7月13日、第30回口頭弁論が昨年11月以来8ヵ月ぶりに金沢地方裁判所で行われました。
新型コロナウイルス感染防止のため、今回の傍聴席は原告・被告・報道関係者を含め23席(通常の約三分の一)のみ。大法廷にもかかわらず、傍聴希望者による抽選となりました。
この口頭弁論は当初3月5日の予定でしたが、コロナ禍の影響で延期されました。この間に裁判官の異動があり、裁判長はじめ裁判官が三人とも変わりました。これにともない、原告弁護団は「更新弁論」(新しい裁判官にこれまでの審理経過や主張の要点を説明する)を行いました。
最初に宮本弁護士が第56準備書面を要約陳述しました。施設直下の断層の「活動性を否定できない」とした有識者会合の評価書(有識者報告書)の内容をパワーポイントを使ってわかりやすく解説するとともに、この間の規制委審査会合の経過を簡潔にまとめて報告しました。
宮本さんは「有識者評価書」が受理されてから4年経っても評価対象断層さえ確定しておらず、その停滞は被告北電の審査対応の悪さが原因であること、また最終的な結論の判断時期は誰も皆目(かいもく)見当のつかない状況であることを明らかにしました。
つづいて中田原告弁護団事務局長がこの間の裁判の流れを説明するとともに、前裁判体の「規制委員会の判断を待つ」という審理方針がいかに原告らの訴えを踏みにじっているか、司法の責任を放棄したものであるかを明らかにし、早期に結審し判決を下すべきだと主張しました。
今回原告意見陳述を行ったのは県教組委員長の谷内直さん。
谷内さんは「私たちは大量絶滅の始まりにいます。それなのにあなたたちが話しているのはお金のことばかり。恥ずかしくないんでしょうか!」とスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの国連でのスピーチを引用するとともに、バス遠足で原発PR施設「アリス館志賀」に連れていったときの子どもたちとのやりとりを語りました。そして「あなたたちは私たちを失望させている」という言葉を子どもたちから発せられることのないよう、今を生きる大人としてできることはこれ以上「負の遺産」を増やさないことだ、と強く訴えました。
つづいて被告北電弁護人が、訴訟進行に関する意見(弁論更新にあたっての意見書)として、「『有識者報告書』に依拠した審理・判断を行うことは相当でなく、適合性審査の判断を待った上で、これを踏まえた審理・判断がなされるべき」と主張しました。
最後に次回期日をめぐって協議があり、そこで山門新裁判長は前裁判長の審理方針「規制委員会の判断が出るまで待つ」について、現時点では変更する予定はない、と表明しました。
原告弁護団は裁判所の方針があくまで「現時点のものであること」を前提に、次回期日設定(11月5日午後2時~)に応じました。
口頭弁論終了後、北陸会館5階ホールで報告集会が開催され、原告・サポーター、弁護団、マスコミ関係者など40余人が参加しました。