12月15日、志賀原発を廃炉に!訴訟の第12回口頭弁論が金沢地方裁判所で行われました。
金沢城・兼六公園下に集まった原告・サポーターは、はるばる福井や滋賀県から駆けつけてくれた全国原告団連絡会の仲間たちとともに、裁判所まで雪道を行進しました。
裁判は午後1時30分に開廷され、最初に輪島市の新木順子さんが原告意見陳述を行いました。
石川県漁協女性部長の新木さんは、能登の自然とともに生きる漁村女性の立場から、福島の漁業者から聞いた生々しい声を伝えました。
「漁に出たくても放射能汚染で出られない」
「海に泳いでいる魚が見えても獲ることができない」
「事故の1年前に加工した海産物なのに、風評被害で売れない」などなど…
新木さんは、世界農業遺産に認定された能登の里山里海の生物多様性、その恵みで成り立っている豊かなくらしを紹介しました。そして「志賀原発で事故が起きた場合、私たちは陸の孤島となり、右往左往している間に、多くの住民が被曝してしまいます」と述べ、「私たち能登の住民の生命や財産を一瞬にして奪い、大切な自然と生業を断ち切ってしまう原発はいりません」と強く訴えました。
続いて岩淵弁護士が第30準備書面「北陸電力の原発運転資格の欠如」を要約陳述しました。
岩淵さんははじめに、8月に北陸電力が行った新規制基準の適合性審査申請がきわめて「異常な」申請であることを明らかにしました。敷地直下の活断層問題について決着が付いていない段階でどうして申請ができるのか。また申請書が川内原発の10分の1以下の分量であることも、どこまで真剣に検討したかを疑わせる内容です。フィルターベントの設置を盛り込んでいない点も、最低限の基準である規制基準にさえ合致しない代物で、規制委員会からも強く批判されています。
岩淵さんは福島第一原発の吉田所長の調書を引用しながら、「東京電力の現場の運転員は日本一の技術者だが、その彼らでさえ、電源が失われた原発は全然コントロールできなかった。翻って、あの北陸電力の社員にちゃんとした対応がとれるだろうか?」と疑問を呈しました。また北陸電力が過去に杜撰(ずさん)な断層評価を繰り返し、何度も訂正してきたことを指摘しました。
極めつきの前科前歴が1999年6月の「臨界事故隠し」です。一歩間違えばチェルノブイリのような核暴走を引き起こしていた臨界事故を、北陸電力は8年間も隠し続けていたのです。
岩淵さんは「こういう人たちに本当に原発を運転する資格がありますか?」と鋭く問い質しました。
今回被告北陸電力から初めて反論らしい反論が、第12準備書面(志賀原発の立地環境=地震に関する反論)および第13準備書面(その他雑多な反論)として出されました。その中で彼らは、志賀原発は規制委員会の基準に則った場所に建ててあるとか、富来川南岸断層などは考慮する必要はない、などと主張をしています。また、フクシマ原発事故は地震による配管破断や機器損傷が原因だ、という原告の主張に対して、あれは地震には関係ないと主張し、大飯判決に関しては、科学をまったく無視した判決だというような反論を展開しています。
原告側からは今後、必要なものについて再反論していく予定です。
弁論終了後の進行協議において、被告北陸電力の代理人は、次回(3月)でほぼ反論を出し尽くすと表明しました。原告側からは、次々回から立証(証人調べ)という次のステップに進んでほしいと申入れました。その判断は持ち越されましたが、私たちは迅速な司法判断を求め、より早い結審に向けて努力するつもりです。
口頭弁論終了後、兼六園下の北陸会館で報告集会が開催され、原告・サポーター、マスコミ関係者など60余人が参加しました。
次回口頭弁論は2015年3月5日(木)、次々回は5月25日(月)、午後1時30分から同地裁で開かれる予定です。
また2月9日(月)には、大飯訴訟控訴審の第2回口頭弁論が名古屋地裁金沢支部で開催されます。被告関西電力弁護団はこの日までに主張はすべて提出し、証人尋問は行わないと表明しており、短期決戦に注目が集まっています。福井地裁判決を確定させるために、支援の輪をさらに拡げましょう。