが測定作業の職員は通常の作業服のまま。これでは職員の被曝の危険性が高い。知事がヘリで視察というパフォーマンスの前に、職員や住民の被曝予防対策を考え直すべきだと痛感した。

続いて5団体による抗議声明です。

《抗 議 声 明》
本日午前6時30分から志賀原発の事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後では11回目の訓練となるが、私たちは毎回監視行動に取り組み、抗議声明を通じて訓練の課題や問題点を指摘してきた。残念ながら今回も志賀原発の再稼働を前提とし、その一方で事故の影響を過小評価し、最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオでの訓練が繰り返された。重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練に対して強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1.PAZ圏内住民の即時避難は可能か
全面緊急事態で原則即時避難とされているが、サイト内情報が迅速、正確に通報されることが前提である。私たちが懸念するのは、北陸電力の事故隠しや通報の遅れである。臨界事故隠しなど、数多くの前例がある。福島原発事故のように中央制御室で原子炉内の様子が把握できない事態も想定される。このような場合でも敷地周辺のモニタリングポストで異常は検知可能とされるが、志賀原発は他のサイトと異なり、赤住までは400m、福浦も1km余りと、周辺集落との距離が近い。後述するように避難バスが直ちに来る保証もない。放射性物質放出前に常に避難を開始できるかのような訓練が繰り返されているが、前提条件に危うさがある。

2.UPZ圏内住民は「まずは屋内退避」の方針を受け入れていない
規制委は「UPZ圏内では、内部被ばくのリスクをできる限り低く抑え、避難行動による危険を避けるため、屋内退避を基本とすべき」との方針を示し、本日の訓練もその考え方に基づき実施されている。しかし、私たちが訓練と並行して行った住民アンケート調査では、屋内退避方針自体知らない、あるいは従わず避難するという住民が少なからずいることが確認されている(後日、詳細に報告予定)。規制委は「内部被ばくは、木造家屋においては4分の1程度」に抑えられるとするが、それは1993年以降に建てられた住宅であり、1980年以前に建てらえた住宅では低減効果は半分以下の44%とされている。放射性プルームからのガンマ線の外部被ばく遮蔽効果も木造家屋ではほとんど期待できない。「渋滞による大混乱は危険、その危険を避けるために屋内退避で被ばくする」という避難計画の根本的矛盾を多くの住民は見抜いている。

3.バスによる迅速な避難は幻想
県は今年3月、石川県バス協会との間で「災害等におけるバスによる人員等の輸送に関する協定書」を締結し、さらに原子力災害時の業務内容などを運用細則で定めた。しかしバス業界の実態をみると、緊急時のバスの配車は容易ではない。昨今の深刻な運転手不足に加え、コロナ禍による業績悪化、そして今は人流回復による繁忙段階へと入り、各事業者は常に余裕のない運行体制を敷いている。PAZ圏内の集合場所は22カ所あるが、全面緊急事態に至る数時間内に必要台数を確保することはほぼ不可能。「全面緊急事態で直ちに避難」は幻想である。UPZ圏全体で考えても、住民の1割がバス避難と仮定すると約1万5千人。県バス協会加盟事業者が保有する大型の貸し切りバスの253台(うちUPZ圏内事業者は52台)に加え、UPZ内の路線バスもすべて避難用に回すという非現実的想定をしても大幅に不足する。加えてOIL1(500μSv/h超)の場合は、運転手の被ばく問題(線量限度1mSv)もあり、さらに配車は困難となる。

4.様々な複合災害をなぜ想定しない
 今回も複合災害訓練は盛り込まれているが、地震により道路が一か所寸断し、応急復旧で通過可能となるという想定のみである。原子力災害の甚大さを考慮するならば、本来は異常気象による様々な巨大災害との複合災害を想定し、原子力防災が機能するのか真剣に検証すべきだ。最低限志賀町など周辺自治体が作成する土砂災害や洪水のハザードマップ、あるいは交通に重大な影響を及ぼす雪害との複合災害をも想定し、訓練を実施すべきではないか。志賀町の米町川や七尾市の御祓川、二宮川、熊木川などは近年も洪水の実績があり決して絵空事ではない。迅速かつ遠距離の避難が求められる原子力防災にどのような影響を及ぼすのか、課題は何か、なぜ訓練で検証しようとしないのか。最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオだと言わざるを得ない。

5.石川・富山合同の手抜き訓練
石川・富山両県合同の避難退域時検査訓練が氷見運動公園で初めて実施された。今年9月に全面改訂された内閣府および原子力規制庁の「避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」に基づく訓練である。マニュアル自体、改定の都度、「避難の円滑化」との理由から簡略化(手抜き)が進んでいるが、そのマニュアルをさらに簡略化した訓練内容であった。簡易除染でも基準値を下回らなかった車両は想定せず、持ち物の検査なし。検査場所を通過せず避難所へ向かう住民も想定していない。さらに設営の前提となる石川県側からの検査予想台数・人数も明らかにされていない。今回の訓練で、氷見経由の避難がスムーズにできたとの総括は到底許されない。

6.長期避難のリスクを隠す訓練
 県や各市町の防災計画では「長期避難への対応」の項目がある。各市町では福島を参考に数年から10年の避難を想定しているとのこと。ところが本日の訓練に参加する避難者の持ち物を見れば、長期避難の可能性も意識している住民は一人もいない。防災リュックすら見かけない。避難退域時検査場所でも持ち物の汚染検査は想定されていない。ペットを飼う家庭は当然同行避難を考えるが、その対応も見られない。事故を過小評価し、長期避難のリスクを隠す訓練である。

7.最後に―――原子力防災は住民も地域も守らない
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民の命や暮らしが脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を放置し、さらには覆い隠すかのように「重大事故でも無事避難」という防災訓練が繰り返されている。もっとも確実な原子力防災は原発廃炉である。原子力防災は住民を被ばくから守れない。地域を汚染から守ることもできない。私たちは、志賀原発の一日も早い廃炉実現に向けて、引き続き全力で取り組む決意をここに表明する。

2022年11月23日
  志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
  さよなら!志賀原発ネットワーク
  石川県平和運動センター
  原水爆禁止石川県民会議
  社会民主党石川県連合

 

 

 

 

 

 

 

 

左は北陸中日新聞(11/24)、右は朝日新聞(同)

2022年11月12日
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七尾市からの回答についての見解

「原子力防災計画・避難計画に関する質問書」に対する七尾市からの回答

1.7月上旬に質問書を提出し、問1、2については7月25日の市長交渉の場で、茶谷市長から直接回答を受けた。問3以降の防災問題に関する質問に対しては、当日は意見交換のみとし、私たちの問題意識を確認の上、あらためて文書で回答するとのことだった。質問書提出から約4ヶ月を経た11月10日、回答書を受け取った。質問項目は多岐にわたるとはいえ、七尾市が策定した防災計画、避難計画に対する問いである。丁寧な回答に感謝しつつも、これでは七尾市民からの問い合わせにもスピーディに対応できず、防災体制への不安、不信にもつながるということをまず指摘したい。

2.安全協定については、武元元市長、不嶋前市長と同様、引き続き志賀町と同等の協定を求めていく姿勢を明確に表明された。私たちとしても大いに評価し、締結に向け、後押しをしていきたい。ただし、志賀原発が停止中であっても、協定の交渉中断の理由にはならない。近隣市町との連携を維持しつつ、早急な協議の再開を期待したい。

3.問3以下の回答については、それぞれ疑問点を残している。今後もこのような交渉を継続することを基本的スタンスとしつつ、以下7点に絞って課題を指摘する。

(1)問3について
「市民に被ばくをさせないことを前提として考えている」のならば、まずはその大前提を計画に明記し、そのための具体的取り組みを明らかにすべき。現在の避難計画は低減目標すらない、「被ばくやむなし」計画である。

(2)問4について
「状況に応じた避難」は基本的には正しいと考えるが、実際の運用は難しい。場合によっては家族が奥能登方向と金沢、野々市方向へ分かれて避難するという事態も起こりうる。課題をさらに整理するよう求めていきたい。

(3)問5について
「福島県の対応を参考に」とのこと。数年からさらには10年を超えて依然避難を強いられている避難者も多くいること、七尾市でもそうした事態を想定していることをまずは市民に周知することが大切である。その上で、生活支援や各種制限措置の解除については「福島県の対応」を参考にはしても、安易に手本とすることには警鐘を鳴らしたい。自主避難者への冷酷な対応、被ばく限度年20mSv を基準とした強制帰還政策、損害補償も不十分など、避難者の苦悩に福島県はどこまで対応できているのか、しっかり検証する必要がある。

(4)問7について
児童生徒の引き渡しでは、学校周辺の大変な渋滞が想定される。「警戒事態」ですぐに対応するのは正しいが、バスの確保も含め課題は多い。甲状腺被ばく線量モニタリングに関しては、国はまだマニュアル作成作業中であり、現在、実施体制は整えられていないことを確認しておきたい。 

(5)問9について
多くの観光客、宿泊客が訪れる七尾市ならではの課題について、事業者任せ、国や県任せにすることは許されない。現状と取り組むべき課題について明らかすることを求め、私たちも具体的対策がどれだけ実行されているか確認していきたい。 

(6)問10について
「検討を行う」「現状把握に努める」とのこと。引き続き今後の対応を注視していきたい。 

(7)問13について
市内全域に避難指示が出される可能性があるのに、なぜ庁舎を想定しないのか。行政は福島事故前と同様、本音ではそのような事故は起きないという「安全神話」に縛られているのではないか。防災業務従事者の被ばく問題も同様。住民の安全確保が最優先といえば聞こえはいいが、防災業務従事者の防護対策を軽視しては、防災体制は機能しない。 

4.原子力防災、安全協定に関する課題は今回の質問書の項目で尽きるわけではない。今回提起した課題をさらに深掘りし、残された他の課題についても引き続き提起していきたい。住民の安全を守るための多くの課題が山積する中、再稼働の議論が先走りすることは許されない。

 

2022年11月10日
by ok
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志賀町からの回答についての見解

「原子力防災計画・避難計画に関する質問書」に対する志賀町からの回答

1.本年4月末に提出した質問書に対して、11月7日、上記のとおり、文書で回答があった。志賀原発は停止中とはいえ、いま現在も使用済み核燃料を含めた核燃料が、直下の断層の活動性が指摘される原子炉建屋の中に保管されている。原子力防災は再稼働を巡る大きな争点であると同時に、まさに現時点での課題でもある。質問が多岐にわたるとはいえ、回答までに約6カ月もの時間を要したこと、それ自体が原子力防災の運用に大きな不安を与えるものであると、まず指摘しなければならない。

2.質問書は、志賀原発の原子力災害に対して、防災計画の目的に掲げる「住民等の生命、身体及び財産を保護」が果たして実現できるのか、現時点での到達点、未達成の課題について確認するものである。志賀町の原子力防災の大きな特徴は、国の指針や県の計画に単純に追従することなく、独自に「PAZ、UPZの一斉避難」、「全町白山市避難」、「風向きによる避難」を追求している点にある。これ自体は町民の安全・安心を守ろうとする小泉町長の苦心の表れであり、国の指針や県の計画に対する大きな問題提起でもあると私たちは受け止めている。

3.ただし、現行原子力防災体制は、国や県はじめ数多くの防災関係機関との協働、連携のもとで成り立つ仕組みとなっている。志賀町独自の方針は、実際の原子力災害に直面したとき、果たして機能するのか、残念ながら数々の疑問点も指摘せざるを得ない。また、毎年実施される防災訓練に反映されたこともなく、関係機関や地域住民への周知も明らかに不十分である。

4.以上を踏まえ、回答の問題点、注目点を以下指摘する。
(1)「PAZ、UPZの一斉避難」について【質問3(1)】
全面緊急事態でPAZは一斉避難、UPZはまずは屋内退避という段階的避難は、実際に災害に直面したとき成り立つのか、私たちも大いに疑問を抱いている。町民の線引きを避けたい町長の思いは十分に理解する。しかし、果たして一斉避難で大渋滞など混乱は起きないのか、移動手段は迅速に確保できるのか、疑問は解消していない。なにより、志賀町民の一斉避難を周辺自治体住民は屋内退避で見守るというシナリオは、周辺自治体の理解を得られるのだろうか。「今後、協議する」とのことだが、国の指針や県の計画の根幹に抵触する重要課題が、いまだ協議されていないことにも驚きを覚える。

(2)「全町白山市避難」について【同じく質問3(1)】
背景には半島先端方向への避難による孤立化の不安がある。できれば避けたい、特に風向きが半島先端方向への場合はなおさらである。しかし、白山市への避難となると富来地域住民は原発に近づくこととなり、果たして安全な避難行動は実現するのか。回答は「発電所の状況を継続的に把握し、状況に応じて判断する」(3(1)ア)とのこと。仮に実現可能なケースがあるとしても、その判断は町独自でできるのか。また、渋滞問題も含め、全町一斉、同一方向への避難には多くの課題が付随する。町民の安全の確保、不安の解消への思いは理解するが、現状は具体策の無い理想論ではないか。

(3)風向きによる避難について【質問3(2)】
県が想定する「気象条件」により受け入れ困難な場合とは、大雪等で交通が遮断された場合などであり、風向きによる避難先の選択は含まれていない。一方、志賀町は問2(2)の回答にあるように、避難方向を判断するにあたって風向きも考慮するとしている。風向きを考慮した避難は基本的には正しく、住民の安全を守るため、あらゆる可能性を追求したいという思いは共有したい。ただし、地勢的に避難方向の選択肢がほとんどない原発以北の能登地域で、どこまで風向きを考慮すること可能だろうか。そういう場所になぜ立地したのかという根本問題に向き合わざるを得ないのではないか。

(4)問4.5.6.7.8.9.10.11について
防災計画・避難計画に記載された項目を、生活の実態、地域の実情に即して具体的に掘り下げると、多くの検討課題が残さていることが明らかになった。
例えば小中学生の引き渡しも職場の事情、家庭の事情でどこまでスムーズにいくかわからない。高校生になるとさらに事情は複雑となる。要支援者の避難体制の確立は、避難行動時に死亡者を出した福島の大きな教訓だが、体制が整っているとは到底言えない。想定する長期避難の期間については回答がなかったが、原子力災害の現実を直視するうえでも、住民への周知は不可欠である。

5.問1(1)では「より高い実効性の確保に向けて検証を続けてまいりたい」との回答だが、現状は、防災計画の目的に掲げた「住民等の生命、身体及び財産を保護」の実現には程遠く、再稼働の議論が先走りするようなことは決して許されない。
 問12で提起した武力攻撃というリスクも避けては通れない。今回は、この回答について深掘りし議論する機会を設けることはできなかったが、今後も質問書提出の取り組みは継続し、原子力防災を巡る諸課題について、自治体関係者はもちろんのこと、多くの皆さんと議論を深めていきたい。