5月31日、第33回口頭弁論が金沢地方裁判所205号法廷で行われました。
快晴の空の下、原告・サポーターは石川門下の白鳥路入口に集まり、早期結審を訴える横断幕やアピール板を掲げて裁判所まで行進しました。
コロナ感染対策として、一人置きに減らされた傍聴席は全38席。今回も先着順となり、法廷前の廊下に長い行列ができました。
今回原告意見陳述を行ったのは山根靖則さん。
山根さんは、3歳のとき父が戦死した「戦争遺児」が「学校の先生」になり、やがて県会議員になった自らの人生を振り返りました。
そして、ドイツのメルケル首相が福島原発事故を知るや即座に自国の原発開発を止める決断をしたことに触れ、「目先の利害よりも将来の地球のことを考える、子どもたちのために今の自分の贅沢(ぜいたく)を控えるという、かつて多くの日本人が持っていたこの『価値観』はいつ、どこで、どうなったのか」と問いかけました。
最後に山根さんは、「人類の手に負えない放射能をこれ以上子どもたちには残さない」という価値観は裁判長も共有できるはず、と述べ「脱原発」の決断を促しました。
その後裁判の進行をめぐる協議があり、裁判長が原告被告双方の進行意見を尋ねました。
今回も被告北陸電力は「上申書」を提出し、5月14日に開催された規制委員会の新規制基準適合性審査会合について報告しました。その中で北電は敷地近傍に分布する福浦断層、兜岩沖断層、富来川南岸断層について「将来活動する可能性のある断層等」と評価したことなどを説明、これに対して規制委がデータの整理と拡充を求めたことを報告し、「審査会合での論点が明確になってきた」と述べました。
原告側はすでに審議は尽くされているとしてあらためて早期結審を主張しましたが、裁判所は昨年7月の審理方針「規制委の結論が出るまで待つ」は変更しないとしました。
原告側が「その『結論』とは何を指すのか、敷地内断層についての判断か」と質(ただ)すと、裁判所は数分間別室で合議した後、「少なくとも敷地内断層についての規制委の判断を待った上で訴訟進行するのが妥当だと考える」と述べました。
審査会合で敷地内断層の結論は未だ出ておらず、今後現地調査も実施されると報じられています。その一方で、敷地近傍の断層についての審査が同時並行的に行なわれています。断層以外の問題も含めて総合的な審査がすべて終わり、稼働の可否についての規制委の最終判断が下されるまで裁判所が座視するとするなら、まさに「司法の責任放棄」と言わざるを得ません。
口頭弁論終了後、北陸会館5階ホールで報告集会が開催され、原告・サポーター、弁護団、マスコミ関係者など30余人が参加しました。
次回の口頭弁論は9月13日(月)、午後2時から開かれます。